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おっさんの女体化に需要はない

 魔法を極める為に必要なものは何だと思う?


 これは魔法の道を志す者に必ず聞かれる問答である。多くは才能と知識と答え、教師や師によって否定される。決して間違っている訳ではない。足りないからこそ補足される。


 魔法を極める為に必要なもの。それは!


 知識。才能。努力。時間。そして、性別だ。


 知識がなければ魔法の使い方を理解出来ず。


 才能───即ち魔力を持って生まれなければ魔法は使えず。


 努力を怠れば成長はなく。


 膨大な時間を魔法の探究へと費やさなければ、魔法への理解を得ることは出来ず。


 そして、女性でなければ魔法を極める事は出来ない。




 私は魔法の知識はある。才能も努力も時間も、全て魔法の為に費やした。だと言うのに!男というだけで魔法を極める事が出来ないのだという!


 そんな事がまかり通っていい訳がない!何故、魔法を極める事が出来ない!確かに魔法使いとして大成し、名が知れ渡ってる魔法使いは全て女性だ。


 ───男に魔法を極める事は出来ない。


 師匠に口が酸っぱくなるほど言われた言葉だ。


 そんな訳がない。男にも魔法を極める事は出来る!魔法の為に人生を全てを捧げれば魔法を極める事ができる!


 イカれていると言われた。


 魔法に狂っていると言われた。


 そんな事は自分でわかっている。己の全てを費やしてでも魔法を極めたい。そう思うほどに魔法が持つ力に魅入られていた。


 私は世の中の全ての雑音を遮断し、洞窟へと潜んだ。人生の全てを捧げて魔法の探究だけに費やす覚悟をした。


 その甲斐あって25年の時をかけて私はある真実にたどり着く事ができた。


 それは精霊と呼ばれる存在。


 魔法使いとして大成した全ての魔法使いは精霊と契約する事で膨大な力と、未知の知識を得たのだと言う。


 それが分かれば私がやる事は決まっている。


 精霊と契約する為の手段を探し、3年の時をかけて精霊王を召喚することに成功した。


 精霊の王に認められる事が出来れば、精霊との契約ができる。魔法を極める事が出来る。


 ようやく手に入れたチャンスに興奮する私に精霊王はこういった。


「精霊と契約するには術者の処女の血を我に捧げなければならない」


 ───何を言っているか意味が分からなった。


 遅れて理解した。この精霊王は性欲王なのだと!女にしか興味がなく、ユニコーンよりも厄介な処女厨なのだと!


 そこでようやく世の真理を知った。


 何故、女性だけが魔法を極める事が出来るのか。それは精霊と契約する資格を持っているからだ。その資格を大切に守り抜いた者のみが、栄光を手に入れる事ができる。


 男はそもそも資格を持って生まれない。スタートラインにすら立てない。


 なんという理不尽。なんという不条理。


 それでも尚、諦めきれない私は精霊王に縋った。ちんぽこを舐めてもいい!お尻の処女を捧げても構わない!私にもチャンスが欲しい。


 精霊王はそんな私を見兼ねてこう提案してきた。


「ならばお前の体を女へと変えて、その処女をいただこう」


 ───これが性欲王の貫禄とでも言うべきか!


 私は精霊王の慈悲により、チャンスを得た。女になる事も処女を失う事も私からすれば些細な事だ。魔法を極める事が出来ればそれでいい。即答した私に精霊王が少し引いていたが構わない!


 こうして私は精霊王の力によって女体化した。


 さぁ!私の処女を捧げよう!精霊王が望む処女の血を捧げ精霊と契約する!


 服を全て脱ぎ捨て裸一貫で精霊王と対峙した私に、かの王はこう言った。


 


「ちぇ、チェンジで」




 チェンジとは何だ!そんな物は知らない!さぁ抱け!私の処女を破れと何度も迫ると精霊王は、精霊との契約を私に押し付けて去っていった。


 何故、私を抱かない?何故、私の処女を奪わない?疑問は尽きなかったが、当初の目的である精霊との契約は成した。


 精霊の召喚方法は既に把握していた。


 私は契約した精霊を召喚し、本契約を結ぶ形で精霊の力の私の知り得なかった知識を手に入れた。これこそが私が長年追い求めた魔法の力。魔法の極み!


 一通り魔法を試した後、探求の為には一度頭を冷やす必要があると考えた。魔法を探究するのであれば興奮してはいけない。常に心は冷静であるべきだ。


 浮かれすぎてる心を沈めるに湧き出ている洞窟泉へと足を進めた。そこで、精霊王が逃げ帰った理由を悟った。


 ───泉の水面には一人の女の姿が浮かんでいた。醜く肥えた体と、皺の目立つ太めの顔。一言で表すのならば醜い女オークといったところか。


 なるほど。かの、性欲王が逃げ出す訳だと自分でも納得した。


 魔法を極める為に全てを犠牲にする覚悟でいたが、これはダメだと一発奮起。


 二年の時を費やしたが、精霊パワーも借りて絶世の美女に大変身を果たせた。精霊の力って凄い。


 実年齢は50を超えるが外見だけで言えば20代で通じるくらいに若々しい。なんという美女だ!中身はおっさんだけど。





 さてさて、ここまでが語るに長い魔法使いフラウ・ティーエースが洞窟を出るまでの一人語り。


 精霊の力を手に入れ、魔法を極めたはいいが⋯⋯目標を失った。これまでの人生は魔法の為だけに費やした。魔法を極める。それだけの為に生きてきた。


 目標を失った今、正直何をしたらいいかは分からないけど、精霊の助言もあったので長い時を過ごした洞窟を出ようと思う。


 魔法は極めた。さぁ、次は何を極めようか。

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