20話 堂々巡り
冬の終わりの事。
現在グランベール王立学園中等部の教室では一人の入学試験が行われていた。
ユナ・デギオン、魔法科志望の平民。
アリエル王女たっての希望と言う事で特別に実施されたものだ。
しかし、ユナと担当試験官は絶望していた。
残り後3分と言う所になっても三分の一も埋まって無かったからだ。
無情にも終了の鐘が響く。
「あ、はい。終了です・・・・」
「・・・・は、あ」
涙が出そうになるユナ。
「実技もDですか・・・・」
も、と言う試験官の呟きにDクラス確定を確信したユナ。
(E判定で一年生からやり直し、Dが最低ランク・・・・)
「終わった」
地獄の学園生活を覚悟するユナだった。
「成る様になーれ!」
ユナは両手を頭上に上げて叫ぶ。
驚く試験官と目が合い、死にたくなった。
ユナは走った。
祖母が待つ自宅までひたすら走った。
そして自分の部屋の中にある訓練場(異空間)に繋がるドアを開けて叫んだ。
「アリエルの馬鹿女ーーー!!」
『うちの学園長に推薦しといたよ!アリエル・グランベルより』
「じゃねーーよーー!!」
「貴族学校を受けるなんて言ってねーだろーがよ!!」
「試験官と目が合った時マジで死にたくなったわぁ!!」
「◑◀◀◆☆◆▲◑▶△■◁!!」
「アンタ本当に下品ね」
いつの間にやらリズレッドが後ろに立っていた。
「良いじゃない。貴族学校なら一般の学校より専門的な勉強ができるんだから、頭が悪くても入ってしまえばコチラの勝ちよ」
ユナの顔にふぅ、と煙を吹きかける。
「・・・・」
「じゃあ、今日の訓練始めるわよ」
「サッサと中に入りなさいよ」
幾つもの稲妻が網状に交差する異空間を、ふよふよとクリオネ型の影が泳いでいる。
「雷撃!」
「雷撃!」
「雷撃・・・・」
ユナは、分からなくなっていた。
これからどうしたいのか、どうなりたいのか。
(貴族学校に通って?自信ない。一般の学校じゃ強くなれない?そんな事分かんないし!そもそも何で強くなりたいんだっけ?青の本て何?何で守らなきゃいけないんだっけ?リズレッドそこに居るじゃん!頭がパンクする!)
「腕が下がってる」
「適当にやってんじゃないわよ」
「・・・・!!」
声も体力も尽きたユナは動けない。
「はぁ」
呆れた様に溜息をつくリズレッド。
「雷撃」
ガアアアン!
パアアアアン!
気怠げな詠唱に次いで、稲妻がサークル状に地を突きクリオネを囲う。
一瞬の後、クリオネの脳天を切り裂くように突き抜け散っていった。
「何か飽きたわ」
そう言ってリズレッドは消えた。
(まず、何がしたくて学校に行くのか?)
(で、何を守らなければいけないのか?)
(で、貴族学校でやっていけるのか?)
(本を守る為に強くならなきゃいけないから学校に行って勉強しなきゃいけないけどやっていける自信がない、と)
(で、強くなるためには一般より貴族学校の方が専門的な勉強ができる、と)
(で、そもそも何で強くならなきゃいけないのか、それは本を守らなきゃいけないから)
(でもその理由であるリズレッドはそこに居る、と)
「・・・・解決してんじゃん」
「イヤ、裏切る可能性がある!その時の為にもリズレッドより強くならなきゃいけない!」
「だから貴族学校に・・・・」
「堂々巡りじゃん」
「はぁ・・・・。疲れた」
ユナは異空間から部屋に戻りベッドに倒れ込んだ。
どれぐらい時間が経っただろうか、それは突然口に出た。
「・・・・あの時、私がちゃんとリールさんのサポート出来てたら、リズレッドを封印出来たのに」
「雪で壁を作って退路を断つとか」
「姿を消して目で追えなくするとか」
「身体強化、攻撃力に守備力アップ」
「・・・・」
「私ってもしかして、戦闘に向いてないんじゃないの?」
自分で言って置いてショックを受けるユナだった。
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