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飛翔

 二機のステルス型に改良されたUH六〇ブラックホーク中型多目的軍用ヘリコプターは、それぞれ二機のCH四七チヌークタンデムローター式大型輸送用ヘリコプターを伴いながら、深い闇夜にまるで溶け込みつつ、巡航速度時速二四〇キロの速さで飛んでいく。

 ブラックホークの一機に乗り込んでいた完全武装の戦闘服(BDU)の青年が自身の装備を念入りに確認している。

 自動小銃、九ミリ自動拳銃、コンバットナイフ、手榴弾(ハンドグレネード)閃光発音筒(スタングレネード)、スタントンファー、右足首にはテーザーガン。そして腰から下げている直刀型の高周波ブレードの一太刀。コンバット・チェスト・ハーネスに取りつけられた無数のポーチの中身もだ。

 コンバットグラスの戦術リンク、暗視装置モードやサーモグラフィ、それに左肩に取りつけられた敵味方識別用の赤外線ストロボなどの装備も漏れがないように青年は丁寧に、だが素早くチェックしていく。


「ウィル、準備できた?」


 ショートヘアの金髪碧眼の小柄な美少女が、青年のもとへとやって来る。

 筋力増強(マッスルアシスト)と光学式迷彩、負傷時に患部を圧迫してくれるスマートスーツの上から最新鋭の戦闘服(BDU)を着込んだ彼女は二人一組(ツーマンセル)相棒(バディ)であるシェリルだ。


「ああ、万全だ」

「ウィルったら、いつも時間かかりすぎ」


 シェリルが困ったような顔をして微笑む。


「そういうシェリーはいくらなんでも早すぎだ。本当に細部まで確認してるのか、おれはときどき不安になる」


 ウィリアムは率直に懸念を表明したつもりだった。だが、シェリルは両手を腰に当てて、それから少しだけ強い口調で言う。


「それは嘘ね。わたしたちはそういうふうに不安になることはない」


 シェリルは断言した。


「そう調整されているから」

「まぁ、それもそうだな」


 ウィリアムはわざとらしく肩を(すく)めた。


「……いよいよだね」

<降下一八〇秒前だ。紳士淑女の皆さんは、高飛び込みに備えてくれ>機上輸送管理担当(ロードマスター)がふたりに告げる。

「さぁ行こう、ウィル」


 そう言って、握り拳を差し出すシェリル。


「おう」


 ウィリアムはその拳に応えるように、自らも握り拳でこつんと相手の手を押す。

 シェリルは握った拳を開いて、指をひらひらとさせた。



 それから、ふたりは巨大な増槽(ぞうそう)のような人員輸送ポッドに入る。

 ヘリからのラペリング降下――懸垂下降けんすいかこうは敵対勢力にとっては格好の標的となる。“ブラックホーク・ダウン”の言葉で有名なモガディシュの戦闘しかり、アフガニスタンのレッド・ウィング作戦しかり。そのため現在では人員をポッドに収納して、こうして目的地に投下する。


<降下六〇秒前。機外投下のタイミングをマンイーター・ワンに譲渡する。ユー・ハヴ・コントロール>

「マザー・フライ、こちらマンイーター・ワン。了解、アイ・ハヴ・コントロール」

<頼むぜ。諸君、くれぐれもナチュラルにな。『己も生き、他をも生かしめよ《リヴ・アンド・レット・リヴ》』>

「わかっている、マザー・フライ。『死ぬのはやつらだ《リヴ・アンド・レット・ダイ》』……(スリー)(ツー)(ワン)(マーク)、ポッド投下(アウェイ)


 ロックが外されて、人員輸送ポッドはそのまま地球の重力に引かれて落ちていく。

戦闘描写の練習で、手癖で書きました。約10,000文字あります。

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― 新着の感想 ―
[一言]  確かに……!→降下方式  ホヴァリング状態は格好の的なんですよね(悩)。  かと言って高高度降下は制空権なしには無謀と考えますクチですので、興味深く拝読しました。  これからも頑張って…
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