VTubers Zone Archive 001 : Final Season 第1話 ― イオルの裁き (前回まで)
VTubers Zone Archive 001
Final Season
Chapter 1 – イオルの審判
(前回)
「や…やった。
イオルを倒した。
ラスボスは撃破、そして人々の変異も治すことができた」
基地で、イオルを閉じ込めた拘束カプセルを見つめながら、エミキクスが言った。
「そうだ…本当にやり遂げた。
よくやった、コイチ」
グラがそう言った。
VTubers Zone Archive 001 : Final Season
第1話 ― イオルの裁き
(前回まで)
「……やった。
イオルを倒した」
「最終ボスは撃破。
転換された人たちも、元に戻せた」
基地で、イオルを封じたカプセルを見つめながら、エミキクスが言った。
「……本当に終わったんだ。
よくやったよ、コイチ」
グラがそう言った。
大きな戦いは終わった。
――そう思われた。
「俺が本当の神だ。
ヘンリー・ラインズと呼べばいい」
(裁判、開廷)
「被告イオル。
第三、第四、第五世界を滅ぼした罪により、死刑を言い渡す」
「何か言い残すことは?」
冷静な声で、裁判官席のグラが告げた。
「後悔してると思うか?」
「殺したきゃ殺せ。
何も変わらない」
「俺は多くの者に“思想”を残した。
俺より酷い奴らはいくらでも生まれる」
「ははは」
イオルは笑いながら、全員を見渡した。
「……黙れ」
コイチの拳がイオルを殴り飛ばした。
大反乱。
英雄の堕落。
そこで死んだ、数え切れない命。
その全てが、拳に乗っていた。
「なあ、コイチ」
「これで終わりだと思うか?
正義が勝つと思うか?」
――沈黙。
「違う」
「俺は“ラスボス”じゃない」
「俺はただの――
“アルフィル”だ」
「本当のボスは……神だ」
その瞬間、法廷の空気が凍りついた。
イオルが違うなら――
神がいるということになる。
(救出された者たちがいる基地)
「大丈夫だよ、チビドキ。
神が来たんだ。助けてくれる」
エミキクスは、希望に満ちた顔で言った。
「違う!」
「みんな、聞いて!
そこから逃げて!」
「神は味方じゃない!」
グラの叫びは――
間に合わなかった。
基地が、爆発した。
神――ヘンリー・ラインズは遊んでいなかった。
これは“本当の脚本”だった。
「何をしても無駄だ」
「俺は全てであり、何でもない」
「だから、俺に傷はつかない」
「疲れない。恐れない。弱点もない」
――ただ一つの動作で。
パチン
希望だった星々が、全て消えた。
(再び、裁判の場)
「クソ……どうする、コイチ」
「こいつを生かしておけない。
でも殺せもしない」
「……囮に使うしかないか」
グラが歯を食いしばる。
「大丈夫だ」
「きっと明日は来る」
「主人公じゃなくても……
神の導きじゃなくても……」
「俺たちは信じる」
コイチは、無理やり笑った。
「……くくく」
「何が可笑しい」
イオルを睨む。
「真実を教えてやるだけだ」
「お前は……
この脚本の“エラー”だ」
――沈黙。
「お前は神が作った存在」
「完璧な英雄になるはずだった」
「だが失敗作だった」
「過去の型の、悪い部分だけを引き継いだ」
「美しくない。強くない」
「能力も、超新星の中で最悪だ」
「この世界に“覚醒補正”なんてものは存在しない」
言葉が、コイチとグラを凍らせた。
完璧な神。
完璧な脚本。
全ては、最初から決まっていた。
「着いたよ!
大きな波で来た!」
グラの声は震えていた。
もし自分が“エラー”なら――
神は、世界ごと消しに来る。
「コイチ」
「俺がお前を作った」
「お前はエラーだ」
「でも安心しろ」
「このマルチバースを壊して、作り直す」
「今度はBOTだけでな」
「完璧な物語のために」
「脚本は完璧だ」
「……ほんの少し、変更があっただけ」
神の声は、全員の頭に直接響いた。
世界は盤上。
神は王ではない。
プレイヤーだ。
彼らは――
駒。
誰も、安全ではなかった。
「もうやめろ!」
「信じてくれる人たちを逃がす!」
「VTBは終わってない!」
エミキクスは配信用トランスミッターを掴んだ。
四人は変身する。
……コイチだけ、スーツを逆に着て滑り、泥に落ちた。
「……マジかよ」
小さな笑い。
だが真実は変わらない。
最終決戦は終わった。
神との戦争が、始まっただけだ。
「来い」
「四人揃っても無駄だ」
「俺が“絶対”だ」
ヘンリー・ラインズが転移する。
「今だ!」
グラの叫び。
チビドキが爆発で空へ舞い上がる。
虹色の炎、ユニコーン、イルカ、星――
全てを巻き込む一撃。
「はは……触れもしない」
「言っただろ。
俺は“無”でもある」
瞬間移動。
コイチの腹に、直撃。
グラの水滴が、かすかに当たる。
「濡らしたな」
時間が止まる。
一蹴りで、グラが吹き飛ばされた。
「日曜拡張――
ゲーマールーム、オタク部屋!」
エミキクスのドメイン。
「借金多すぎだろ……」
「……いや、回収する側か」
笑いながら、神はドメインを破壊し、エミキクスを地に叩き落とす。
「もう飽きた」
「終わりだ」
その瞬間――
チビドキが弾丸のように突っ込んだ。
岩を千も砕き、神を吹き飛ばす。
「……これが痛みか」
「赤い液体……血?」
「面白い」
「これが“怒り”か」
独り言のように呟く。
チビドキを蹴り飛ばす。
「昨日の幸せが消えても……」
「俺は戦う」
「憎む自分より、許す自分でいたい」
コイチが突進する。
ユエイの九つの影。
無言の連打。
「背中が……血?」
「疲労……?」
「初めてだ」
「……楽しい」
神は高速で後退し、コイチを掴む。
天空からのスープレックス。
時間と空間が砕けた。
「……ぐっ」
血を吐き、倒れるコイチ。
次の瞬間――
グラの前に、神がいた。
彼女は血を流して倒れる。
「反応は早かったな」
「でも、その水……爆発した」
「ほら、骨が見える」
「興味深い」
神は空へ戻る。
闇の住処。
脚本を書き続ける場所へ。
物語は――
まだ終わっていない。
「止められた……と思う」
「でも、本当に傷つけられる存在が必要だ」
コイチの視線が、封印箱へ向く。
その中で――
レイラが、イオルを喰らい、融合していた。
彼女は選んだのだ。
(次回:血の計画、始動)
「……あの力、使えるかもしれない」
「神の力の一部だ」
雨の中、
姿を取り戻した人々が、残された四人の英雄を見つめていた。
「今度は……
私が苦しませる」
「行こう」
「今だ」
(次回:血の計画、始動)
「……あの力、使えるかもしれない」
「神の力の一部だ」
雨の中、
姿を取り戻した人々が、残された四人の英雄を見つめていた。
「今度は……
私が苦しませる」
「行こう」
「今だ」




