17話 カカオ95%のホットチョコレート
「はぁ、封印完了」
「アリエル様!アリエル様は?!」
リリアがユナに縋る。
「大丈夫」
ユナがアリエルのページを開くと、ポンッ!とアリエルが飛び出した。
「た、助かった〜」
アリエルは安堵で座り込む。
「アリエル様、大好きなカカオ95%のホットチョコレートですよ!」
「ありがとうリリア」
アリエルはリリアからホットチョコレートを受け取るとゆっくり口をつけた。
「はぁ、美味しい」
ガッ!
リリアがアリエルに抱きつく。
「ど、どうしたのリリア?」
突然抱きつかれて驚くアリエル。
「この人偽物です!アリエル様は苦い物は嫌いなんです!」
「本物のアリエル様をどうしたんですか!?」
暴れるリズレッドを逃さないように必死で抑え込むリリア。
スッ!とリズレッドの首筋に炎の剣を当てるユーリ。
「言え」
「・・・・」
悔しそうに顔を歪めるリズレッド。
アリエルの体からリズレッドが煙の様にスゥッと這い出てくる。
ガクッと項垂れるアリエルは静かに眠っている。
リズレッドがバッグから一粒のクリスタルを取り出し握り割る。
そして中の液体を周囲に振りまき言葉を呟く。
「壊れた家よ、時を戻せ」
ガタガタ、バラバラと破壊された家が時を遡って修復されていく。
「降参。もぉ世界を獲ろうとも思わないし、聖女に復讐しようとも思わないから封印だけは勘弁して」
ふぅと煙管の煙を吐くリズレッド。
「舐めてんのかお前」
剣をリズレッドの顔面に向けるユーリ。
「そんな事出来る訳ないでしょ!」
「速攻で裏切るに決まってる!」
指を差して叫ぶユナ。
「しないわよ。家、直して上げたでしょ?」
ふぅとユナに煙を吐きかけるリズレッド。
「いいよ、封印は勘弁してやる」
シュナがユナの前に立つ。
「ただし、うちの薬屋を手伝いな」
シュナがニヤッと笑う。
「はあ?!何で私が」
「封印!」
ユナが本を開きリズレッドにかざす。
パアアアアッ!
「ちょっとやめなさいよ!」
眩しい光を避ける様に腕をかざすリズレッド。
「ん、うるさいなぁ、何?どこ?」
ベッドに眠るアリエルが薄っすらと目を覚ます。
「アリエル様!ご無事ですか?!」
リリアが顔を覗き込む。
「リリア・・・」
「リリア!」
ベッドから飛び起きてリリアに抱きつくアリエル。
「アリエル様!ご無事でなによりです」
涙を浮かべて抱き合う二人を見てホッとするユナ。
「さっきの戦いで決めた。前から考えてはいたけど私ゃグランベールへ行くよ」
「はあ?何言ってんのお祖母ちゃん?!」
「森から出たくないって言ってたじゃん!」
本をギュッと抱きしめ問い詰めるユナ。
「アンタ魔法の使い方が全然なってないよ」
はぁ、と溜息をついて首を横に振るシュナ。
「ま、魔法なんて使わなくても生きて来れたし・・・・」
「教えてやるって言ったのに逃げたんだろうが」
「だからアンタをグランベールの学園に入れる。魔法の基礎からしっかり学んで来な」
「で、ユナが学園の寮に入る間、リズレッドが私の薬屋を手伝ってくんな」
「でなきゃ封印」
本を見せつけニヤッと笑うシュナ。
「わ、分かったわよ・・・・」
「私もちゃんと魔法勉強する。今回みたいに閉じ込められたらどうしようもないもん・・・・」
珍しく真剣に落ち込むアリエルに心配になるリリア。
「そうですね。色んな方にご迷惑をお掛けしました。私も一緒に勉強します。今度こそアリエル様をお守りできる様に強くなります」
「頑張りましょう」
そんな二人を見ていたたまれないユナ。
「分かったよ、私もちゃんと勉強するよ」
外を見るとすでに朝日が差している。
リズレッドはバッグから紫のクリスタルを出してリリアに渡した。
「これは簡易転送装置よ。国内程度ならこれで飛べるわ」
「行きたい場所を思い浮かべればいいだけだから簡単よ。あげるわ」
ふぅ、と煙を吹きかけながらリリアにクリスタルを渡す。
「うっ、けほ、あ、ありがとうございます・・・・」
咳き込みながらクリスタルを受け取るリリア。
「あの、私ユナ、ユナ・デギオン。アンタとは違う学園だけど、入学は来年の春ぐらいになると思うから、よろしく。たぶん同じ歳でしょ、十二歳?」
「うん、十二歳。私はアリエル・グランベル。よろしくユナ」
アリエルは両手を腹部の前で重ね、上体を曲げて挨拶をした。
(ぐっ!さ、さすが王女様、なんて綺麗な所作!)
アリエル達はグランベールの王城へと帰還した。
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