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第16話 エルフと女子力対決

エルフのお姉さん好き。

 ある日、王城に一報が届く。

 山間の町、ネオタナが料理皇帝ラズフォード・アルカディアの配下によって占領されたという知らせだった。

 ネオタナは、美味しい景色と、おいしい山の幸で知られた平和な町だったが、今はそのすべてが料理皇帝のもとに屈してしまっているという。


「料理皇帝が町を占領……」


 俺は唇を噛み、報告書を見つめた。

 彼の配下にいる料理人たちは、次々に町を制圧し、バトルキッチンに敗れた料理人たちは従うか、料理人の道を捨てるかの二択を迫られるらしい。


「リク、私たちでその町を取り戻そう。料理皇帝に負けるわけにはいかない」


 レイラの力強い声が耳に響く。

 彼女の瞳には、揺るぎない決意が浮かんでいた。


「そうだな。放っておけない。行こう、ネオタナへ」


 俺も力強く頷いた。

 これ以上、料理人たちが無念の涙を流す姿を見たくはない。


 俺たちはいつものメンバーでネオタナへと馬車を走らせた。

 レイラ、イリス、フィーナ、そしてガーネット。

 それぞれ落ち着いているようだが、明らかに全員が緊張を隠せなかった。

 料理皇帝の配下に勝つためには、これまで以上に全力を尽くさなければならない。


「報告にあった配下の女エルフって、なかなか厄介そうだな」


 ガーネットが重い口を開いた。

 イリスが頷き、みんなに確認するように言う。


「町の料理人全員がそのエルフに敗れたと書いてありました。彼女は魔法を使いながら料理を作るとか……」

「料理魔法使いってやつか……」


 口から自然と呟きが漏れる。


「あーっ、前にリクも戦ったことあるよね、料理魔法使い」


 フィーナが思い出したかのように声をかける。


「イリスと買い物に行ったときに戦ったダークエルフ……コーネリアだったか」


 以前戦ったダークエルフのことを思い出す。

 炎の魔法を使い、派手に肉を焼く。

 調理の段階から美しさで人を魅了するかなりの強敵だった。


 次の相手も料理魔法使いのエルフ……。

 俺は拳を握りしめ、やる気を奮い立たせていた。


 ネオタナに着いたとき、町は不気味なほど静かだった。

 まるで活気を失ってしまったかのように、人々は沈んだ表情で通りを歩いている。


「おかしい…この町、以前来たときはもっと賑やかだったはずだ」


 ガーネットが周囲を見渡しながら、眉をひそめた。


 そのとき、遠くから聞こえてくる歓声が耳に入った。

 どうやら中央広場で何かが行われているようだ。

 俺たちは声のする方へ向かい、広場にたどり着く。

 そして、その光景に驚愕した。


 広場にはバトルキッチンの設備が設置され、町の人たちが勝負を見守っている。

 見守っている先には、俺が一度戦ったことのあるダークエルフの料理人、コーネリア・ナイトウィンドがいた。

 しかし、彼女はその場で膝をついて倒れている。

 そして、その前に立っていたのは、美しいピンクブロンドの長髪をなびかせて、冷ややかな表情を浮かべた女エルフだった。


「コーネリアが……負けた?」


 一度戦っただけだが、彼女が実力者だということは、はっきり分かっていた。


「見なさい。これがラズフォード様の教えを受けた者の実力ですわ」


 女エルフは冷酷な声でそう言い、コーネリアに手を差し伸べた。


「契約通り、わたくしの女になりなさい、コーネリア」


 コーネリアはその手を握りたくないとでも言いたげな表情だったが、敗北を認めざるを得なかった。

 彼女の強靭なプライドを打ち砕いた敗北。

 それが目の前で起こっている。


「コーネリア……!」


 俺は思わず前に出た。


「リク!」


 レイラが俺の腕を引いたが、俺はその手を振り払った。


「なんですか、あなた……?」

「俺はリク・アマギ。料理人だ」


 エルフの前に立ち、どっしりと構える。


「まさか、わたくしにバトルキッチンを挑むおつもり?」


 俺は女エルフに挑戦的な視線を向け、それを返事とした。


「わたくしの名はシルヴィア・アースウィンド。料理皇帝ラズフォード様の右腕として、すべての料理人を屈服させる使命を帯びていますわ」


 彼女の瞳は鋭く、人を見下しているようだ。


「そうねぇ、あなた、いい女を連れてるじゃない?」


 こちらの女性陣を品定めするように眺める。


「あまりじろじろ見るなよ」


 レイラたちは気味の悪さにじりっと後ずさる。

 シルヴィアはニヤリと微笑みながら言う。


「バトルキッチンで、もしあなたがわたくしに勝てたなら、この町もコーネリアも自由にしてあげましょう。でも、負ければあなたの女は全て私のものにします」

「なっ……⁉」


 俺がその条件にたじろんでいると……


「その条件でいいわ、リク。町もコーネリアも助けられるならそれが一番よ」


 レイラが条件を飲んだ。


「そうそう、リクが勝てばいいんだよ! 前もあたしのこと助けてくれたじゃん!」

「今のあなたはこの国でも随一と言っていいほどの実力をつけています。自信を持ってください」


 フィーナとイリスも応援してくれる。


「ガーネットは、いいのか?」

「いいさ、君は勝つからね」

「ありがとう、ガーネット。それにみんなも……。みんなのこと、俺が預かる!」


 俺は拳を握りしめ、強く答える。


「その条件でいい。彼女たちも了承してくれた……。よし、勝負だ、シルヴィア!」


「なんて理解のある女たちですこと。絶対にほしいですわ」

 

彼女の声は柔らかく、しかしその言葉には確かな自信が込められていた。


「……と、その前にテーマを決めないといけませんわね」

「そうだな、テーマは『女性が喜ぶ料理』でどうだ?」


 シルヴィアが口元に手を当て、楽しげに笑う。


「そのテーマ、女であるわたくしが有利でなくって?」

「問題ない。俺は仲間たちにうまい料理を食べてもらいたいってだけだからな」


 彼女の目が一瞬きらりと光った。

 彼女は唇を軽く噛み、視線を再び俺に向けた。


「ふ、ふん、承知いたしましたわ! ちょっとカッコいいことおっしゃったところで、わたくしには勝てませんことよ!」


 ――――――――――


 シルヴィアとのバトルキッチンが始まると、広場の空気が一気に張り詰めた。

 審査員は先ほどのコーネリアの戦いに引き続き、ネオタナ随一のシェフ、オズモンドが務めることになった。

 彼は以前シルヴィアとのバトルキッチンで敗北し、現在は彼女の言いなりになっている。

 しかし、深い皺の刻まれた顔に疲労の色が見えるものの、その目はまだ料理人としての鋭さを失っていないようだった。


「審査員として選ばれた以上、公平に評価する」


 オズモンドは渋い声でそう言い、俺たちふたりを順に見つめた。


「もちろんだ、俺はこの勝負に全力を尽くすだけだ」


 俺は深く頷いた。

 一方、シルヴィアは冷静な表情で、オズモンドを一瞥した。


「わたくしも、公平な審査を求めるだけですわ。ただ、わたくしの料理がいかに優れているかを知らしめるだけ」


 バトルキッチンの宣言もまた先ほどの戦いに引き続き、この町に住んでいる魔法使いの男が務める。


「では、ルールの確認をします。テーマは『女性が喜ぶ料理』。それぞれが一品ずつ料理を作り、シェフ、オズモンドが評価します」

「シルヴィア・アースウィンドが勝てば、リク・アマギが連れている女性たちを得られ、リク・アマギが勝てば、コーネリア・ナイトウィンドとネオタナが解放されます」

「それではバトルキッチン開始!」


 俺は改めてシルヴィアを見つめた。

 彼女の目には冷たい自信が宿っている。

 しかし、俺はここで負けるわけにはいかない。

 仲間たちは絶対に守らなければならない。


「テーマは女性が喜ぶ料理。ここは、得意料理のアレで勝負する」


 俺は持ってきた“黄金の鍋”の前に立ち、すぐに準備を始めた。

 セレスティアルはもちろん、俺が作った各種調味料に、市場で探し回ったスパイスたちも持って来ている。


 一方、シルヴィアも準備を始めていた。

 彼女は材料に、じゃがいも、小麦粉、生クリーム、チーズ、ベーコンなどを選んでいる。

 なかなかカロリーが高そうなものを用意して、なにを作るのだろうか。


 それはそれとして、こちらも調理を始める。

 まずは玄米を炊く。

 安直だが、玄米や雑穀米は白米よりも女性ウケがよい。

 こちらの世界の女性にウケるかはわからないが……。


 次に、黄金の鍋にたっぷりのオリーブオイル、ローリエ、クローブ、黒コショウ、赤唐辛子(スパイスは全てホールのまま(すり潰さないまま))を入れ、火にかける。

 これは油にスパイスの香りを付けるためで、ローリエが変色したら、スパイスを取り除く。

 スパイスは取り除かなくてもいいのだが、食べるとき邪魔になる。


 次はベースとなるみじん切りにした玉ねぎを投入し、炒める。

 はじめは強火で炒めて水気が飛んだら、みじん切りにしたニンニクとショウガ、クミンシードを入れて、弱火にする。

 じっくりと飴色になるまで炒め、玉ねぎの甘みを引き出す。

 セレスティアルと黄金の鍋のおかげで、みじん切りは楽だし、飴色玉ねぎもかなりの時間を短縮して作ることができる。


 次に一口大に切った鶏肉を投入し、炒める。

 鶏肉の表面の色が変わったくらいで、クミンパウダー、コリアンダーパウダー、ターメリック、オレガノ、粉末唐辛子、塩を入れて、全体に絡めるように炒める。


 次第にスパイスの香りが鍋から立ち上り、心を熱くさせる。

 香ばしい香りが漂い、食欲をそそる。

 ――そう、俺が作っているのはカレーだ。


 この世界はスパイスを使った煮込み料理はあるが、カレーのようなスパイスがメインの料理はない。

 だったら、この世界の人たちにカレーが受け入れられるのか……?

 問題ない。

 これは俺の得意料理であり、味には絶対の自信がある。


 鶏肉がスパイスの香りに包まれて焼き色がつくころ、潰したトマトを投入。

 シナモンパウダー、カルダモンパウダー、ナツメグを入れてよく混ぜ、牛乳を入れる。

 スパイスの刺激に、牛乳の甘みが絡み、コクが生まれる。


 ひと煮立ちさせたら、肉に火が通ったことを確認して最終調整。

 カルダモン、クミンパウダー、ナツメグ、粉末唐辛子、“レッドドラゴンペッパー”で味を調節する。

 レッドドラゴンペッパーはこちらの世界に来たばかりのときに使ったスパイスで、ここぞというときに使おうと思っていた。


 あまり煮込みすぎるとせっかくの香りが飛んでしまうので、軽くひと煮立ちさせて完成。



 一方のシルヴィアはじゃがいもを丁寧に茹で、ふかふかに仕上げると、皮をむき始めた。

 本来なら熱くて素手でむくなんて出来ないが、魔法を使っているので、じゃがいもが熱いうちに皮をむける。

 裏ごしも早い。

 元の世界だったら、ぜひ店ほしい人材だ。


 裏ごししたじゃがいもに、小麦粉、塩、オリーブオイルを合わせてこねる。


「なるほど、ニョッキか……!」


 彼女は出来た生地をこねて小さな団子状に形を整える。

 すると、不思議なことにその団子は小さな小判状になり、4本ほどの溝が出来ている。

 ソースと絡みやすくするために、本来ならフォークで跡をつける。

 これがただ手で丸めるうちにニョッキとして理想的な形になっていく。

 彼女の技に夢中になっていると、こちらをちらりと見て、自慢げな顔を見せた。


 そう、魔法ではなく、料理に特化させた“料理魔法”の実力を目の当たりにした。


 次はソースに取り掛かる。

 まずはきのことベーコンを小さめに切る。


「あれは、テオドール王子も使っていたきのこ……」


 シルヴィアの調理をチラチラと眺めていると、目が合ってしまう。


「あら、こちらが気になるのかしら? このきのこは『ルナミスマッシュルーム』ですわ。月のように美しく、味もバターのようにリッチで、かすかな甘みが広がりますわ。クリームソースとの相性も抜群で、濃厚な旨味を加え、料理を引き立てますわあ」

「説明ありがとう……」

「そして、こちらのベーコン。『フォレストオークボア』のベーコンで、その肉は脂身が少なく、健康的でありながら旨味が凝縮されておりますわ。さらに上質な香木の煙で燻製され、自然の香りが豊かに染み込む素晴らしい逸品ですわ」

「どちらもここ、ネオタナの特産品で、この戦いが終わったら、ラズフォード様に献上しますわ」

「お、おう、勉強になったよ……」


 フライパンにバターを溶かし、そこにベーコンときのこをふんだんに入れて炒める。

 きのこの香りが立ち込めると、小麦粉を少量いれてなじませる。

 生クリーム少しずつ入れていく。

 さらに、塩、コショウ、香り高いチーズをたっぷりと削り入れ、クリーミーなソースを作り上げる。


「これで仕上げですわ」


 シルヴィアはニョッキをソースに絡め、最後にもう一度チーズを上からふりかける。

 ベーコン、きのこ、クリーム、チーズの香りが調和し、鼻を突き、まるで食欲を煽るようだ。

 淡いクリーム色が食欲をそそり、チーズが絡み合ったソースがなめらかに光って美しい。

 ニョッキはもちもちとした質感が目で分かる。


 たしかに料理皇帝の右腕を名乗るだけあって完成度の高い料理だ……。


 こちらも皿に玄米とカレーを盛る。

 スパイスの複雑なアロマが鼻腔をくすぐる。

 食欲をそそる香りだったらこちらも負けてはいない。


 ふたりの料理が完成し、オズモンドが審査席に座る。

 彼の前には、俺の『スパイスカレーライス』と、シルヴィアの『ニョッキ クリームソース』が並べられた。


「まずはシルヴィアさんのニョッキからいただこう」


 シルヴィアのニョッキを口に運ぶ。

 続けてきのこ、ベーコン、ソースをしっかりと味わう。

 すると彼の眉が一瞬、かすかに上がる。

 口の中で広がるクリームソースの豊かなコクと、ベーコンの程よい塩気が舌を包み込むのが分かる。


「ふむ、実に濃厚だ。クリームのリッチな味わいに、きのこの香りとベーコンの香ばしさがしっかりとマッチしている。そして、このたっぷりのチーズ……濃厚でありながら、決してしつこくない。これは女性が好む味だ」


「女性の気持ちを知り尽くした、わたくしが作った料理ですもの、当然ですわ」

「ただ食べやすいだけじゃない、しっかり食べたい、リッチなものを食べたい、というそんな気持ちを表現いたしましたわぁ!」


 シルヴィアはすでに勝ち誇った笑みを浮かべながら、自信満々に答えていた。


「お見事でした。では次にリク君の料理を……と、その前にこれはどういった料理なのかね?」


 見たことない料理に躊躇しているようだ。


「こちらはカレーという料理です。スパイスをふんだんに使い、様々な肉や魚、野菜を煮込む料理になります。パンやライスと一緒に食べます」

「今回は鶏肉とトマトをメインにしています」

「なるほど、ありがとう。ではいただく……」


 オズモンドはスプーンを手に取り、カレーを一口食べる。


「ふむこれは……スパイスがとても刺激的だ。しかし、牛乳が入れてあるおかげか、この甘みが絶妙に辛さを抑えてくれているようだ。トマトの酸味とスパイスの香りが食欲をそそる」

「それにライスとの相性も抜群だ。いや、このカレーこそが、ライスに最も合う料理ではないのか……!」


 そこからは評価そっちのけで食べ続ける。

 一言で言えば、彼は完全にカレーの虜だ。

 まるで言葉が追いつかないかのように、次々とスプーンを運んでいく様子に、俺は少し笑みを浮かべた。


 食べ終えたオズモンドはやがて顔を上げ、結論を出す。


「ふたりとも、素晴らしい料理だった。しかし……今回の勝負、リク・アマギ君の勝ちだ」


「よし、よくやったリク君!」

「やったね、リク!」

「さすがだよぉ!」

 みんなも安堵した表情だ。


 町の人たちも料理皇帝から解放され喜んでいる。


「ちょっと待ちなさい!」


 判定に待ったがかかった。

 もちろん、シルヴィア・アースウィンドからだ。

 彼女が勢いよくオズモンドに詰め寄る。

 その動きに、ドレスの裾が優雅に揺れた。


「たしかにその“カレー”という料理は香りもいいし、きっと味良いのでしょう。でも今回のテーマは『女性が喜ぶ料理』ですわ! こんな地味な色をした料理、いくら味が良くても女性ならわたくしの美しい料理を選ぶはずですわ」


 不服を申し立てるシルヴィアに俺から意見する。


「わかった、さっきは食材に関していろいろ説明をしてもらったから、今度は俺からお前に説明する」

「な、なによ……」


 シルヴィアが怪訝そうな顔をする。


「このカレーに使われているスパイスはそれぞれ様々な効能がある。血の巡りを良くし、消化を助け、食欲増進に疲労回復、殺菌作用もある。カレーというのは健康増進料理とも言えるんだ」

「そうか、先ほどからずっと身体が温かい。むしろ汗ばんでいるくらいだ。これなら身体の冷えやすい女性に向いている。それに玄米は白米よりも健康に良いと言われている。つまりリク君の料理は女性の身体を気遣った料理なんだ」


 カレーを食べたオズモンドさんは理解してくれたらしい。

 しかし、シルヴィアは悔しそうにこちらに迫ってくる。


「男のあなたに女のなにがわかるって言うのよ!」


 そう言ってスプーンを取り出し、鍋に残ったカレーを一口食べる。


「な、な、なんですのーぉ! このカレーという料理! 辛い、けど、すぐに次が食べたくなりますの! これはそういった魔法がかかって……」


 彼女の顔が一瞬にして紅潮した。


「魔法じゃない、それこそがカレーの魅力なんだ」

「そ、そんな……」


 敗北を認識し悔しそうな顔をしながらも、無言になり食べ続けるシルヴィア。

 俺は彼女の手を制する。


「おいおい、みんなの分まで食べないでくれよ」

「は、はい……リク様!」

「えっ……?」

「リク様、わたくし、わかりましたわ。わたくしはあなたと出会うために料理の道に進んだに違いありませんわ!」

「「「ええーーっ⁉」」」


 みんなも慌てふためく。


「ちょっと、待ってくれ! なんでそうなる!」

「なんでって、わたくしの心はもうあなたにガッチリと掴まれてしまったからですわ」


 おおう、なんてことだ……。

 仲間のみんなも俺がどう返すのか焦った表情で見守っている。


「確かに、運命的な出会いだったかもしれないが、まずはこのバトルキッチンで勝ったのは俺だ」

「だから君はコーネリアと町の解放をする。そして、今回の結果を料理皇帝に報告しに行かなければならないんじゃないのか?」


 ひとまず面倒そうなので先延ばしだ。


「確かにあなたの言うとおりですわ。それにラズフォード様への義も果たさなければなりませんし」

「わかってくれたか……」

「ふふ、今回は私の負け。でも、覚えておくことです。次はこうはいきませんことよ。おーほほほっ!」



 高笑いをして去っていく、シルヴィア・アースウインド。

 見事なお嬢様笑い……初めて見て少し感動した。


「ふぅ、なんとかなった……」

「改めて、おめでとう、リク」

「見事な勝負だったぞ」


 みんなが俺を囲む。

 そこに解放されたコーネリア・ナイトウィンドがやってくる。


「ありがとう、リク・アマギ。助かった」

「なんてことない、町の解放のついでだ……」


 ちょっと照れ隠しで返す。


「それでもありがとう。お前、いや、あなたには以前負けて料理人のプライドを預けている。そして、今回は我が身自身を助けられた」

「いちいち大袈裟だな」

「だから、その……この私、コーネリア・ナイトウィンドをあなたの従者に加えてほしい!」

「「「ええーーっ」」」


 みんなが驚きの声を響かせる。

 この流れ何度目だ!


「ちょっと考えさせてくれ、コーネリア」

「わかった、時間はあるから任せる。だから帰りの馬車には乗せていってほしい」

「あ、ああ……」


 完全に付いてくる流れだ。

 強力な料理魔法使いが仲間になるのはうれしいが、どんどん大所帯になっていくな……。

読んでいただきありがとうございます!


今回の話、面白いと感じたら、下の☆☆☆☆☆の評価、ブックマークや作者のフォローにて応援していただけると励みになります。


今後ともよろしくお願いします。

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