SS 騎士団の合同訓練ですわ
ランベルト様率いる、辺境騎士団は、王国でも有数の実力を持つ。
華やかな場面で活躍することが多い王立騎士団。
そして、現場仕込みの実力主義、ウィリアス公爵領騎士団。
本日は、私の生家、ウィリアス公爵領騎士団と辺境騎士団の合同訓練だ。
「わっ、わくわくしますわぁ!!」
昨日から、遠足を前にした子ども以上に、胸が高鳴って眠れなかった私。
けれど、目の前のランベルト様は、剣を磨きつつも平常心に見える。
「あの、緊張しませんの?」
「実戦に比べれば、さほどでもない」
「そうですか……」
その言葉に納得しつつも、少しだけ首をかしげる。実戦に近い訓練ばかり行っているウィリアス公爵領騎士団。
その実力は、私の護衛騎士カールを見れば、折り紙付きだとわかるだろう。
「……負けはしない。ルティーナ嬢の前で、無様な姿だけは、見せたくないからな」
「っ、ランベルト様だけを応援していますわ!」
「そうだな。ほかの騎士を応援したり、目移りしたら、あとでお仕置きだ」
(えっ、どうしましょう? むしろ、そのお仕置きが気になってしまいますわ。だって、スチルがついてくるに決まっていますもの!?)
その時、元気いっぱいの声とともに、猪突猛進走り込んできた影がひとり。
「お嬢様!! 今回は、所属しておりますウィリアス公爵領騎士団での訓練参加となります! もちろん応援して下さいますよねっ!!」
「まぁ、もちろんだわ」
その時、周囲の温度が3度ほど低下した。
なにも感じていないように見えるカールと、失態を理解した私。
アイスブルーの瞳が、氷点下で震える。
「……ルティーナ嬢、なんとしても完ぺきな勝利を捧げよう。あと、先ほどの会話の意味、わかっているな?」
私は、コクコクと勢いよくうなずいた。
そして、すでに、今この瞬間、少しヤンデレなランベルト様のスチルは、私の心のアルバムに加わったのだった。
最後まで、お付き合いいただきありがとうございます。下の☆を押しての評価やブクマいただけるとうれしいです。




