ハックしようぜ
今日は何日だったっけ。。。
確か土曜日だったはず。
仕事は休みというのは覚えているものだなと自虐的に笑ってしまう。ちょいと飲みすぎたか?汚い部屋に差し込む朝日。スクリーンセーバーをオフにしているノートPCがメールの着信を示している。開く気がしない。寝落ちするまで遊んでいたゲーム画面で自分のキャラクターが死亡し、復活するための課金を要求するダイアログが出ている。
「だから、課金なんてしねえよ。」
おもむろにメールを開くと不思議な文面が目に入ってくる。
”属性を入力してください”
はい???
よし、見なかったことにしよう。
ぱたんとノートPCを閉じ、近くにあるコンビニに出ようと財布とスマホを手に取る。
住所的には都会と言われる地域だが目の前にあるビニールハウスを見るとどう見ても田舎だよなと思ってしまう。。。って、あれ?
昨日まで記憶にある光景とは別物の風景が広がっていた。
羽虫のように飛び交う一人用の空飛ぶバイク。何本も地面から生えたようにそびえたつビル。網のように曲がりくねった高速道路のように見える高架。恐ろしく静かで騒音は聞こえない。
3回ほど目をこするが変わらない。一度部屋に戻りキッチンから水を飲み、冷凍庫から冷やしてある角氷を二つ口に入れる。
「飲みすぎたか~」
苦笑しながら空いた小腹のためにコンビニに行こうと再度ドアを開ける。
「やあ、おはよう!」
突然声をかけられてびっくりしつつも声の方を向くと金髪のイケメンがそこにいた。
「どうした?豆鉄砲食らった鳩みたいな顔をして」
どう見ても日本人ではないし口の動きも日本語を話しているように見えないのに理解できる。英語と言うよりはロシア語に近いんじゃないかと思える。
「珍しいな、休みの日にエルドが部屋から出るなんて。ポータルは使わないのか?」
こいつは何者で何を言ってるんだ?エルド?俺は純粋な日本人なんだが?
「ああ、コンビニに弁当でも買いに行こうと思って」
相手も数秒固まったかのように見てきて。
「コンビニってなんだ?」