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知らない場所、忘れた記憶−部屋に残ったのは−

───三人が部屋を出た後、先程までいた部屋には紙が一枚。


いつの間にか、庭につながる襖が開いており、そこから吹き込む風が、ふわりと紙を持ち上げる。


そしてそれを、まるで風が渡しているかのように感じさせるほど、自然に掴む人物が一人。


その人物は、少し困ったように微笑んで紙を眺める。


その紙には、普通、あまり目にしないような、模様のようなものが描かれていた。


…指で、スッとなぞる。


「相変わらず、鋭いなぁ…。」


ただの紙一枚を、困ったように、しかし愛おしそうに眺めるその人物は。


「どうしようかなぁ。まさか、忘れられるのが俺だったとは、思わなかったなぁ。」


首元を触る。


「ふふ…。忘れられちゃったのは凄く悲しいけど、でもそれだけ、俺のこと大切に思ってくれてたって事だもんね。」


キラリと、首元で光るのは、ネックレスだ。


彼は、ネックレスを取り出し、直接指で触れる。


「祈里ちゃん…。」


彼の声色に、顔に浮かぶのは一体どのような感情だったのだろうか。


ふわりとまた、外から風が吹き込み、一緒に花弁が舞い込んだ時、そこにはもう、誰もいなかった。





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