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姫の顔に、わずかな安堵と使命感が浮かんだ。メイドたちも、少しだけ顔つきが引き締まる。
ああ、素晴らしい。この「希望」が、絶望に変わる瞬間の落差こそが、俺の至福だ。
「わ、わかりました! 私にできることなら、何でも……!」
姫が意気揚々と答える。その瞬間、俺はニヤリと嗤った。
「そうか。なら、まずは『王家の血筋を絶やさないための儀式』だ。そして、君たちメイドたちには、その『儀式』を万全の態勢でサポートしてもらう」
俺の言葉に、姫の顔色が変わった。メイドたちも、意味を理解して凍り付く。
「儀式」なんて、あくまで表向きの言葉だ。俺が言っているのは、この世界の法律でも「神聖な儀式」として規定されている、とある「行為」のこと。
「ち、違うわ! そんな、まさか……勇者様が、そのような……!」
「そうです! 私たちは清らかな身で、主に仕えることを誓ったのです!」
「王は去勢された犬か。尚、哀れだな。ああ、高潔と言うのか。くだらん」
姫とメイドたちが、絶望と嫌悪に顔を歪めて後ずさりする。
だが、もう遅い。俺のチート『絶望の収穫』は、彼女たちの純粋な「精神的嫌悪」を、最高級のエネルギーとして貪欲に吸い上げていた。この後の神聖な儀式が捗りそうだ。
「なんだ? 『勇者様』の頼み事が聞けないのか? これも全て、この国を救うための『合法的な手段』なんだぞ? お前らが拒否すれば、国は滅びる。それは、お前らが望むことか? 可哀想な民だな〜」
俺は彼女たちの顔に、ゆっくりと指を滑らせた。
ひきつった悲鳴が喉から漏れる。
「それに、安心しろよ。俺は優しいから、ちゃんと『最高の絶望』を与えてやる。お前らの『誇り』も『純潔』も、全部俺のチートの栄養にしてやるからさ。その過程で、お前らが何を見ても、何をされても、二度と笑えない体になったとしても、それは全部、この国のためだ」
姫の瞳から、大粒の涙が溢れ落ちた。その体は、屈辱と恐怖で激しく震えている。メイドたちもまた、膝から崩れ落ち、ただひたすらに泣きじゃくった。
「そうだよ、その顔だ。ああ、堪らない。その『全てを諦めた表情』こそが、俺のチートを最高に輝かせるんだ。後、心もな」
俺は、彼女たちの心の奥底から吸い上げた「希望の残滓」と「屈辱の香り」を胸いっぱいに吸い込んだ。
「さて、まずは誰から始めようか? 姫様から、国の未来のために『種』を宿してもらうのが先かな? それとも、メイドたちに『訓練』を施して、俺専用の『癒やし』を提供してもらうのが先かな?」
玉座の間に響く、姫とメイドたちの、悲痛な、しかし俺にとっては至福の絶叫。
それは、城下町の民がまだ知らない、新たなる「絶望の夜明け」の合図だったらしい。




