18話 底辺達の手紙
もうすぐ秋が終わると言う頃の事。
コンコッ、コンコッ。
「アリエル様、アリエル様!」
「ん何!?」
自分が宣言した事とは言え、嫌いな勉強を朝から夕方の今までやり続けて不機嫌になっているアリエルが、イラついた声で返事をする。
「この青い小鳥の足にユナ様からのお手紙が付いています。私が読みますか?」
リリアは人差し指に小鳥を乗せ、頭を撫でている。
「ユナから?!私が読む!」
アリエルはリリアから手紙を奪い、急いで手紙に目を通す。
『アリエル王女様、お元気ですか?
私は元気じゃありません。
冬の末にある試験を受けるために
リズレッドから指導を受けている
のですが、一発で匙を投げられま
した。
秋が終わった頃にそちらに店を開
くので遊びに来てください。
ユナ・デギオンより』
「秋が終わったらユナ達こっちに来るって」
嬉しそうに報告するアリエル。
「良かったですね。暫くは忙しいでしょうから、落ち着いた頃に遊びに行きましょう」
『ユナへ
私も元気ではありません。
同じく冬の始めにある最後の追試
の結果でクラスが決まり、勉強の
質と量が段違いだからです。
このままだと私は最下層クラスに
入る事になるでしょう。
七歳の子と一緒に一年生からやり
直しと言う事です。比喩ではあり
ません。本当に一年生からやり直
しです。
それだけは避けたいです。
引っ越しが落ち着いた頃に遊びに
いきます。
アリエル・グランベル』
小鳥の足に手紙を付けてベランダから飛ばして帰した。
「どっちもどっちね」
ふぅ、と煙を吐きながらリズレッドが切り捨てる。
「いいから荷物まとめるの手伝ってくれない?」
一人椅子に座って煙管を吹かしているリズレッドにイラつきながら手伝いをたのむユナ。
「嫌よ、面倒臭い」
「ほとんどアンタの荷物なんですけど!!」
バンッ!バンッ!バンッ!とリズレッドの服が大量に入った幾つもの鞄を叩くユナ。
「ほら終わったから、この鞄をそのマジックバッグに入れてよ」
渋々と言った感じでケースをバッグに詰めるリズレッド。
「ヨシ!綺麗さっぱりだね」
額の汗を拭いながら腰を叩くシュナ
「じゃあ、今度はお店と住居に行って荷解きだね」
「やっとなの?もう夕方よ、アタシお腹空いたわ」
ふぅ、と煙でワインボトルを描くリズレッド。
「転送クリスタル出して」
冷めた目で右手を差し出すユナ。
パキッ!と握り割り、三人は新店舗へと移動する。
「アタシの部屋から片付けて頂戴」
「はいはい!じゃあ三階からやって行きましょう!」
店はリズレッドの非常に強い希望で王都の貴族街に設けられた。
これは支店 "青のドレス"としてリズレッドが店長となり、素材を調達する事を条件に高級薬屋として開業する事になった。
本店シュナの薬屋 "赤の奏で手"は一般街道に設けられ、シュナを店長に、一般市民を相手とした手頃な店として営業する事にした。
「終わったー!!引っ越し完了!」
「明後日からお店開くよ!ドキドキする!」
「アンタは試験をどうにかしなさいよ」
リズレッドがバタバタと落ち着かないユナの顔にふぅ、と煙を吹きかける。
「ぐほっ!うはっ!」
「ほら、終わったんなら続きやるわよ」
「この数カ月、一度も休みないんだけど」
「魔法は一日でも休んだら腕が鈍るわよ、底辺」
冷めた目で煙を吐き捨てるリズレッド。
「ひいいい・・・・」
学園に入るのやめようかなと思うユナだった。
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