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– ナインソウルズの沈黙
ナインソウルズの一日は「廃墟ゾーン」で始まる。そこは眠る者たちがいびきをかかず、ただ静寂に包まれる場所。
午前8時9分から10時25分まで、彼は海藻チップスを食べる。そしてお気に入りの漫画を読み、そのときだけわずかに微笑む。漫画の登場人物のドジな姿に、彼はコウイチを重ねる。
ある日、コウイチがふざけてグラにイカ墨をぶちまけようとしたが失敗し、代わりに自分がやられてしまった――そんな光景も彼を笑わせる。
だが、ナインソウルズは眠れない。もし夢を見れば、そこで生じた破壊が現実になってしまう。だから彼は眠らず、悪を少しずつ喰らい続ける。それが彼の孤独な日常だった。




