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俺は本当に、ゴブリンだとでも言うのか?!


土田つちだ 空賀くうがこと俺、クーガは女神の無慈悲な一撃により、めでたくゴブリンとして生まれ変わりました。

しかも、記憶を引き継いでの再リトライ! 完璧だぜ。


後は、俺の容姿だが、

「ここは、どこだ?」


どこかの部屋のようだが、


「――あ、なるほど! 俺が目が覚めて、起きたこの場所は目覚めの地というわけだな。――――うんうん。この世界に送られたときは全裸だったが、白のタンクトップにパンツも付いてサービスいいね!」


辺りを見渡すと、部屋の隅には等身大の鏡が置いてあり、机、教科書が並べられていた。

ふむふむ――と記憶からアニメの流れを考えてみた。


「ってことは、ゴブリン母さんが俺を起こしに来て、ゴブリン学校へ行く。――そんな流れの雰囲気がプンプンするぜ」


俺は外を眺めながら優雅に呟いた。

「ふぅ~。……ありきたりな朝の始まりだな」


もう俺は先読みをして、母さんが二階へ上がってくる前に、部屋の鏡でゴブリンチェックを済ませておくぜ。


鏡を見て、思った俺の一言は

「めっちゃミドリじゃん」


横の窓から外を見渡すと、

「どいつもこいつも、めっちゃミドリじゃん。ったく――ピッコロじゃないんだからさ。色くらい変えろよな」


それにしても俺の顔、

「中々イケてるくね? やっぱ転生してもイケメンスキルは引き継がれるのか?」


――っは!! と引継ぎで思い出した。


俺は急いでパンツを脱いだ。

それは敗れるくらいにもう、摩擦で火が出る程の瞬発力でパンツを脱いで、股間チェックをした。

「はぁ~~」

ホッした。

あの時、イロハエンジェルに股間を切り落とされたことなんて、スッカリ忘れてたぜ。


安心して肩の力が抜けた。

「さて、ベッドに入って母ゴブリンのイベントに備えるぜ」


階段を上がる音が聞こえてきた。

ついに来るか母よ!

ドアが開いた。

「母さん! ちゃんと起きてたさ! もう(せわ)しないな」


母ゴブリン? は目をひん剥きながら俺を見て

「ギャー―――――――!!!! 泥棒!」



「え? なになに? この展開!?」


母さんじゃないの?。

ってことはココどこよ?


じゃ俺――――「誰よ?」


「待って待て、一旦落ち着こう? な? ここ俺の家じゃないの?」


母ゴブリンと思しきゴブリンが、どこから取り出したかも分からないハンマーを取り出してきて、俺目掛けて振りかぶってやがる。


「――即、退散!!!!」

俺は迷わず家から飛び出したね。

殺されかけたら、窓ガラスぶち破って、二階からでも飛べることが今日、…… 分かったよママ。


俺は着地をした。

衝撃で足は明後日の方向を向いていた。比喩とかではなく俺が進みたい方向とは別方向に曲がっていたさ。


でも俺は必死になって街を走った。

――後ろから追ってくる鬼の形相した母ゴブリンに殺されないように。


みんなゴブリンなのに、俺ばっか見てやがる。


俺はそんなやつらに言ってやった。

「てめぇら。俺は見せ物(みせもん)じゃねぇぞ!」

――ハハ――俺が言いたかったセリフが、こんなところで使える日が来るなんて夢にも……、夢。


―――――あああああぁぁああそうか!―――― 

俺は気づいた。


これは夢か!!


あの後、マリンちゃんとの清らかな闘いが終わり、俺は夢の中にいる。――そうだ。なんてバカなんっだ! 俺は。


夢なら納得だぜ。


―――――いや、待てよ。


俺はバカだ。


自慢するわけじゃないが、頭の脳内は昼夜問わずパーリナイだ。

飯の時だろうがクソしている時だろうが常だ。


そんな俺が最強にバカだったガキの頃を思い出した。



あれは――――そう。


――昔、こんなことがあったな。


小学生の頃、隣に住んでた一つ年上の健ちゃんに

「くうが~お前ってバカだよな~」


「バカじゃないもん!」


「俺より年下出し、当然バカじゃんか」


「健ちゃん。僕バカじゃないもん」


「ほぉ~じゃ賢いのか?」


「んーー賢くはない。普通ぅ」


「じゃーこれをお前にやる」


そう健ちゃんから渡されたのは小さなカプセルだった。

「この薬を五日間毎日欠かさず飲めばお前は凄く賢くなれるぞ」

「え?! ほんとに!!」

「あぁ、どうだ? ほしいか?」

「欲しい!! ありがとう健ちゃん」


俺はそれから毎日欠かさず薬を吞んだ。


来る日も来る日も飲んだ。


気づけば、五日が経った。


そこで俺は気づいた。

「――僕はバカだった」




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