3話 ザル過ぎでしょ!
ビガーッ!
(今日も食器が眩しい・・・)
「アリエル様、こちらの食事をどうぞ」
「うん、リリアのご飯美味しい」
毎日毎食の様に眩い光を発する食器がうるさくて、今ではアリエルの食事はリリアが作る様になった。
(この五年どうやって生きて来たの?!)
「リリア、私お庭のブランコに乗りたい」
「はい、ではお外用のお洋服に着替えましょう」
リリアはアリエルの手をとり、衣装部屋の扉を開けた。
外着の服を手に取ると、盗聴器などが仕掛けられていないかを念入りに確認する。
バウバウバウバウバウバウバウバウバウバウバウバウ!!
カチッ
(ハスちゃん止められた!?)
「こんにちは王女様」
まるでカウボーイの格好をした男が帽子を取り挨拶をする。
リリアはすぐさまアリエルを後ろに隠す。
「だ、誰ですかあなた!どうやって入って来たんですか!」
「王女を一人で置いとくなんて無能なメイドだ」
男がやれやれと言った感じで呟く。
「だーれーでーすーかー!!」
精一杯叫ぶがリリアの声は届かない。
「あなた誰?どこから来たの」
リリアのスカートからアリエルが顔を覗かせる。
「これは失礼しました王女様。私の事はどうとでもお呼び下さい。あなたはこれから隣国ヘムルネルへ行き、高貴な御方の養女になるのです」
「なんですって!ヘムルネル?!」
『もし何かあったらこのイヤリングの宝石を二回押してくれ』
(そうだ、王子がくれたイヤリング!)
リリアは右耳の青い宝石の付いた小さなイヤリングに触れた。
「高貴な御方って誰よ!何のためにこんな事するの!」
「さぁ、王女様こちらへ。楽しい人生が待ってますよ」
リリアはマネキンを男に投げつけた。
「な!マネキンが飛んで来ただと!コレが聖女の力か?!」
リリアは男に飛びかかり、腰に抱きついた。
「突然体が重くなったぞ!コレも聖女の力か!!」
バァンッ!
「アリエル!リリア!」
「た、助けてくださーい!!」
「あの男を取り押さえろ!!」
キースが数人の騎士に命令する。
リリアはアリエルの元に駆け寄り抱き寄せる。
男は騎士達に連行された。
「アリエル、リリア」
「お兄様」
キースがアリエルを抱き寄せる。
「リリアも良く頑張った。ドアを張っていた騎士が手引きしたようだ」
(何度目?!ザル過ぎるでしょ!!)
「あの男、ヘムルネルの高貴な方の養女になるんだと言っていました」
「ヘムルネル、か」
「聖女信仰で稼いでいる国だからな」
「保護を名目にアリエルの引き渡しを要求してきた事がある」
「・・・・明日からクリスタルの浄化の儀ですよね。大丈夫でしょうか?」
クリスタルは世界各地に散らばっている、瘴気浄化装置の事だ。魔王討伐後に漏れ出した瘴気を吸い込み蓄積している。
その蓄積された瘴気を浄化し、クリスタルを元の状態に戻すのが聖女の仕事の一つだ。
(こんな状態で儀式なんてできるんだろうか・・・)
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