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1章 旅たち

初めての投稿ですので、稚拙文になると思いますが、そこは温かい目で読んで頂けると幸いです。

また、意見や感想、誤字・脱字などは随時受付けておりますのでいつでも連絡してください。

俺は、ヴィルヘルム・ヴァン・クロード。15歳だ。

 ヴァンというミドルネームがあるが、俺は貴族でも何でもなく平民だ。父さん曰く昔に国に貢物をたくさん献上したからその報酬としてミドルネームを貰ったみたいだ。



 まぁ、そんなことは置いておいて今日この村に於いて一大行事がある。それは、子どもたちが神からスキルをもらう『選定の儀』。今日はその『選定の儀』の日なのだ。

 スキルと言うのは貰ったものによって違うが、そのスキルに関係した技を習得しやすくなるといったものだ。

 

 


 例えば、【木こり士】というスキルを貰えば木こりには斧を使うわけだから自然と斧系のスキルや技を習得しやすくなるし、逆に【裁縫士】みたいな家庭的なスキルを貰えば技がない 代わりに『手先器用』や『編み物上手』といった変わりのことが上達するようになる。

 だから、この世界ではこれ一つで生き方が左右されると言っても過言ではない。

 もし仮に激レアなスキルが貰えれば国のお抱えになったり、レアじゃなくても普通にお店なんかを経営して生計を立てることだって可能だ。そんな超大事な日が今日なのだ。だから、子どもを持つ家庭の両親は皆、興奮状態にある。それは、ウチの両親も同じだった。

 

 


 「ヴィルよ、お前も今日で15歳になった。15歳になったお前には教会でスキルを貰うことになるが、どんな結果でもちゃんとに家に帰って来るのだぞ」


 

 「はい。どんなスキルを貰おうともちゃんとにこの家に帰ってきます」



  今、目の前で両腕を組みあぐらを掻きながら話しているのは、俺の父グリム・ヴァン・クロードだ。

  父は普段から平常心でいるためはしゃいだりするような人物ではなく、今も冷静を装ってはいるものの若干息遣いが荒い。

  それだけ父も今日と言う日を待ちわびていたのだろう。

  一方、母ミリア・ヴァン・クロードはというと朝から超テンションが高い。張り切りすぎてご馳走をこんなに食べないだろうと思うぐらいに作っていた。

  ちなみにだが、母はいつもテンションが高めの人だ・・・



  

  父との話が終わると俺は家を出た。

  家を出ると家の前にはゼファール、エミール、エミルの幼馴染の3人がいた。この3人は幼いころよく一緒に遊び、学び育った仲だ。

  それ故、お互いがなにを考えているのかすぐにわかってしまう。



  

  「ヴィル、やっぱりまだいたか」

  「ヴィル、遅いわよ!早く行きましょ」

  「やぁ、ヴィル。共に行こうか」



   

   3人とも今日を楽しみにしていたのか、普段以上に急かしてくる。

   この光景も見慣れたな、と思いながら早歩きで教会へと向かう。







  ―――――――




   教会に着くと、中には同じような子どもたちが列を作り並んでいた。

   


   「うわ、かなり並んでるじゃん・・・」

   「もうちょい早く来るべきだったな」

   「まぁ、気長に行きましょう」



   ゼファールたちが列に並ぶ前から愚痴を溢しているが、その気持ちもわからなくはない。

   だって、並んでいる人数がこの村に住んでいる数と合わないのだから・・・

   俺の予想だとこの中には、小さな村々からこの日のためだけにここに来た人もいるだろう。なにせ、この村は他の村に比べて比較的大きい部類に入るらしく住んでいる人数も200人前後いるらしい。普通の村に住んでいる人の数はせいぜい多くても最高5、60人くらいだ。そのことからもこの村が如何に大きいかわかるだろう。



   

   じゃあ、なんで今日に限ってこの村にこんなに人がいるのか?

   それは、多分だが教会にあるんだろう。

   基本的に教会はどこの街や村に必ず1つは存在する。しかし、街の規模によって教会の大きさが異なるため駐在している神父の数や洗礼の時に跪き祈りを捧げる像の数などが少ない。そのため、全員が終わるまでに相当な時間が掛かってしまうことも稀にあったりする。それに比べこの村にある教会には祈りを捧げる像は2つ、駐在している神父の数は3人とかなりの数がある。



   

   だから、ここの教会に来てスキルを貰う人が増えているのだろう。

   でも、このくらいの列なら一時間くらい待てばすぐに順番がくるはずだ。




   暫く並んで待っているとようやく俺たちの番が来た。

   



   「次の方、こちらへ」

   


   

   神父に呼ばれ先に像の前に行ったのは、ゼファールとエミルだ。

   像の前に着くと2人はすぐに跪き祈るように手を合わせ、目を瞑っていた。



   するとすぐに像から光が降り注ぎ2人の体を包み始めすぐに霧散してしまった。

   待っている側から見ても温かな光であることがわかる光だった。

   不甲斐にももう少し見ていたいと思ってしまった。



   「どうでしたかな?」


   

   神父様が声をかけるとゼファールとエミルは立ち上がり、いつの間に目を開けたのか恐る恐る手の中にフワフワと浮いている黒い文字に驚愕していた。

   確認すること数秒――



   「おおお、俺、勇者になったぞぉぉぉぉおお!!」


   「私は、極魔導士よぉぉぉおおお!」



   という声が教会内に響いた。

   2人の雄叫びに周囲にいた人や神父様も目を見開きワナワナと震えていた。その表情からは、なにか崇高なものを見ているように感じられた。

   その後、ゼファールとエミルは興奮したままその場を離れ、教会内に置かれていた備え付けのイスに座り感傷に浸っていた。



   「次の方どうぞ」


    

   神父様も先程の興奮状態から一転したのか気を静め俺とエミールに声をかけてきた。

   俺とエミールもさっきゼファールとエミルがしたように像の前に行って跪き、祈るように手を合わせた。

   すると、手の中に温かな光を感じ、手を開けてみるとそこには『テイマー』『反魂士』『精霊使い』という文字が浮いていた。

   俺はそれを誰にも見えないようにそっと手を閉じた。そうしたのには、理由がある。その理由とは、どのジョブも未だかつて発現したことも聞いたこともないからだ。


   いや、もしかしたら昔誰かが使っていたスキルなのかもしれない・・・・と一瞬考えてしまった。




   スキルの確認を終えた俺たち4人は一旦家に帰り、今日のことを両親に報告した。

   報告を終え教会前で待っているとゼファールとエミル、エミールも遅れて来た。一応、今後のことを確認しておく。




   「なあ、これからどうする?」



   「そうだな・・・この村で擽っているのも嫌だから俺たちでパーティーを組まないか?」



    俺がこれからのことを聞くとゼファールからパーティーを組まないかという提案を聞いた時は心底嬉しかったし、外の世界に冒険に行けるのが何より楽しみでもあった。

    そのためいつも以上の声音で「そうしよう!!」と叫んでしまった。他の3人には「「「こいつ、どうした??」」」みたいな目で見られてしまったがそんなことは今はどうでもよかった。だって、今はそれ以上に興奮のほうが感情的には勝っているのだから!!



    結果、俺たちはパーティーを組むことになった。そして、それと同時にパーティー名が【自然】を意味するアースと【者】を意味するガルドの複数形ガルズの複製語『アースガルズ』に決まったのだった。



    

    これから新しい冒険が始まると思うとワクワクが止まらなかった。

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