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「なっ…隊長が…!?」
「あ、あれは…我々の『存在意義』を食い潰している…!?」
残りの魔族たちが、本物の恐怖に顔を歪めた。
彼らは生まれて初めて、「死ぬこと」よりも恐ろしい「存在自体を否定される絶望」を目の当たりにしたのだ。
「さて、お前らもどうする? 『無意味な破壊者』として、俺に存在意義を食い潰されるか? それとも、俺の『絶望製造プラン』に協力して、新しい仕事を見つけるか?」
俺は満面の笑みで問う。
魔族たちは、震えながら、ゆっくりと、しかし確実に膝を折った。
彼らの心に巣食った「魔族としてのプライドの喪失」が、俺のチートをさらに高めていく。
「よろしい。じゃあ、まずはこの街の住民たちに、『自分たちの金が魔族の兵糧になる』ことを、合法的に告知してきてくれ。もちろん、異論を唱える奴は『魔王軍への反逆者』として、お前らが処分していい」
俺の言葉に、魔族たちは呆然とした顔で立ち上がる。
彼らは今、「魔王の手先」から、「勇者の手先」へと、新たな絶望の運び屋として生まれ変わったのだ。
魔族たちの告知が始まると、街には更なる悲鳴が響き渡った。
「私たちの血税が、魔王軍の兵糧に!?」
「勇者様は魔族と手を組んだのか!?」
「裏切りだ! 絶望だ!」
「ちっ、ちがう! これは勇者様のご命令で……!」
魔族たちは戸惑いながらも、俺の言葉通り、反発する住民を「処分」し始める。
かつて魔族を恐れていた住民たちは、今や「勇者」と「魔族」という、二重の絶望の板挟みになっていた。
「素晴らしい。この『裏切られた』という絶望の味は、最高級に等しいな!」
俺は高揚感に包まれ、街の光景を楽しんでいた。
その時、遠くから、眩いばかりの光が俺の元へと一直線に飛来するのを感じた。
「これは……『希望』の光か。ふぅん、なかなか質の高いエネルギーだ」
その光は、俺の目の前に降り立った。
そこにいたのは、純白のローブをまとい、聖なる光を纏った、銀髪の美しい少女だった。彼女の手には、輝く杖が握られている。
「あなたは……まさか、勇者様!? いえ、違います! あなたから感じるのは、あまりにも禍々しい、おぞましいまでの『闇』の力! この街を覆う、底なしの絶望の源は、あなたなのですね!」
聖女は、俺の姿を見て瞬時に「悪」と断定した。その瞳は悲しみと怒りに燃えている。
彼女の純粋な「正義感」と、俺に対する「強い嫌悪」、そして「この状況を何とかしなければ」という使命感が、俺の『絶望の収穫』に新たな、そして強力なエネルギー源として感知された。




