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【電子書籍配信中】悪役令嬢なので可憐に退場しますが、モフモフ辺境伯だけはおゆずりいたしませんわ  作者: 氷雨そら


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26/52

推しと二人きりなんて無理ですわ 5


「さて、満足か?」

「ええ、機会をいただき感謝いたします」


 騎士の誓いを終えると、誠実さを感じる立礼をして、カールは宿屋を出て行く。

 今夜は、別の場所に宿を取るらしい。


 次の瞬間、モフモフの手に強く掴まれ、引っ張られる。

 階段を勢いよく上がって、少し息を切れた私に構う余裕がないようなランベルト様。


「あの……」

「…………」


(いったいどうされたのかしら……)


 足早に部屋に入る。ランベルト様は無言のままだ。


「あの」

「ルティーナ嬢……」


 ランベルト様との距離が近い。

 あまりに私のことを見つめながら近付いてくるから、ジリジリと後退しているうちに壁際に追い詰められていく。

 身長差があるから、少し背中を丸めたランベルト様。

 その右腕が、私の顔をかすめるように通り過ぎ、壁に当たる。


「はっ、はわわわわ!?」


 こっ、これは!! 壁ドン!! 今、私は最推しに壁ドンをされています!!

 余裕がないのだろうか。白銀の毛並み、空色の瞳は、まっすぐに私だけを映している。


「――――俺だって、誓うのに」

「…………え?」


 至近距離のまま、私の手首を持ち上げて、ブレスレットに口づけを落とすランベルト様。

 ただ、それだけなのに、この場所から思わず逃げ出してしまいそうなほど、息苦しい。


「ルティーナ嬢を守るためなら、命も、魂も、俺が差し出せるすべてをかけて誓うのに」

「…………ランベルト様」


 ランベルト様は、いまだ隣国と王国の間で揺れるサーシェス辺境伯領のために、命をかけて、すべてを捧げて生きてきた。

 ゲームの中でランベルト様について語られる一文でしか私は知らない。

 見てきたわけではない。……でも。


「私には、そんな価値はないです。なんせ、婚約破棄された噂の悪女ですから……」


 最推しのランベルト様になら、何でも捧げるけれど……。

 婚約してほしいなんて、私の気持ちをおしつけてばかりきたけれど……。


「ルティーナ嬢の噂も、価値も俺は知らない。ただ、俺にとっての宝の価値は、俺だけが決める」

「…………ランベルト様」

「君は、どこか俺ではない理想の誰かを俺に重ねているようだから……。心が狭いんだ、俺は。幻滅した?」

「うっ…………うう」


 心臓が口から飛び出してきそうなほど高鳴っている。

 いまだに、壁ドンの体勢のまま、少し弱気なランベルト様。


「――――そんなランベルト様のこと、全力で推しますわ!! 好きですわ!! 好きになる一方なのですわ!!」


 それだけ伝えた私は、満足して、推しから壁ドンされた人生最高クラスのできごとをかみしめて、床に崩れ落ちたのだった。



前回の後書きでお伝えしたランベルト様sideは、第十七部分に割り込み投稿しています。

是非ご覧ください♪

最後までご覧いただきありがとうございます。『☆☆☆☆☆』からの評価やブクマいただけるとうれしいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] ランベルト様が張り合っててカワイイ。
[良い点] 脳筋騎士枠のカールに、専属騎士&幼馴染属性が追加されました! そしてランベルト様をしっかり煽って退場!素晴らしいです(^_^)v ランベルト様の「――――俺だって、誓うのに」かわいいです…
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