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立て続けにやってきた死亡フラグの原因

 ヴィネとの面会が終わって美味い飯も食って暖かい風呂にも入ってさて寝ようと布団に入ったそのときノックが聞こえ、父さんと、ある男の子が私の部屋に入ってきた。


「ラーファ、新しい家族を紹介しよう。ほら、自己紹介しなさい」

「は、はい」


 その子は私と同じ銀髪で瞳は紫色の可愛らしい顔をしたとても見覚えのある子だ。

 わぁ……これは腹違いの弟、つまり攻略対象来たー。

 父さんに言われ、少し緊張した顔をしたその子は自己紹介をした。


「ぼ、僕はロンです。よろしくお願いします」

「私はラーファよ、よろしく」

「この子は今日からラーファの弟だ。よろしく頼むぞ」

「ええ」


 慌ててベッドから降りて彼と同じ目線に立つ。

 なるべく優しく微笑んだつもりだけどどうかな、怖がっていないかな。前世ではよく突っかかってくる不良共にガン飛ばしてたから子供に向ける笑顔とか苦手なんだよ。

 ロン・レリビア。ヒロインや私の一個歳下の攻略対象。

 父さんは詳しく言ってこなかったが、ラーファの腹違いの弟だ。確かロンの母が亡くなってうちが引き取ったんだよな。

 腹違いだとか悪いイメージだけど家系とかの複雑な理由があっただけで別に父さんが浮気性というわけではない。むしろ母さんとラブラブすぎていくら転生でも一応娘である私が恥ずかしいくらいには関係は良好だ。

 設定でのラーファはロンを玩具代わりにしていじめて、外に出さないでいたせいでかなりの世間知らずのネガティブな子に育つ。

 人との関わり方がわからないので何でも楽しそうに話したり、興味津々に話を聞いてくれるわんこタイプ。

 ヒロインに恋をしたのはほぼ一目惚れ、ヒロインが方向音痴であるロンに道案内をしてあげただけだ。それでヒロインになら惚れ、即告白する。戸惑うヒロインはお友達からと言ってストーリーが進む。その中で恋が愛に変わっていく……といった純愛ストーリーだ。ロンに一度関わったらすぐ告白イベント起きてロンルートに進むお陰でこの攻略には苦労をせずサクサクといけた。

 ハッピーエンドはラーファがヒロインを殺そうとする寸前でロンがヒロインを助ける。ラーファは悪事がバレて国外追放、ロンとヒロインは婚約することになる。

 バットエンドはヒロインを庇ってフリエラに刺されて死亡。フリエラは死刑な上、ヒロインは後追い自殺といった残酷エンドだ。

 このことは忘れないうちに後で書いておこう。

 何故このゲームは学園モノのくせに人を殺すのが好きなんだ。普通に恋愛してくれ。

 ギャルゲーに関しては……私、バッドエンド見ない派なんで、幸せになりたい勢なので知らない。そりゃあ中には死ネタとかありましたよ? けど胸糞とかじゃなくてきちんと納得できる終わり方なのでそれはそれで良かったんですよ。

 まあ、乙女ゲーに関しては友人のものだし、全部クリアしてやろうという優しさ込めた悪意でバッドエンドもやって全クリしてやったが。


「それじゃあ私はここを後にするよ。どうか仲良くしたまえ」


 そう父さんがバタン。と部屋のドアを閉めた後、シンとした時間が続いた。

 え、えー……どうしろと、私にどうしろというんだ。私の前世は不良だぞ。お守りは向いてないって。

 そんなことを考えてるとロンの口が開いた。


「ええと、ラーファ様、とお呼びしたらよろしいでしょうか」

「いいわよ、そんな硬い口調。貴方の姉なんだから。ね?」


 彼と接する方法が何も思いつかないが、ニコッとなるべく笑いかけて話しとけばなんとかなるか。

 というか良かった。このままシーンとしてたら私の何かが壊れるところだった。


「それじゃあ、姉さん?」

「ねっ……」


 姉さん。姉さん。姉さん……。

 ……なんだろう。前世での弟の時と違う何かがある。あいつ酷い時は私のことアレソレコレ呼びだったからなぁ……。


「あっダメでしたか? それじゃあ……」

「いいえ! それでいいわ! それがいいというか! むしろお姉ちゃんでいいわよ! お姉ちゃんって呼んで!」


 私の中で姉さんはグッとくるものがあった。だからついそんなことを口走ってしまった。

 本当は可愛い金髪碧眼ツインテールの妹にお姉ちゃんっと言われたかったがこれもこれでいい。可愛い。


「は、はい。わかりました」

「後、敬語禁止!」

「えっ? 敬語禁止……ですか?」

「そうよ! 姉弟なんだから敬語なんていらないわよ!」


 弟に敬語なんて使われたくないに決まってる。むしろ前世の私の弟みたく「姉貴またアニメの女の子の胸ばっか見てる……キモ」みたく遠慮なしに来てほしい! ……キモは傷つくから嫌だけど。


「でも……前の家ではダメだとおっしゃってました。馴れ馴れしくするなと……」

「は……」


 な、それっていじめ的な奴なんじゃ……?

 もしかして父さんはそれを見越して引き取ったのか。確かに彼の父が死んで血が繋がっている人が一人もいないといじめがエスカレートするかも知れないよな。

 よし。この子を思っきし可愛がろう。そしてなるべくヒロインに一目惚れするのを避けるため、人との関わり方を知れるようにしてやろう。


「そんなの家族じゃないわ、忘れなさいそんな人達。これからは私達が家族なんだから」

「でも食事は一日一食くれたし……」

「一日一食⁉︎」


 な、なんてやつだ。それいじめ通り越して虐待じゃん。

 ……だからこんなに痩せこけているのか。

 なんか涙出てきた。


「普通は、一日三食食べるものなのよ……安心なさい。ここではもう貴方に窮屈な思いさせない。何かあればお姉ちゃんが守るから」

「! ありがとうござい……ありがとう。姉さ……お姉ちゃん………………えっと、涙と汗と鼻水が一気に出てるけど、ティッシュいる?」

「いるぅ……」


 この七歳の涙腺がゆるゆるなせいで気を使わせてしまったが、信頼をやっと見せてくれたみたいだな。良かった良かった。そう思って鼻を思いっきり噛んだ。

 このゲームなんらかの過去持ち多すぎだろ。まあこんくらいないと面白くないのかもしれないけれど、こうして現実になると考えさせられるものがある。


「それじゃあロン。改めてよろしく」

「はい! よろしく!」


 ……前世の弟もこんくらいの時は素直で可愛かったもんだよな。あんな無愛想に育っちゃってさ……。

 ……よし!


「早速だけど遊びに行きましょ!」


 なんか興奮してきたぞ! 昔の可愛い弟みたく可愛がってやろう! 

 そんな気持ちで話しかけるとジャックは戸惑いの声を出した。


「ど、どこに?」


 ……あっ、可愛い弟と遊ぶことしか考えてなくて何してとかどこでとか全然頭になかった。


「……これから考えよう」

「もしかしてお姉ちゃんってバ……ごめんなんでもない」

「もうそこまできたらいってほしいかな!」


 ロンって意外と毒舌なとこありそうな気が……いやでも作中ではそんな描写無かったのにおかしい。もう私パワー出ちゃってたりする?

 前世の弟に似ないといいけど……。ま、まさかそんなことないよね。ね!

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