2/108
「運命」以上に厄介な奴ら
運命というのは残酷だ。
本人の思いに構うことなく、人々を時間の流れへと押し出してしまう。
よく言うよな。「運命ほど残酷なものはない」とか、「運命に翻弄された人生」とか。
でも、俺にとって一番残酷なのは……間違いなく、あの「ジジイたち」だ。運命以上に質が悪い。
奴らのおかげで俺の人生がどれほど狂っただろうか。
でも、まあ。たまにはこういう「運命」も悪くないかな。
と、目の前の「彼女」を見つめながら、俺はこっそり「奴ら」に感謝した。
……面と向かっては感謝なぞしないぞ。
事の始まりは、一月前だった。