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8.vs大地の魔法人形

「あれ、もう終わり?」


魔法人形の嘲るような声が聞こえる。

それに舌打ちしながら識月はバーセタイルを3つ放り投げ……。


「練成『炎魔えま』!」


全て炎の矢へと変換し、オオクシに飛ばす。

しかし彼に着弾する前に地面が隆起して壁となり、それに全て防がれてしまった。


「そろそろ手札無くなってきたでしょ」


ザッザッ、と足音が響く。

……かれこれオオクシに術で足止めを10分。

もう残りのバーセタイルは3つ。

あいつに勝つ方法は、ない。

でもそれでいい。

私はただの時間稼ぎ。

そう識月は自分を納得させて、オオクシの前に出る。


「お、やっと俺の前に出てきたか。ちまちま攻撃ご苦労さん」


「……どうも」


明らかにこっちを舐めている。

魔法人形(アイツ)がその気になれば、ここら一帯は余裕で吹き飛ばせるはずだ。


「さて!せっかく出てきてくれたんだ……多くの術を見せてくれた君にはお礼をしなければな」


「?」


お礼、だと?

識月が疑問に思っていると、突如オオクシの手のひらにオーラが集中していることに気づいた。


「俺の技を君に送ろう!」


スッ、とオオクシは正拳突きのようなポーズをとる。

瞬間、空気が震えた。

大地がオオクシを中心としてひび割れ、振動している。

識月には相手が何をしてくるかなんててんで見当がつかない。


……けれど、わかる事が一つ。

あれを受けたら自分は死ぬ。

絶対に。

そう感じると、急に足が震えてきた。

地面が揺れているからか、それとも自分自身が武者震いしているのか。

後者であって欲しい、と祈りながら識月は防御の準備をする。


「さあ、俺からのお礼だ現代の術師よ!“これは大地を走る嫉妬の炎。唸れ、昇れ、転れ!“」


(詠唱……!?)


詠唱は、錬金術師にとって重要な工程である。

意味を持つ言葉を述べて術に言霊を纏わせ、威力を向上させる事ができる。

その威力は通常時の三倍。

しかし、逆にリスクとして詠唱中の隙や体力がごっそり持っていかれることから『必殺』的な立ち位置として置かれているのだ。


「“恨み晴らさでおくべきか!“『猪突猛進ちょとつもうしん火纏おおひ大石いし』!!」


瞬間、それは顕現してこちらに迫ってきた。

人一人くらいを軽く飲み込んでしまうような大きさの石が、炎を纏ってこちらに向かってくる。

……詠唱で強化をする暇もない。


「練成、『水天雫波すいてんだは』!」


バーセタイルを水の元素に練成する。

金属は消え、一つの雫から波紋が広がり……水の壁ができた。

だが、これで耐えられないのは明白。

識月はもう一つのバーセタイルも使い風の練成も行おうとした。

しかし。


「……っつ!速度も炎も、増してる!」


坂でもないのにスピードが上がり続ける大石。

さらに、さっきの詠唱の影響か炎もどんどん燃え盛っている。

練成が、間に合わない。

しかも飛んで逃げても、オオクシに撃ち落とされるだろう。


「連鎖練成『水天雫波すいてんだは!』」


『連鎖』、という前と同じ練成をすることでその練成時間を短縮できる技を使って、火纏の大石を迎えうつ。

そして、ついに……衝突した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ジュウ、と焼けるような、蒸発するような音がする。

熱い。

痛い。


苦しい。


熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

なんで。

あの時なんで『逃げろ』なんて言ったんだろう。

どうして。

どうして2度しか会ったこともない人のこと助けたんだろう。

苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい

なんで、なんでなんで。


『……なんでできない……従っていれば……』


っつ、思い出すな!

嫌、嫌嫌嫌イヤ!

私は!

私は……。



私って、なんのために生きてるんだっけ?


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


識月の思いなど知らず、存在全てを燃やし尽くそうとする大石。

水の壁は全て蒸発し切った。

そして、識月は炎に飲み込まれ……。


「はあっ!」


なかった。

正確には、させなかった。

一人の少年が石を砕き、彼女を救ったからである。


「君はさっき逃げた人……元気してたかい?」


オオクシが彼に語りかける。

が、それを無視して少年……黒木宗谷は、識月の方を向いてこう言った。


「約束が守れなくてすまない。けど……家を壊されて怒らない奴はいない……それだけは、わかってほしい」


それは、まごうことなき言い訳。

よく見れば宗谷の右手(さっき大石を砕いた方)は火傷がひどく、左手もどことなく傷が残っている。

そんな状況でもこんなことを言うのか、コイツは。

そう思うと、識月はさっきの感情が吹っ飛び逆に面白おかしくなってきた。


「……なんで笑うんだ。まあいい、逃げてくれ。“八百美さんの作戦”だ」


「ほんと!?……わかった」


正直に言うと、識月はあまりよくわかっていなかった。

いくら宗谷が錬金術師(勘違い)だとしても、勝てる見込みはないだろうと。

だが、八百美道乃の作戦なら話は別。

彼女ならば勝てる、そういう信頼があるのだ。


「任せたわよ、黒木くん」


そう言い残して、彼女は戦場を去り八百美の元へ向かった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「さて、やろうか」


振り向き、オオクシの方へと体を向ける宗谷。

オオクシの方に注意を向けながら、宗谷は作戦を思い出していた。


『いいですか人間、勝とうと思わないでください。ま、思っても勝てませんけどね。なるべく注意を引きなさい。そうしたら後は私が……』


そこで意識を戻し、オオクシの方を向く。

オオクシは動かない。

こちらの動きを待っているのだろう。


「お望み通り、動こう」


そう言って宗谷はダッシュでオオクシの懐へ入り、一発をかます。

これが、開戦の合図となった。




「そうそう……動きなさい人間。ふふっ……これちょっと楽しいですね。ずっと見てたい……」


「貴方ねぇ!あいつ死んだら私も死ぬんだから、本気でやんさないよ!?」


「大丈夫です、勝てますよ」


也城高校の屋上でバーセタイルを投げてはキャッチを繰り返す道乃。

それを見て、ミクスセラムは本当に大丈夫か心配になる。


「……そろそろですね」


宗谷が防戦一方になってきた。

つまり注意が完全にあっちに向いている。


「ミクスセラム、少し離れていてください」


バーセタイトを宙に投げ、練成が行われる。


「は、貴方ここから投げるの!?それじゃ絶対無理じゃ……」


ミクスセラムの口が閉じる。

なぜならその練成は、今まで見てきたどれよりも“綺麗で、強く見えた“からだった。

そして、言霊が紡がれる。


「“暗闇に突き刺す、黒を殺す王の短剣よ。甦れ“。伝承練成、『ニア・カルンウェルナ』」


形取られるのは神聖なる短剣……その偽剣。

だかそれでも条件が揃えば、最強の剣と化す。


「征け」


道乃が手を振ると、短剣は敵の元へ飛んでゆく。

そうして剣は敵のみに突進してゆき……。


大地の魔法人形を、真っ二つにした。

「マジッQー!八回目らしいです。(他人事)そろそろ私以外の人を呼んできてもいいかもな〜と思い始めた時期!今回は詠唱についてもう少しだけくわしく!」


詠唱……言霊を紡いで術の威力を上げる工程のことだよ!でも基本的に時間かかるわ、噛むと一からやり直しだわと超めんどくさいのであんま使わないね!でも成功するとなんと威力三倍!めちゃ強い!だから追い詰められた時に使う人がとっても多いね。え、私?……ノーコメントかなぁ。


「詠唱はロマンだよねぇ!成功すればとってもかっこいい!と言うことでまた次回、よろしく〜!」

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