第30話 不滅ということ
「くっくっく……はーっはっはっはっはー! バカめっ! まんまと我が領域に――」
「ところでさ。ここ、時間流れない系?」
神域。転生前に長い間過ごした場所によく似ている。見た目ではなく、雰囲気が。
「貴様、さっきから……我の話を途中で――」
「いいから答えろ!」
強めの圧を向けて言い放つ。余計なおしゃべりをしている気分ではない。
「……時間が流れなければ、うぬを殺せないではないか。神である我は不滅だがな」
「時間が流れないようには?」
「……一応できるが」
「なら、俺が勝ったらそのように設定しろ。そうすれば命だけは取らないでおいてやる」
そう、時間が流れない空間。転生前に過ごし、魔法制御と創造力を高めた場所!
外的魔素活用の練習にぴったりだ!
「……抜かせ! ここでは我が力は先ほどの倍! さらに! 我が軍勢の残り4万がおまうぇっ!」
「バカめ! 戦いは始まってるんだぞ! くらえ『極大光魔法』対外魔素活用バージョン!」
ここでは周りの被害とか気にしなくていいからね! 溜まったストレスを発散し放題だ!
「きさっ! ちょ我が軍勢! あっ! その魔法ひきょっ!」
最初と同じように、軍勢とやらを光の攻撃魔法で殲滅し、浄化する。範囲や威力はだんちだけど。
これで敵の配下はほぼ壊滅したと言っていいだろう。セイスとの約束を果たせたかはわからない。しかし、俺にできることはこれだけだ。
「おのっ! おのおのおのれぇっ!」
極大を越える魔法の創造。割と骨が折れたが、対象を絞ることで効果をあげることに成功! 魔力の練りも大変だった!
「『不滅者縛る不滅の鎖』」
不滅者限定の拘束特化! 対象の魔素を利用してさらに強度をあげる不滅の鎖!
これで思う存分痛めつけられる!
「なっ! 何だこの鎖はぁっ!? ち、力がぬけっ!?」
「『中級地属性魔法』からの『中級地属性魔法』」
拘束したドなんちゃらを串刺しにする。どこに刺さるかはわからないから、楽しみだね~!
「やめっ! やめろぐぁっ! 何でたかが中級まほっぎゃぁああっ!?」
「うるさいなぁー、『上級氷魔法』!」
これでうるさい口は封じた。息できるかは知らんけど、不滅らしいし大丈夫だろう!
「――!」
ドなんちゃらが口を塞がれながらも火属性の魔法を展開しようとするが、飛んできたのは下級魔法にも劣る火の玉。
「その鎖で繋がれた時点で、お前の負けは決まったようなものだ」
繋がった者の魔素を吸収する鎖。うん、非常に便利!
「さ、気を取り直して『アースランス』、『アースランス』、アース……」
最早奴に抗う術はなさそうだ。
となれば、後は心を折る作業。いやー、良心が痛むね! しょうがないけど!
「さてさて、お次は~……」
体中を串刺しにし、頭を凍らせ、局部あたりの重力を何倍にもして、さらに火で炙り……。
その後、昇天しないで残っていた獣人の魂に止められるまでこの作業は続けられた。
◆◇◆◇
「ふぅ! ようやく満足いく結果になったよ!」
「……長い、長すぎる……怖い、痛い、熱い……ようやく、終わった……?」
精神が若干崩壊気味のドなんちゃら。
「あぁ、ありがとよ。約束通り、命は助けてやるよ」
「あ、ありが……ふぇ?」
言いながら隷属魔法を施す。幾重にも幾重にも、魂深く刻み込む。
「隷属魔法だ。これからお前は俺に逆らえない。生贄も取れない。食っていいのは悪人の魂だけだ」
「はぁ……逆らうわけ、ない。殺されたく……殺してくれる?」
だめだこいつ、心が折れてる。
「まぁ何だ。早速後で生きのいい魂届けてやるから、元気出せよ」
「魂……?」
「そ! だから、その時はしっかり会話できるようになってろよ?」
圧を込めて話しかける。
「かしっかしこまっ!」
アイドルでも目指すん?
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