邂逅
三人で一つづつ部屋を巡り、調べていく。
何か一つでもいいから、手がかりを見つけたい。
それぞれの事を知る為に、いろいろと話しながらなので、少し時間がかかってしまう。
「あのう…、お二人は何歳なんですか…?」
「ん?俺は今年で22になるな。」
「私も結城くんと同じね。綾奈ちゃんは?」
「あたしは、今年19です。…お二人とも凄く大人っぽいですよね…。」
綾奈は一番最初の時に比べれば、随分と警戒を解いてくれた。
素直で可愛らしい子だ。
私は兄弟がいない為、綾奈のような子が妹にいれば癒されるだろう。
ふと、引っ掛かりを覚える。
また、忘れた記憶の手がかりなのか。
「…はぁ、」
小さくため息が漏れる。
「祈里さん?大丈夫ですか?疲れて来ました?」
「え、あ、違うのよ。ごめんね、大丈夫。」
「本当に大丈夫か?…まあ、話しながらだから、余計疲れるよな。少し休むか。」
「あ、そうよね。二人も疲ちゃうわよね。」
確かに、話しながらだと喉も乾いてしまう。
台所を探してみようか。
人が住んでいるのだろうが、未だに出会わないのだ。
少し飲み物を頂こう。
「飲み物を貰いに行きましょうか。それで、少し休憩しましょう。」
「そうですね。行きましょうか!」
「この部屋はもう見終わったしな。」
そう話しながら、三人で部屋を出る。
「しかし本当に広いな。上にも続いているみたいだし。」
「そうですねぇ。なんだかお城みたいで、少しわくわくしますね!」
そう言いながら、綾奈が一歩前に出て振り返る。
「最初は怖かったですけど、せっかくこんなに立派なお屋敷に来てるんですもん!楽しまないとですよね!」
「ふふ、そうね。こんな機会、ないかもしれないもの。」
綾奈が自分たちの少し前、先頭を歩く。
曲がり角に差し掛かったその時、彼女は何かにぶつかりこける。
「きゃっ。」
「大丈夫か?ちゃんと前を見て歩かないだろう。」
「えへへ、すみません。あの、ぶつかってしまってごめんなさい!」
綾奈がぶつかってしまった人物は、少し影になっている所にいる為、二人にはまだ見えていないのだろう。
その人物の、姿が。
自分にはよく見た物だった。
これまで、嫌というほどに。