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俺と彼女らの7日間  作者: 瀬尾優梨
4日目 被験者Aの受難
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 朝飯が無味料理だったため、内心心配だったんだが……昼飯は普通にうまかった。ユイお手製のピザに似たパン料理で、ぴりりと辛いソースと上に乗った具材のセレクトが何とも言えなかった。

「ユイはいつも、朝食のような実験料理を作るわけじゃないのか」

 隣にいたシャリーにこっそり聞いてみると、シャリーは小さく頷き、幾分声のトーンを落として言った。

「あの子は、気まぐれで実験を思い立ちますの。今朝の薄味はまだしも、激辛スープを出されたこともありましたわ。ただ、料理の腕は確かなので実験観察対象でない料理の場合はとても美味ですの」

 さすが私が料理を教えただけありますわ、という一言は華麗にスルーし、俺はほっと胸をなで下ろしてピザを一口かじった。



 昼からの講義は古文書解読と言っていたな。古文書っていうのは聞いたことはあっても、実際に触れたことはなかった。


 ここで言う古文書とは当然、魔道についての書物のことだろう。魔術師ってのは昔からいるし、当時の学者たちの研究したレポートや書物は山と残っている。だが、そのほとんどははるか昔に書かれたものであって、俺たちには解読できないものも多々あった。

 俺は詳しくは知らないんだが……数百年前までは数ある諸国は全て、独自の文字を使用していたんだという。フォルセスは今でこそ連合王国だが、当時はばらばらの小国が独自の文字、文化を保ってきていた。だから外交する際には他国の言語を習わなければならなかったし、言語の違いゆえ、全く交流のなかった国も多かったらしい。


 だが、数百年前、とうとう全国で文字を統一することになった。数ある言語の中から採用されたのは、オフェール語。オフェールってのは今はフォルセス連合王国に属している小国なんだが、当時はそこそこ勢力があって、人口も多かった。なおかつ、オフェール語は他の言語より比較的文字の作りが簡易で、覚えるのも話すのも簡単の方だったから、公用語として取り入れられたんだそうだ。今俺が話しているのもオフェール語。といっても、数百年の年月を経て、昔の言葉はほとんど廃れ、覚えている人も少ない。だからオフェール語っていう言葉自体も使わないんだけどな。


 それで、だ。文字が統一されたのはよいが、弊害もあった。

 オフェール語が完全に浸透し、人々が伝統的な言葉を忘れてしまった頃になって、昔の古文書が発見されたりしたんだ。

 なにせ、百年単位も前の書物だ。ほとんどのものはぼろぼろに朽ち果てていて読解不可能だったが、中にはかろうじて原形を留めているものもあった。だが、中に書かれているのはオフェール語ではない言語ばかり。遙か昔、自分たちの祖先が使っていた言葉で書かれていたんだ。

 というわけで現在も、古文書の読解は研究所で続けられている。昔の資料ってのも甘くは見れないんだ。以前、子どもの遊び書きっぽいものに従って地面を掘ったら文化遺産物のコインが発見されたり、金細工が発掘されたりした。古文書にある通りに薬を調合したらかつてないほど強力な頭痛薬になったって話もあったな。


 俺も、士官学校でさわり程度には古文書の授業も受けた。といっても、自分の名前を古代フォルセス文字で書いてみましょう~みたいな、お遊び程度のものだったが。

 だが基本的に、城の学者や魔術師は古代文字の心得も必要らしい。じいさんの弟子五人も、魔術師見習として古文書読解の講義を受けている、ということなんだ。

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