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俺と彼女らの7日間  作者: 瀬尾優梨
2日目 王道王道まさに外道
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 ということは……酒を飲まないのはテディとサランか。年少者二人って所だな。

 それにしても……と、俺は五人の女を順に見渡しながら考える。

 今までこいつらが「姉様」と呼んでいた関係を整理してみると……一番上がシャリー、次がリンリン、ユイ、テディと続いてサランだよな。

 でもよ……どー見ても年齢はこの順番じゃないよな? シャリーはサランと同じくらいに見えるし、リンリンはかなり年増……じゃなくて年上だな。間違いなく、俺より上。で、ユイが俺くらいで……テディはかなり若いよな? 十代半ばに見えるが……。で、一番「妹」のはずのサランは一番「姉」のシャリーとほぼ変わらず。

 うーん……さては、年齢以外で順番が決められているとか?


 聞くは一時の恥。知らないことがあったら即質問。

 俺の疑問に答えたのは「姉様」のシャリーだった。

「そうです。お察しの通り、私たちは血の繋がった姉妹ではありませんし、私が一番年上なわけでもありません」

「じゃあ、何を根拠で姉様呼びしてるんだ?」

「師匠の弟子になった期間の長さよ」

 テディがグラスを拭いている間、ヴォルフォヌテのボトルを手持ち無沙汰げにいじりながらリンリンが答えた。頼むからそのボトル、落としたりするなよ。

「シャリー姉様は一番、師匠の弟子の期間が長くて今年で九年目。私は姉様よりいっこ『年下』で、私の三つ下がユイ、次の年にテディ、それで今から三年前にサランが入ったのよ。だから、弟子暦が長い人が姉、短い人が妹としてうちでは流用しているのよ」


 なるほど……つまり、シャリーとサランが同じくらいの年でありながら「長女」と「五女」であるのは、シャリーの方が計六年分、長くここにいるから。逆に言えばシャリーはかなり幼い頃からこのジジイに師事していて、サランはそこそこ大きくなってから弟子入りしたってことだな。

「……まあ、私たちの略歴についてはこれから五日間、じっくり一人一人から聞いてくださいな」

 なにやら書き物をしているユイがそう締めくくるが……おい、おまえの背後からますます怪しげな目線を送ってくる妹がいるんだぞ。

 こいつら、いつまで例のことをサランに伏せておくつもりなんだ……実はサランのことを嫌ってるんじゃないか……とまで考えてしまった。

「はい、グラスの用意ができたよ! 姉様、注いで注いで!」

 きれいになったグラスを円形に並べ、リンリンがボトルの栓を抜いてルビー色のワインをグラスに注ぎ、そんで五人で乾杯して……。



 ……あれ? それからどうしたんだっけ?

 二日目の朝。俺はベッド上での回想を中断した。否、中断せざるを得なかった。なにしろ、乾杯して一口飲んだ後の記憶がないのだ。気分を晴らすためにも、そして滅多に拝めないだろうヴォルフォヌテを盛大に味わうためにもと、ぐいっと一杯目を煽った。ワインにしてはかなりきつくて、舌がピリピリしたと思ったら目の前が暗転して……。

 

 ……おい、まさかそれって……。

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