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俺と彼女らの7日間  作者: 瀬尾優梨
3日目 さよなら俺の純情
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11

「じゃあ、ここに書いているのをよろしく。後は私が持ってくるからー」

 そう言ってリンリンはメモを半分にちぎり、小さめの方を俺に渡した。

 さてさて、魔術師の薬には何を使うのやら……。さては、それこそカエルの干物や得体の知れない植物を入れたりするのか?

 不安半分期待半分で手渡されたメモに目を落としてみると。


ノコギリソウの乾物

熟成シロップNo.25

コガラシドリの骨の粉末

粉末エキス(緑)


 ……思ったほどゲテモノは使われていなかった。

 ノコギリソウなら俺も見たことあるし、シロップやエキスはジジイが作り置きしたのがあるんだろう。 コガラシドリ(秋の終わりにフォルセスに渡来してくる鳥の俗名。本名は知らん)は……飛んでいるのなら見たことあるし……骨の粉末ならさして危険物でもないだろう。

 リンリンについて長机に向かう。やはりシロップやエキスは瓶詰めになっていて、テーブルの端からNo.1、それがずらっと続いてNo.34まであるようだ。その中から25の瓶を取り、すぐ近くにあった「粉末エキス」のラベルが付いた緑色の液体入りの瓶も取り出した。

 さて、乾物と粉末は……。


「材料、分かりますか?」

 控えめな声に振り返ると、腕一杯に瓶やら乾燥した花やらを抱えたサランが立っていた。俺がノコギリソウと骨の粉末で立ち悩んでいるのに気づいたのだろう。

「……ああ。あとは、ノコギリソウの乾物とコガラシドリの骨の粉末なんだが……」

「それならこちらです」

 サランは両腕に抱えていた薬品を左腕に持ち替え、俺の前方に右腕を伸ばしてひょいひょいと枯れた花と粉末入りの瓶を選び取った。

「どうぞ。ノコギリソウの乾物は崩れやすいので、あまりぎゅっと握らないようにしてくださいね」

「ああ、すまないな」


 ぼふっ


 背後で軽い爆発音。俺とサランが二人して振り返ると、テディの薬釜からもうもうと煙が上がって天井を埋め尽くしていた。心なしか、きな臭い匂いもする。

 濃い煙に覆われているため本人たちは見えないが、「あーっ! 薬が引火しちゃったみたいですー!」とのテディの悲鳴と、「やれやれ……やり直しじゃな」とじいさんがたしなめる声が聞こえてきた。

 爆発といっても、それほどデカかったわけでもない。黒い煙は間もなく取り払われたし、何よりシャリーやリンリンたちが一切動じず、黙々と自分の作業をこなしていたんだ。

 サランは軽く肩をすくめ、「テディ姉様はよく失敗なさるんですよ」と小声で解説を入れると、自分の作業に入るべく釜へと戻っていった。


 俺はさっきの衝撃で床に落ちたノコギリソウを拾い(幸い、形が崩れている様子はなかった)、三種類の瓶を持ってリンリンの釜に戻った。

 リンリンは既に、自分で持ってきた材料を細かくナイフで刻んでぽいぽいと釜に放り込んでいた。

「……そいえば、おまえは何を作ってるんだ?」

 具材を置いて問うてみると、リンリンは顔を上げることなく言う。

「風邪薬の一種よ。これは、どっちかというと喉の風邪用ね」

 話しながらリンリンの手は止まることなく、器用に乾物や草花を切っては釜に放り投げ、切っては投げを繰り返していた。

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