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まぁまぁクズの英雄譚~今世こそ俺が搾取する側に!~  作者: 公公ウサギ
第6章 冒険者ギルドマスター選挙
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第86話 選挙当日

「……一昨日はあの後どちらに?」

「……」


 うっかりクネクネと遊んでたら選挙当日になってしまったことをセイスに怒られる。


「さぁ、気を取り直して! 待ちに待った選挙だー!」

 投票行ったら外食するんだぞ!



 早速冒険者ギルド近くにある大広場に行ってみると、結構な人、人、人!


 選挙当日である今日はAランク冒険者全員が北区に入ることができ、各お店でも値引きがされている。

 何でも投票率を上げるためのギルド側の配慮らしい。


「うえー、人が多すぎですわ……」

「Aランクの人って、こんなにもいるんですね!」

「Aランクからはなかなか上げられないけど~、なるのは簡単だからぁ~」

 おい、それは俺らへの当てつけか?


「坊ちゃまも、めんどくさがらずに上げればいいですのに」

「機会があればね。別に上げなくても困ってないし」

 実際あまり困ってない。Sランク魔石とかも全部魔道具の材料にしてるから納品してないし。北区には転移で来れるし。


 しかし本当に多いなぁー。数百人はいるんじゃないか?

 ここに来れない奴も当然いるだろうし、Aランクの人数はもっと多そうだ。


「とりあえず、早いとこ用事を済ませて帰りたいなぁ」

 どうでもいいけど!


「あ! 見てください! 演説が始まるみたいですよ!」

 見ると、広場内に用意された壇上の上を、拡声器のようなものを持ったスフォークや司会の人が立っている。


「あー……」


 以下、ダイジェストでお送りします!

 まず1人目! 我らが陰ながら支援しているスフォーク!

 彼は長年に渡って冒険者ギルド内でも不当に扱われて来た獣人を始め、亜人と呼ばれる者たちを同等に扱う、彼らが安心安全に活躍できる環境を作り、ギルドの発展うんぬんかんぬん。


 そして2人目! 汚物ことドルギマス! 彼の公約は、力ある物が正当に活躍できるように、とのこと!

 穿った見方をするとこう! 力、つまり弱者はいらない! 差別されるものも弱者! 効率化の名の下に一部の実力者だけより恩恵を受けられます!

 ……さすがに偏見が入りすぎ? でも実際そうだし!




「アレク様、ちゃんと聞いてましたか?」

「おう、お前が思ってる100倍は聞いてたぞ!」

「何と……0に100をかけても0ですよ?」

「失礼なっ! マジでちゃんと聞いてたよ!」

 要約できるくらいにはな!


「坊ちゃま、『おうまさん』の出番のようです」

「おぉ……ついに、か。活動休止前の最後のライブだ。必ず成功させろよ……っ!」

「らいぶ、ですの?」


 まぁ、冗談抜きで今まで頑張ってきたあいつらの最後の活動の機会。

 ちょっと切なくなって来ちゃう。


「こんにちは~! 先日の冒険者狩りは私たち、『おうまさん』が倒しちゃいましたぁ~!」

 うむ、やはりこういうのは見た目麗しい我が妻、アラアラが担うに相応しいな!

 俺のとなりにいるセイスの目ん玉が飛び出てるけど。


「うおぉぉー! 『おうまさん』だー!」

「アラアラちゃんかわいいぜぇーっ!」

「ヤハウェーイさんかっこいいー!」

「ブッディさんの筋肉すっごっ! 抱かれたーい!」

「シヴマーヌさぁーん! 私を破壊してー!」

 おぉ、会場も盛り上がってる! 人気爆発!


「それで~、私たち、本当は獣人なんですぅ~!」

 そう言って魔道具を解除するみんな。


「「「……え?」」」

 おっと、会場がシーンとなってしまったぁ! そんなに獣人だとダメですか!?


「この魔道具はねぇ~、私の大事な人から貰った魔道具でぇ~、アレクちゃまって言うんだけどぉ――」


 その後、クネクネしながら延々と俺との惚気話をし出すアラアラ。




「――でね~、夢だけど、夢じゃなかったのよ~!」

「……で、ではお時間となりましたのでこれにて応援演説は終了とさせて頂きます。……誰の応援だったのかしら」

 パチパチパチパチ!


「「「「ブラーボ! ブラーボー!」」」」

 感動の涙を流す俺とブッディとヤハとシヴ。

 俺らだけで万雷の拍手を繰り出すことなど造作もない!


 しかしメイちゃんたちの反応が薄いというか、虚無ってる。

 エリーなんか真っ先に反応しそうなのだが?


「何か反応薄くない?」

「……毎日一度は聞いてますので」

「聞き飽きましたわー……」

 左様でございますか。まぁ、他人の惚気話なんてどうでもいいもんな!


「「「……」」」


 会場もあまり興味がなかったのか、静まり返ってる。

 横を見てみると、頭を抱えたセイス君。ぷっ、こいつでもこんな姿することあんのね!


「ちなみに、応援演説では何を言うように伝えたんだ?」

「……冒険者狩りを倒したことと実は自分たちが獣人であることだけは外さないように、辛い獣人差別の現状や改善を目指すスフォークへと賛同する旨を話すよう……ヤハに頼みました……」

 ……そうね完全に適材適所外してるよね。可愛かったけど。

 伝えなきゃいけないこと“だけを”話してたもんね。残りはほぼただの惚気。可愛かったけど。


 後に聞いたところによると、『アレクちゃまが聞いてるって思ったらやりたくなっちゃった~!』と直前で言いだし、ヤハを始め他のメンバーも『それなら仕方ない!』と認めてくれたそうな。なんていい奴らなんや! ありがとな!




 さて、いよいよモーリーの出番である。

 最終的には本人の思いを話すように言ったが……はてさてどうなることやら。


 ここ3週間面倒を見てやったんだから気張って欲しいところ!




「……あー、俺は『質実剛健』のモーリーだ。先日Sランクになった」


読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/


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