プロローグ:夏休み前のいつもの日
今回、初投稿になります。拙い文章ではありますが、楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。
初夏の光が差し込む居間で、春樹はじぃちゃんの手元をじっと見つめていた。
「ほら、こうやって紐を結ぶんだ。力任せじゃなくて、コツを掴むんだよ」
じぃちゃんは元軍人らしいきびきびした動作で、古いロープを結んで見せる。
春樹は真剣な顔で真似をする。何度もやり直すうちに、少しずつ形が整った。
「おお、なかなかじゃないか!」
ばぁちゃんが後ろから笑顔で声をかける。
「その調子、その調子。朝ごはんを食べたら、学校に行きなさいね」
春樹はにこりと笑い、ばぁちゃんが用意してくれた焼き魚とご飯、味噌汁、小鉢の漬物を口に運びつつ、朝食を楽しむ。
食事を終えると、じぃちゃんが外で待っている。
「春樹、時間だぞ」
春樹はかばんを背負い立ち上がる。
ばぁちゃんは笑顔で手を振り、じぃちゃんは「道中気をつけろよ」とひと言。
春樹は深呼吸して外に出た。朝の田んぼには朝露が光り、空気はひんやりと爽やかだ。
鳥のさえずりと虫の声が、静かな田舎の朝を満たす。
今日も学校で、凪と帰り道を歩くのが楽しみだ――。
普段通りの、何も変わらない一日のはずだった。
しかし、春樹はまだ知らない。今日の放課後、帰り道で目にする光が、彼の世界を一変させることになるなんて――。
週1〜3回投稿で頑張る予定では有りますが、何分、仕事が忙しく、お待たせするかもしれません。
その際は、優し〜ぃ気持ちでお待ち下さりませ。m(_ _)m




