10話 アクアマリンは私の誕生石
「復活!しました。だから大丈夫ですよ。リリアはどこにも行きません。お外にだって出られますよ」
胸を張ってみせるリリア
「いい。家の中で遊ぶ」
「私のせいでリリアに怪我なんてして欲しくない」
リリアのスカートにしがみついて離れようとしないアリエルに元気を取り戻そうと奮闘するが、励ませば励ますほどアリエルは内に籠ってしまう。
「分かりました。私、剣を習います!」
「自分の身は自分で守ります。二度とアリエル様に心配は掛けません!」
「・・・・」
「私もやる!」
(勘弁してくださいよ・・・・)
ワイワイと盛り上がる二人を見て頭が痛くなるユーリ。
三人は訓練着に着替えて中庭に出た。
「じゃあ、コレ持ってみな」
ユーリは二人に子ども用の木剣を渡して構えの見本を見せる。
そして振り降ろして何度か素振りをして見せる。
「「えい!」」
アリエルは剣の才能があったのか、素振りが様になっている。
しかしリリアは振り降ろすと同時に体全体が引きづられ、腰と膝が曲がってよろめいている。
「ヨシ、分かった。エルはそのまま続けてくれ」
「リリア」
「はい!」
リリアは二、三度木剣を振っただけなのに、もう汗粒を出して息を切らしている。
「お前はもういい。才能が無い」
「え?!」
驚きのあまり木剣を取り落とすリリア。
「はぁ・・・・」
意を決した様にリリアに近づき青い、長方形の箱を差し出した。
「それでも着けとけ」
「エルはこれだ」
水色の袋をアリエルに渡す。
開けて見るとシンプルな銀細工が施された、アクアマリンのネックレスだった。
「宝石の部分を押してみろ」
言われた通りに押してみると、ユーリが着けているブレスレットから一筋の光がネックレスに向かって放たれる。
「また何かあったらそうしろ。お前の居場所を教えてくれる」
「エルのはハスキー人形をリュック型に改造したものだ」
「悪意を持つ者が近づくと吠えるのに加えて噛みつくようにした」
照れくさそうに言うユーリに一瞬ドキッとした。
「ありがとうユーリ!」
本当に嬉しそうにユーリに抱きつくアリエル。
「あの、ネックレス、ありがとうございます。大切にします」
(顔が熱い・・・・!)
リリアはパタパタと手で顔を仰ぎながら礼を言う。
「ヨシ!素振り百回だ!」
気恥ずかしくなったのか、リリアに対するその後の指導はやたらと厳しいものだった。
「腕が痛い、腰が痛い、膝が痛い・・・・」
ユーリの特訓は日に日に厳しくなるが、リリアは未だに素振り一つマトモに出来ず、アリエルの打ち込み訓練を脇で見ているだけだった。
そしてこの日、一日の業務が終わり、さぁ寝ようと言う時にそれは起きた。
部屋の隅の暗がりに、執事服のカロンが立っていた。
「ひ」
「静かにして」
カロンは瞬時にリリアに近づき、首筋にナイフを当てる。
リリアは咄嗟にネックレスを握る。
「僕はリリアさんを諦めきれません。」
「リリアさんが欲しい」
「僕と一緒に来てください」
「一緒に聖女を殺して僕達が暮らしやすい世界を作りましょう」
カロンはリリアね首筋にナイフを突き当てながら囁く。
「リリアはやらねぇし、聖女も殺させねぇ」
ユーリはカロンを背中から切り捨てる。
しかしカロンはユラリと幻となって消えた。
辺りは静寂に包まれる。
「お前面倒臭ぇのに目ぇ付けられたな」
「・・・・はいぃ」
勘弁して欲しいと思うリリアだった。
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