龍二の家族
玄関で靴を脱ぎ、目の前に置かれたスリッパを履き女性の後をついていく。女性がドアを開け、部屋の中に入ってくださいと言わんばかりに手で誘導する。さっきは暗くてこの人の顔がよく見えなかったけど、目の下にすごく大きな隈がある、そして顔色もすごく悪い。
「どうかなされましたか。」
「あ、、なんでもないです。」
目線を女性の顔からすぐにそらして部屋の中に入っていく。すると部屋の中には、ノートパソコンをパチパチと打つメガネをかけた男性がいた。
「その子は誰だい?」
男性がこちらを向いて女性に優しく問いかける。この人、隣にいる女性よりも体調が悪そうだ。というか、この人に俺のこと説明しなかったのか。
「はぁ、この子、龍二の情報持ってるんだって。」
少し他人行儀な感じで、女性が応答した。この女は、龍二ってやつの親族じゃないのか、ため息もしてるしなんかよそよそしい感じで答えるし、どうなってるんだ。
「本当かい!」
男性が机をバンと叩いて立ち上がる。そのままこちらに近づいてきて、少し目に涙を含みながら近づいてきた。
「僕は、龍二の父親の立石誠二です。よろしく。」
俺に笑顔で挨拶をし、目の前に右手を差し出した。すぐに手を握り返した。
「こちらこそよろしくお願いします。俺は、蒼梧と言います」
握った手を離すと、男性が真剣な表情になった。
「とりあえず、あっちの椅子に座ってくれるかな?」
促されるまま席に座り、正面に男性が座った。
「それじゃ、わたしは。」
そう言って、女性はどこかに行ってしまった。男性の顔を見ると少し呆れている様子だった。
「あー、彼女のことは気にしないでくれ。」
誠二さんはニコッと微笑んで、俺に笑いかけてきた。男性は、ノートパソコンを閉じて机からのけた。
「わかりました。あの、この手紙読んでください。龍二さんから預かった、手紙です。」
封筒から手紙を出して、誠二の目の前に差し出す。誠吾さんはすぐに手紙を受け取った。
「君は龍二の安否は知っているかい?」
こう聞かれるということを覚悟の上で来たというのに、心臓の鼓動がどんどん上がっていく。死んだということを言うわなければならないということは、しっかりと理解できているはずなのに、言葉が詰まってしまう。だが覚悟を決めなければならない、このまま龍二が死んだということを知らないまま生きていくということは、とても不幸なことなのだと思う。だから勇気をここで出さなければならない。
「あ、あの、龍二さんはお亡くなりになりました。」
誠吾さんは、右手で頭をかき少し悩んでいる様子だ。
「そうか、だが信じられない。」
誠二さんは少し怒っているような声色で返答した。やはり、見ず知らずの男に急に息子が死んだと言われてはいそうですかとは、ならないよな。
「だけど、龍二がほんとうに死んだかどうか。この手紙を見てから判断しよう。あの子の筆跡は12年ずっと一緒にいてきた僕が、一番よくわかってるつもりだかね。見て確認させてもらうよ。」
誠二さんはそう言って、手紙に目を向けた。もしも龍二の筆跡が変わってしまっていたら、俺の言ったことは信じてくれないだろう。だがその時は警察にでも行ってなんとかしてもらおう。
誠二さんは、手紙を徐に開いた。
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