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勇者が善人なんて誰が決めた? 俺のチートは、お前らの「絶望」で美味くなる。殺しや拷問を快楽としか認識しないぶっ壊倫理のゴミが異世界召喚に巻き込まれた話。  作者: 道徳心と引き換えに笑いを得る物語


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クライマックスなんてとんでもない。これはまだまだウォーミングアップ

一方、その頃。魔王城の謁見の間。

かつてないほどの緊張感が漂っていた。


「……報告しろ。勇者は今、どこまで来ている」


玉座に座る魔王が、苦虫を噛み潰したような顔で尋ねる。

報告に上がった魔将軍の一人は、冷や汗を流しながら報告書を読み上げた。


「はっ……。勇者は現在、聖女を奴隷として引き連れ、我が軍の斥候隊を荷物持ちにし、こちらに向かっております……。道中の村々では『聖女に治療させてから全財産を没収する』という、我々でも思いつかないような卑劣な手口で、人間界を経済的に壊滅させているとのことです……」


「……そいつ、本当に勇者か?」


「いえ、もはや魔族の間では『全知全能のゴミ』あるいは『合法の狂人』と呼ばれ、恐れられております。……先ほど届いた伝令によれば、『魔王城の維持費がもったいないから、近々差し押さえに行く。大人しく鍵を開けて待っていろ。拒否するなら、魔王軍全員にブラック企業の労働条件を強制適用する呪いをかける』とのことです……」


魔王は絶句した。

破壊と暴力で世界を支配しようとしていた魔王軍にとって、「絶望という名の精神的苦痛」で世界を蹂躙する勇者は、理解の範疇を超えた天敵だった。


「全軍に告ぐ……。


魔王のプライドが、音を立てて崩れ始めた瞬間だった。


────


「お、見えてきたな。あれが魔王城か。なかなか悪くない物件だ」


俺は馬車から降り、絶望で自力では立てないエリスの首輪に鎖をつけ、引きずっていく。そして魔王城の正門を見上げた。

門の前には、魔王軍の幹部率いる出迎え係が全員、臨戦態勢で整列していた。


泥にまみれたエリスを見て、魔王軍の幹部たちが息を呑む。


「エリス、お仕事だ。この魔族たちに、お前の『聖なる祈り』を見せてやれ」


「……っ、何を……させるつもりですか……?」


「何って、魔族の『福利厚生』だよ。こいつら、長年戦い続けて体がボロボロだろ? お前の魔力で、こいつらの傷を完治させてやるんだ」


エリスの顔に、今日一番の絶望が走った。

「人々のために」と誓った神聖な力を、今度は「人類の敵」を延命させるために使えという。これほど残酷な冒涜はない。


「できない……! そんなこと、神様が許さない……!」


「いいのか? お前が拒否するたびに、故郷の街の減税枠が消えていく。今、お前が『いいえ』と言えば、明日の朝にはあの街のパン屋の一家が路上に放り出されることになる。……ほら、早くしろよ。『慈愛の聖女』様だろ?」


エリスは震える手で杖を握り、涙を流しながら、魔王軍の幹部たちに治癒魔法をかけ始めた。

温かな光が魔族たちを包む。だが、その光はエリスの「魂の削り節」だ。傷が治るたびに、彼女の自尊心は粉々に砕け散っていく。堪らない。ゾクゾクする。


「あ、ああ……。俺の爪が……魔王様に引き抜かれた指先が、治っていく……。皮肉だな、聖女の力で治るなんて……」


魔族の幹部ですら、エリスに対して「同情」という、魔族にあるまじき感情を抱き始めていた。それほどまでに、彼女の姿は痛々しく、そして美しく壊れていた。


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