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俺と彼女らの7日間  作者: 瀬尾優梨
5日目 結婚候補? いいえ、戦友です
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「アーク様!」

 名を呼ばれ、重い目を持ち上げた。それだけでも億劫だが、呼ばれたからには返事をせねば。

この、ちょっと低めの声は……。

「……サラン?」

「何をなさってるのですか!」

 さくさくと、草を踏みしめる音。眼球だけそちらへやると、エプロンスカート姿のサランが駆け寄り、俺を見下ろすようにしゃがんでいるところだった。

「朝早くからこんな所で寝て……さては、テディ姉様の特訓に付き合わされたのですか?」

「……いや、自発的に……」

 今気付いたが、俺の声は酷く枯れている。のどもいがらっぽく、一言一言言うたびに奥の方がざらざらと痛んだ。

 サランもそれを察したのだろう、目を丸くして首を横に振った。

「無謀です……姉様はこの国の誰よりもお強いのに。それに、汗だくでこのような場所で寝られるから、風邪を引くのですよ」

「……風邪か」

 つまり、のどが痛いのはのど風邪のためってか。そりゃあ、朝冷えのする中、汗だくで野宿すればこうなるわな。

 でもって、無様に寝転ぶ姿をサランが発見したと。……何かここ数日、サランには格好悪いところしか見せていないような……。

 サランは自分のベルトに下げていたタオルを引き抜き、乾いた汗の残る俺の顔をタオルで拭ってくれた。あっ、いい匂い。

「……立てますか? ご飯の前に、一度汗を流すべきです。お召し物も着替えて、清潔にしなければ」

「……そうする」

 幸い、体力はそこそこ回復してきていた。若いっていいね。

 サランの手を借りて、起き上がる。俺の服に付いた草を払い、サランは気遣わしげに俺を見上げてきた。

「姉様も少し、やりすぎな点があります。今後は、無茶なことを言われても言い返すようになさってください。体力の点では、誰も姉様には勝てませんから」

「……肝に銘じておく」


 サランに支えられながら風呂場へ向かい、一度湯浴みする。頭から湯を被るだけで、さっきまでの疲れがかなり吹っ飛んでいった。

「もうすぐ朝ご飯です」

 俺が湯から上がると、汗だくになった俺の服を流しで浸けおきしながら、サランは言った。

「この服は洗濯しておきますので、先にキッチンに行ってください」

 思えば、ここ数日サランが皆の洗濯物をしているように見える。朝はよく、洗濯物籠を持っているし、一番下だから仕事も多いんだろう。

 そんな彼女にまた新しい、雑用をさせてしまったのか。

「いや、悪いからいいよ。洗濯なら俺がする」

「大丈夫です、私の仕事なので」

 差し出した手をやんわりと断り、サランは微笑んだ。

「アーク様はお疲れでしょう、しっかり朝ご飯をお食べくださいね。テディ姉様の料理は大胆ですが、とっても力が付きます」 そこまで言われれば無理に押し切ることもなかろう。サランには感謝の言葉を述べ、俺は一足早くキッチンへ向かった。

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