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冷遇された少女は竜神と出会い幸せを知る  作者: 加藤 すみれ


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3/6

優しい龍神様

「まさかそんな奴らが五大陰陽師家に存在していたとは…」

「他の家ではないのですか?」

「あぁ、たとえ霊力がなくとも召使いなどにはされず、しっかりその家の子として育っているぞ。自分の子だからな、それはそれは大切に育てているさ。」

「…そう、ですか。華純家がおかしかっただけなのですね。華純家に生まれてしまったから、私は...」

それから私は子供のように泣いてしまった。華純家に生まれさえしなければ、私は愛してもらえていたのに、華純家にうまれてしまったばかりに...

そう考えるとどうしようもなく涙があふれてきた。

「つらいだろう、泣きたいだけ泣け。」

龍神様はそういうと、とても優しい顔で笑った。

「すみ、ません。おち、つきました。」

「いい泣きっぷりだったな。今までよく頑張ったな。これからはここにいるといい。ここには、霊力がない奴だってたくさんいるからな。お前のことを悪く言うやつはいないさ。」

「よいのですか?」

「あぁ。働いたりもしなくていいぞ。今まで十分頑張ってきたのだ、今は休んでこれからどうするのか考えたらいい。だが、死ぬのはなしだぞ?」

「はい、わかっております。今死んでしまったら、あの者たちの思うつぼですから。これからよろしくお願いします。」

そういって頭を下げた。

「あぁ。よろしくな。」


それから数日、本当に私はなにもせず、悪口を言われたりもなく、平和に暮らしていた。

-あぁ、生きるというのは、こんなにも穏やかなものなのね。ゼロ様には感謝しないと。-

コンコンッ

「どうぞ。」

ガチャッ

「失礼するぞ。調子はどうだ?」

「ゼロ様!はい、おかげさまですっかり良くなりました。私あんなに豪華なご飯初めて食べました。」

「豪華って、あれはただのおかゆとみそ汁だぞ?」

「どちらも暖かいではないですか⁉私いつもカピカピのごはんと冷めた具なしのみそ汁でしたから...」

「そうか、飯もほとんど食べれていなかったのだな。調子が良くなったら、おいしいものをださせよう。」

「本当ですか⁉楽しみです。ですが、ゼロ様はなぜこんなにも私に良くしてくださるのですか?」

ゼロ様は考えるように手に顎をのせました。

「そうだな、俺が龍神だと知っても、力を貸すように言ってこなかったから、かな。俺が竜神だと知ると、人間はいつも俺に力を貸せと言ってくる。だがお前は、興味なさそうに俺から離れようとした。それが少しうれしくてな、お前なら俺自身を見てくれる気がして、死なせたくないと思ったんだ。」

ゼロ様は少し悲しそうな眼をした。

「そうなのですか、竜神というのも大変なのですね。ゼロ様はこんなにも優しい方なのに、なぜ中身を見ようとせず、力を求めるのか...」

「優しくなどないさ、助けを求めてきたやつを無視しているのだからな。」

「優しいですよ。私はその優しさのおかげで生きているのですから。」

「ありがとう、まひる。」


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