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俺と彼女らの7日間  作者: 瀬尾優梨
3日目 さよなら俺の純情
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 昨日は朝っぱらから寝込んだり、夕方からは吹雪に見舞われたりするわで時間がなく。

 今朝も、嫌な起こされ方をしたのでゆとりがなく。

 じゃあ俺の日課、始めますか……。


「あら、どこへ行くの?」

 戸口へ向かった俺の首根っこを、がっしりとリンリンが捉える。ぐっ、この細腕のどこにこんな力が……!

 振り向こうにも、服の襟首を掴まれているため振り向けない。無理にでも振り返ろうとしたら絶対、首が絞まる。

「そ、外だ! 日課をこなすんだ!」

「日課? ラジオ体操でもするの? 私が歌ってあげようか?」

 何だ、らじおたいそうって。聞いてみたいのも山々だが、今はそれどころじゃない!

「運動だ! 日々の体力作りだ! だからこの手を離せ!」

「まあ! そのような習慣があったのね」


 言いつつ、リンリンは手の力を緩めた。だが解放する気はないらしく、今度は上着の裾を掴んできた。

「でも、うちには特別な器具はなくてよ? 特訓とは、お腹に鉄球をめり込ませたり、硬いバネを両手で引っ張ったりするものなんでしょ?」

 何だ、その特訓方法は。これもまた、リャンシの文化なのか?

「いや、特殊な道具は必要ない。その辺を走ったり素振りしたり。後は……腕立て腹筋を繰り返す感じかな」

「なら、見学者がいても不自由ないわね」

 そう言いながら、今度は手を離して俺の右腕に巻きついてくるリンリン。うっ、おまえわざと当ててるな!

「私もご一緒するわ。外でするんでしょ?」

「ご、ご一緒って……おまえ、ジジイの講義は……」

「ジジイじゃないわ、師匠よ。師匠ならさっき、ユイたちを連れて薬草の買い出しに行かれたわ。私や姉様は薬草学を修得済みだから、行く必要はないの」

 いや、俺の師匠じゃないんですが。

 俺がいきなりジジイを「師匠」とか呼んだらそれこそ問題を引き起こすぞ。予想できるジジイの反応は、

①「わしを『師匠』と呼ぶなぞ百年早い!」と喝を食らうか、

②「おお、ということは今日から貴様はわしの弟子じゃ。ほれ、さっさと肩もまんか」とパシられるか。

 何にしろいい方向にはならないだろうな。


 っと、話がそれた。

「じゃあ、シャリーと一緒にいたらどうだ」

「姉様はお部屋で趣味のパッチワークをなさってますし……ねぇ、私も見学していいでしょう? 今日は私が公子様を独占できる日だし」

 う、う、こいつ……! 言いながら、わざとらしく胸を寄せてくる……うわっ、挟むな、離れろっ!

「わ、わ、分かった! だから離れろ! いや、離れてください!」

「交渉成立ね」

 満足げに笑い、あっさり手を離すリンリン。で、俺を置いてさっさと外に出ちまった。


 ……どうやら長女に続いて、次女にも俺はしてやられる運命のようだった。

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