Vtubers Zone アーカイブ001:「この世界の闇を知った日 ― パート2」
ミナの旅が始まった。彼女はすべてを捨て、服と師匠の古い武器――逆世界を滅ぼし断罪したという サカラ・テインケイ の刀だけを携えて出立した。
ミナの旅が始まった。彼女はすべてを捨て、服と師匠の古い武器――逆世界を滅ぼし断罪したという サカラ・テインケイ の刀だけを携えて出立した。
「ふう……長い旅だった。どこか王国が見つかればいいけど」 ミナ・スタイルは決意を帯びて言った。まだあの夜、3012年10月27日の出来事を忘れてはいない。(注:その日は3012年10月27日だ。忘れないでくれ。)
「アジアへ行かなくちゃ。ダンジョンに潜ってレベルを上げないと、この刀じゃ役に立たない。マナの再生も必要だ」 ミナは、用心深くも静かに呟き、用心棒の小屋へ向かった。そこでは暗殺者と三匹の熊のような眷属を討ち、マナと青い護符を手に入れたのだ。
「リンシー・ストーリー・ボアート、ようこそ」――機械の女声が静かに応答した。長年、じっと待っていた声だ。
「彼女の話を聞いたわ…ああ、彼女は死んだのね。王家の口頭部隊の下位にいた人間だった」 ミナは思い返すように言った。「たぶんもう、あのダンジョンに行くべきだわ」
ダンジョンはシェアデジョン――鹿の体をしたアナグマのような獣が住み、どんな毒も耐えるという。ミナはその奥へ歩を進める。
一方、深淵のほうでは――
「娘だって? どういうことだ…私に娘が? いや、彼女はもう死んでいるはず」 第一の上位ルナ、ヤマト・スタイルは言った。彼女は3005年10月27日に自分の娘の死を目撃していたのだ。
「お嬢様、それはお嬢様の娘です。呼吸だけで半キロを支配・消滅させ、推定では十万ヤード以上を破壊しました。VT出力は57%でした」 管理官は真剣な表情で答えた。
「娘、か…わかった。妹を送ろうか。いや、異母妹と言うべきか。リンシー・ストーリー・ボアート、来なさい」 ヤマトは六歳の少女のゾンビ化した遺体を呼び寄せた。あの時代はまだ生命の意味が知られておらず、スーパーノヴァが世界を席巻していた。
「お嬢様、マジン・リラックスの器をお持ちです。賢者が身体を移す計画が――」 管理官は興奮と恐怖で声を震わせる。世界を取り戻す計画が戻ってきたのだ。
別の場所、ミナの周囲には追跡の気配があった。彼女の足跡は地中海へと続いている。
「追われているような気がする…でも怖くはない。私を怖がらせるものはもうない。私は上位ルナを二体倒した」 ミナはパノラマゴーグル越しに後ろを見て、結晶化した水のダムへと歩みを進める。
「ねえ、寂しい? それともただ、再び見るのが怖いの?」 少年がつぶやく。ミナはゆっくり近づき、その目を開かせた。
「なぜ寂しいの? 君は“ソル”だとしても、魂を吸う者だ。九つのうち最後の一つで、八番目は既に消えた。君は…ナイン・ソウルズか?」 ミナは歴史を必死に学んでいた。興奮交じりに問いかける。
「どうしてそれを…知っているんだ? 我らの種族はもう存在していないはずだ…君は、僕のことを――」 ナインは怯えた声を漏らす。
「ふふ、まあ続けようよ――」
「姉さんだ」――ナイン・ソウルズは口を挟む。彼は愛を知らず、陰の女神カンジ・シドと結ばれている。
「君は馬鹿ね、ふふ。私たちは兄弟になろう。私はミナ、私のVTは“ファッション”。流行ってない服だと一瞬で消し去るけど、今は弱体化されていて季節次第なの。今日は冬。だからその夏服を変えなさい」 ミナは少し苛立ちつつ言った。VTが効くまで頭が痛むのだ。
静寂の中、二体の上位ルナが現れる。
「ミナ、母が待っている。行かないのか?」
「行くわよ」――双子の第3と第5のスーパーノヴァが告げる。
「見せてやる、私のVTを」 一体が言い、*VT発動:悪の消費*が発動する。
「恐ろしい。少しでも悪意を持つ者を消し去る。それは禁忌の技で、村は壊滅した」 ミナは驚嘆する。ナインは腕を影の剣に変え、二番目の兄弟の攻撃を止め、腕をドリルに変えて粉砕した。防御しても意味がなかった。
「放せ、兄を」 兄弟の一人が叫ぶ。だがナインは溢れる力で不可侵の鎧を纏い、兄の腕を完全に消し去る。
「去れ」 ミナは刀を持って背後へ回り、その首を断った。
「兄よ、お前たちは死ぬべきだ」 兄の一人は言い、己の兄を喰らってVTを奪い、二人の子供をジャングルへ放り投げた。そこにはかつて捨てられた龍がいた。破壊者でありたくない龍だ。
「助ける、心を読む。僕はどんな宇宙にも行ける。皆が死ぬのを見て、僕にはもう残るものはない」 ガンガリオン――ドラゴンタイガーがVTを発動し、上位ルナを《UNE》という別宇宙へ送り込む。そこでは最も苦しい時間を強制され、自殺に追い込まれるという。ガンガリオン自身も一時間後に耐えきれず命を断った。
「よし、残りは六つの上位ルナだ」 ミナは巻物に記す。
「いや、残りは三つだ。僕が一つ喰らい、ガンガリオンが三つを殲滅したから」 ナイン・ソウルズが冷静に言う。
「なぜ僕らが兄弟なのか?」 ガンガリオンは問うた。
「ガンガリオン、見て。兄弟になって契約しよう」 ミナは提案する。ガンガリオンはVTSの存在を知っており、その言葉に怯む。
「いいだろう。ただし、互いを見捨てるな。誰かを見捨てれば、皆が苦しむ」 ガンガリオンが師のように言い、三人の絆が結ばれた。上位ルナに対する作戦を練る時が来たのだ。
「ミナ、来なさい。私を斬れるなら斬ってみなさい、子よ。私はお前の母だ。あの刀を持ってお前は来るだろう」 第一の上位ルナが言う。VT発動:サジタリオ ― 死の星座。彼女は星座を操り、女神オミカミと繋がっている。
「来てみなさい、子よ。兄弟と呼ぶ者で私を斬れるか。忘れ去られた妹をここに紹介しよう――焼かれ、斬首され、再構成されたリンシー。さあ遊べ、我が子たち」 第一スーパーノヴァは嘲るように言った。
――(次回予告)――
「彼女はゾンビ化した肉体を乗っ取った。止めなければ」
「行け、ミナ。止められはしない」
「ミナ、私は君を信じている」
「ミナ、今こそそれを使うんだ。覚えて、ミナ。本当の道は海にある」
次回:「我ら皆、立ち上がる ― パート3」
――(次回予告)――
「彼女はゾンビ化した肉体を乗っ取った。止めなければ」
「行け、ミナ。止められはしない」
「ミナ、私は君を信じている」
「ミナ、今こそそれを使うんだ。覚えて、ミナ。本当の道は海にある」
次回:「我ら皆、立ち上がる ― パート3」




