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俺と彼女らの7日間  作者: 瀬尾優梨
3日目 さよなら俺の純情
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 食事中、皆の視線が痛い。

 よく、「刺さるような視線」っている表現が使われるよな。まさに、その状態だ。四方八方から注がれる針のような視線。俺はその攻撃を一身に受けていた。

 リンリンに引きずられるように階下に降りると、シャリーには「不潔ですわ。いくらリンリンが美人だからって、夜這いを仕掛けるなんて」と非難され、ユイには「やはり、アーク殿も健康な青年男性だったということですね。動物としては正統な本能でしょう」と訳知り顔で頷かれ、テディには「びっくりしちゃったわ! ということは、あたしたちの出番はもうないってことかなー?」と脳天気に言われ、サランは「……ちょっとだけ、ショックでした」と幻滅する挙げ句。


 そう、つまり。リンリンが俺の寝床に忍び込んだのではなく、俺がリンリンを部屋に連れ込んだと解釈されていたようだ。

 いやいやいや、あの状況を見てどうしてそう判断するんだ!?

 テディ、サラン! おまえたちはちゃんと目撃しただろ!? リンリンに迫られる俺を!

 なお悪いことに、主犯たるリンリンは「そうなのよー、公子様ってば大胆でね」と、けろっとした顔で言ってやがる!

 で、俺たちより少し遅れて降りてきたジジイはというと。

「なんと! 貴様はやはり胸の大きさで女性を判断する輩だったのじゃな!」

 本気で首を絞めてやろうかと思った。


 ちなみに俺が見る限り、この五人姉妹の胸のサイズはリンリン>>>シャリー>>ユイ>サラン>>テディである。いや、決してやましい意味でじゃないぞ。


 と、とにかく! 事態は俺にとって不利な方向に進んでいっているようだった。

 そういうわけで、食事中の皆からの低温な視線は身に痛い。ひとつ、よかったことと言えば……今日の食事当番がリンリンで、思いの外彼女は料理上手だったということだ。


 昨日の経験から、俺の頭の中では「美人=料理下手」という図式が完成しつつあったが、そいういわけでもなかった。どんな料理を繰り出すのかと身構えていたら、皿に盛られたのは真っ白で丸い物体。

「……これは何だ?」

 俺はその物体をひとつ手に取って問う。ちなみに大きさは俺の片手に乗るくらい。上から見ると丸形で、横から見ると丘陵形。白くてぺたんとしていて、もちもちしている。

「あれ、あんた夢でつぶやいていたから知っていると思った」

 エプロン(これまた、狙ったかのようなきわどいデザインだ)を外してリンリンが言う。

「マンジューよ。うちの国の特産物だもの」

「え、これがマンジューなのか?」

 確かに、リュート王子に巨大マンジューを投げられる夢は見た。だが事実、俺はマンジューについては噂を聞いたのみであって実際に食べたことはなかった。だから、夢の中のマンジューは俺の想像上の産物だったと言える。


 俺は手の中のマンジューに目を落とす。学生時代、リュートはマンジューはリャンシ王国の特産物だと言っていた。

 リャンシ王国ってのはフォルセスよりずっと東……海を越えた先にある小さな島国で、つい数百年前まで未開の地として扱われていた。住んでいる人々も独特で、考え方も違う。だから、なかなか他諸国とは交友が繋げられなかったんだという。

 だが近年になってリャンシ王国と他国の王たちが条約を結び、友好国として交流を持つようになった。 世界の国々の中には、我がフォルセスやリャンシと敵対状態にあったり、冷戦状態、もしくは一切の交流のないところもある。だが、両国の距離の割にフォルセスとリャンシは交流が多い方なんだ。

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