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俺と彼女らの7日間  作者: 瀬尾優梨
3日目 さよなら俺の純情
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 この女は、人の動きを見る目も確かだったということだろうか。


 基本的に俺はトレーニングは一人でする派だ。剣の打ち合いとか、模擬試合になるとさすがに一人ではどうしようもないが、自主トレなんかはいつも一人でこなしていた。だってその方が効率がいいし、横でうるさく喋る仲間やきゃーきゃー声を上げる観客もいないし。

 そうそう。城にいた頃はよく公開訓練なんかしてたんだ。俺たち学生の試合の場を皆にも見せよう、んでポイントを稼ごう、って策略で。

 友人の中にはその公開訓練を楽しみにしてるやつも多かった。だって、城仕えのメイドたちや街の女の子が詰め寄るんだ。剣を振るだけできゃーきゃー歓声を上げられ、勝ち抜けば差し入れや告白だって飛び交う。彼女いない暦=年齢の男にとっては、自己アピールできる最大のチャンスだったと言えよう。

 だがな……俺はどうしても、あの空気にはなじめなかった。俺はそこそこ腕が立つ方だったし、王子たるリュートとよく一緒にいたから、剣持ってぼけっと立ってるだけで女の子はたかってきたんだ。

 あ、言っておくが自慢じゃないぞ。俺にとってははた迷惑だったんだ。


 俺としては、相手と向き合って息を詰め、渾身の一撃を放つべく間合いを取って……っていう静かな流れが好きなんだ。それなのに「アーク様ぁ!」「素敵ー!」とか黄色い声が飛んでくるし、勝ったら勝ったで大量の差し入れや恋文が殺到するし。リュートと一緒に逃げるのが恒例になっていたな。あいつはあいつで、もう心に決めた女がいたからな。王子様は気楽だよな、ケッ。

 まあ、「女の子に歓声上げられて、たかられるから逃げる」って心情が想像しにくいやつは、「女の子」を「年食ったおばさん」に変換してみろ。俺にとってはそのレベルだったってことだ。



 で、今日のトレーニングはというと。

 俺が予想した以上にリンリンは大人しく、俺が腹筋腕立てした後も軽くコメントをし、時には水を持ってきたりした。

 木刀で素振り練習しようと思ったら、何も言わずそれっぽい木ぎれを出してきたし(やはりこれも胸の谷間から出したように見えたが……幻だよな、うん)、邪魔になりそうな植木鉢や粘土細工の人形(はにわ、というらしい。どこから持ってきたのやら)をひょいっと魔法でどけてくれるし。

 案外いい女だった。

 というか、リンリンのアドバイスは本当に的を射ていた。素振り時はもっと腰を低くした方がいいだの、踏み込む足が弱いだの。


 なんでこんなに詳しいんだ?

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