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レリビア家の血筋は美形揃い

「えーっと……じゃあ、まずはハウスツアーはどう? この家に住むことだし迷子にならないように知ったほうがいいじゃない?」

「お姉ちゃんがそういうなら……」

「それじゃあ早速明日の朝九時に私の部屋集合ね!」


 そう約束したのが昨日の話。ロンは約束の時間の十分前に私の部屋に来た。よく出来た子だ。

 ロンルートを何とかして阻止すべくお姉ちゃんとして接しようとしたらロンに毒舌レベルを上げることになってしまったのは構わない。弟にあれこれ言われるのは慣れている。

 約束通りに私はロンを連れて家中を見回ることになった。


「まずはここの広間! 客人が一番最初に踏み入れる空間だからここに一番お金をかけてるらしいわ」

「通りで一番派手だ」

「そう、なんなら此処で値踏みをしてくる人もいるからね。公爵家として恥じない空間づくりを心掛けているのよ」


 ……と自慢げに言ってみるが昨日あそこに置いてあった壺を割った張本人です。ヴィネを見送った後、ドッと疲れが出てふらついてしまった先にツボがあって割れた。バチクソに怒られました。親も美人だから美形の怒り顔を長時間見続けるという拷問を受けた。怖い。

 ロンはあまり周りのものに触れないように慎重に辺りを見回している……見慣れていないのか? 前のロンの家はうちの父さんよりもかなり下級の貴族だったのだろうか。


「そしてこっちが応接間。来客を迎える為の部屋ね。こっちも広間ほどじゃ無いけど、お金はかけているわ」

「前の家と全然違う……」

「まあレリビア家だからね。うちと肩を並べる程に位の高い貴族もいないから高級に見えるのも仕方ないわ」


 レリビア家は次期国王の嫁に候補が上がったぐらいに位の高い財閥だ。

 だからこそゲームの作中でラーファの悪事は最後の最後まで公には出て来なかった。きっとお偉方に汚い金でも握らせて隠していたに違いない。

 物語の中盤にある悪事を働いた人間を断罪するイベントでは顔もハッキリしないモブが退学させられていた。彼女もラーファの取り巻きでいじめには加担していたのだろうが、あくまでヒロインのことはラーファ様がいじめるからいじめて良い対象としか思っていなかっただろう。主犯のラーファは最後になるまで逃げ切るのだ。

 それで思い出したけど私がヒロインをいじめなかったからといって、ヒロインに恨みを持つ令嬢は沢山いるはずだよね。もしかして私が何もしなくてもヒロインたそはいじめを受ける可能性大⁉︎ いくら自分に矢が飛んでこなかったとしてもヒロインたそをいじめる不埒な輩は私が許さない!

 怨念を込めながら私は突然怒りのオーラを纏った私を不審がっているロンを連れて居間に移動した。

 

「居間はこっちよ。朝食はここでとるの」

「あ、朝食は別室なんだ……僕の前の家族は居間が無かったから応接間で朝食を取ってたんだよね」

「そんな御家庭もあるのね…………⁉︎」


 あれ、待って、ロンが自分の事を話してくれてる……⁉︎ 駄目だ七歳児のゆるゆる涙腺が……!


「えっ⁉︎ お、お姉ちゃん……? どうしたの目元押さえて」

「ロンが……ロンが、心を開いてくれたからよ」

「へっ?」

「嬉しいの。貴方のお姉ちゃんだから、貴方が私に心開いてくれるのは嬉しい」

「……!」


 あー駄目だ。鼻水グジュグジュコースに入ってきた。此処が居間で良かった。鼻セレブ(西洋バージョン)がある。

 顔中の水分を拭き取ってロンを見るとポカンこちらを見て突っ立っていた。


「あーロン? ごめんね、お姉ちゃん急に泣き出しちゃって……七歳児って涙腺ガバガバなのよ」

「ふ、ふふっ、僕なんて六歳なんだけど? あははっ、お姉ちゃんって変わってる」

「そ、そう……かしら?」


 でしょうね。中身は十七歳の不良女子、見た目はどっからどう見ても七歳の容姿端麗な公爵令嬢だもの。混ぜたらアカンを混ぜたやつですよ。

 流石ラーファの腹違いと言っても血の繋がりはあるだけあってかなりの美少年だ。笑いを堪えきれず不器用に笑うその姿は大変愛らしい。

 ……ハッ! ショタコンじゃないですからね! 私は美少女が好きなんです! ……って誰に言い訳してんだか。


「ははっ……はー。お腹が痛い」

「そりゃ何よりよ」

「あっ……ご、ごめんなさい。人をこんなに笑うだなんて失礼だったよね……」

「きゅ、急にネガティブじゃない。どうしたのよ」


 目に涙を浮かべる程笑ってたってのに次は別の意味で泣きそうな表情に変わった。

 最初にあってから思ったけどこの子って最初っからネガティブ思考持ちだよな。前の家が原因か。それに作中のラーファは追い打ちかけたと。うわー最低。

 無理にポジティブになれとは言わないが、姉として出来ることはしたい。今は弟の背中を押すしかないだろ。


「……何へこたれてんのよ。ロンは可愛いんだから、笑顔の方が素敵よ。その原因が私の奇行だなんて、嬉しいに決まってるじゃない」

「っ! …………いや、奇行とまでは言ってないじゃないか……」 

「突然泣き出すのは奇行じゃないかしら?」

「え、ええ……?」


 戸惑っているロンの頬を両手で包んで笑った。

 笑え笑え、子供は笑うのが仕事だぞ。

 

「ほーら! 可愛いロンちゃん! 笑って!」

「か、可愛いはいらないって……」

「ロンは可愛いわよ!」


 ニカッと公爵令嬢としてはよろしくない笑みを浮かべてしまったが、元気付けるには一番の笑みだと思ってる。弟が元気を無くしたときはいっつもこうやって元気つけたものだ。

 じっとロンを見つめていると諦めたのか頬を赤らめて不器用な笑みを浮かべた。


「……こ、こう?」

「そう! へへっ、やっぱり可愛いや」

「……可愛いのはお姉ちゃんだよ」

「そりゃあ……レリビアの血を受け継いでりゃ美形に育つものよね」

「いやそういうわけじゃ……」


 私可愛いぶりっ子キャピキャピ、とかじゃなくラーファは可愛い。育つと絶世の美女なわけだからな、否定はしない。


「だからロンも可愛いわよ」

「……カッコいいって言われたいんだけどな」

「大人になったらカッコよくなるわよきっと」

「何それ、予言?」

「絶対当たる予言ー」


 攻略対象だからね。腹立たしい程にイケメンになるよ。

 なんならこのゲームを押し付けてきたあの愚民はロン推しだった。「訳あり闇深俺氏のことビッグラブ歳下わんわんイケメソが最高に可愛いの! ねえわかる? わかる? うんうんだよねわかるよねぇ‼︎」ってしつこく言ってた。「わかるよねぇ」じゃねえよ何も言ってねえよガン無視してハーレムものラノベ読んでたっつーの。


「胡散臭いなぁ……」

「レリビア家の血を受け継いでるのはロンも一緒じゃない。父さんみたいな年齢不詳の男前に育つわよ」

「確かに、父さんの年齢はわかんないかも……」

「そんなロンに特別に教えてあげよう! 父さんの年齢は……」

「ラーファ」

「ピッ……」


 ぱ、パピー……い、いつの間に真後ろに立ってたんだ? 副業でアサシンやってる?

 含みを込めた笑みを浮かべた父さんは腹に何抱えてるのかわからなくて逃げを選択した。


「ろ、ロン! 庭に逃げるわよ!」

「えっ! う、うん!」


 全く! いい歳した男のくせに年齢気にするなよな……見た目が若けりゃそれでいいだろうに。

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