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ママはヒロイン、私は隠し子①

残業が続いていたある日、楽しみにしていたTL小説を読みながら歩いていたら、階段から落ちて死にました。

まあ徹夜明けの最悪のコンディションで歩き読みしてた私が悪い。運悪く第一発見者になってしまった人には申し訳なく思っている。

とはいえ入社三年目にして立派な社畜となっていた私は、TL小説を読むことを唯一の楽しみとしていた。最期にTL小説を読めたことは幸せと言っていい。置いていく家族もいなかったためこの人生に未練などなかった。


なかったのだが───。


「あら、リーシャ。もう起きたの?」


輝く星のようなシルバーブロンドに、アメジストの瞳。そしてその派手な色に負けない超ド級の儚げ美女。


「おはよう、私の可愛い子」


私を見つめて微笑む姿はさながら女神様のよう。

そうです。

なんと私はこの美人の娘として転生したのです!

さようなら前世、こんにちは現世。私はこの超タイプな美人の遺伝子を強く受け継いでいることを信じて、この人生を生きていきます。

まだ鏡を見たことないから分からないけど、このママンが産む子どもが残念なはずはないから期待大!

ママンがリリシアナっていう可愛い名前もつけてくれたし、ある一点を除けば新しい人生は順調な滑り出しである。


「お父様の分もお母様が愛してるわ、愛しい子」


そう、なんと私のママンはシングルマザーだったのだ。それどころか生まれて早数ヶ月、私はママン以外の人に会った記憶がない。

病院は?と思うかもしれないが、ママンの色素を見るにここが地球ではない可能性もある。私としてはワンチャン異世界説が濃厚だ。

今住んでいる部屋も明らかに現代じゃまず見ない様式のため、地球に生まれたと考えるのは少々難しい。

現代人から見て文明後退した?という今の環境で、たった一人で私を産み育てるママン。とんでもねぇ訳ありのニオイがプンプンするよね。

何だか私が読んでいたTL小説みたい───。


「リーシャの髪と目は、本当にヴィルヘルム様とそっくりねぇ」


ふんすふんすと興奮して動かしていた手足がピタリと止まる。

ヴィルヘルム?そんで娘(私)の名前がリリシアナ?

それって、それって───!


私が嫌いな『逃げ出した後妻は、氷の侯爵様の愛に絡め取られる』の登場人物じゃない!



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