手紙1
記憶がなくなってから2ヶ月が経った訓練のしごきは日に日に増していっている。強くなっていってるのはよくわかる、だが軍人になるためにここまでする必要があるのだろうか。記憶がなくなってから休みなく訓練が続いている。記憶がなくなる前はもっとここにいたらしいそう考えると。前の俺ってよく逃げ出さなかったな。
「フゥゥー。」
最近、無意識のうちに大きくため深呼吸をする癖がついてしまっている、まるで今まで貯めていたものを全部出すようにだが吐いても吐いても深呼吸が止まらない。そろそろ心の限界が来たのかもしれない。
今日はどこでなにをするのだろうか、いつもならここのグラウンドに来るようにと言われているのに、今日は食堂にカードキーと304号室にこいという置き手紙が置いてあった何かあったのだろうか。
渡された手紙とカードキーを自分のポケットに入れ、同封されてあった屋敷の地図を手に首を傾げながら探していく。
「お、ここかな。」
ポケットからカードキーを出して、ドアにかざすとカチャという音と一緒にピッという電子音が鳴った。ドアノブに手をかざしドアを押し部屋の中に入っていく。
なんだここ本がいっぱいあるな、というより記憶を無くしてから2、3冊しかこの屋敷で見たことがなかったから少し驚いたな。ん、これ教本ってやつかな。なぜこんなものが。
プルルルルル
ん、電話か、、誰からだろう克馬の友人かな、いやありえないなあの性格の悪さでしかもこの3ヶ月、屋敷から出たところも一切見たことないあの克馬に友人がいるはずがない、では誰からだ。
恐る恐る受話器に向かい唾を飲みながら電話に出た。「もしもしー、あのーどちら様でしょうかー。」
少し声を高めに外面のいいように問うてみる。
「ブゥフ」
ん、なんか笑ってるぞこの人しかも何故か聞き覚えのある。少し高めの人を嘲笑うかのような高い声だ。
「フフフ、ああー悪い悪い君もそういう受け答えができるんだね、蒼梧。」
やはり克馬だたか、何故か笑い声を聞いただけでわかった自分が少し怖い。
「んっん、何かあったのか克馬。」
少し咳ばらいをしちゃんと本題に移れと促す、だが俺の声を聞いたせいか電話越しに聞こえるか聞こえないかギリギリの声で笑っている。
「ああー、蒼梧すまないな今日少し手の離せない用事ができてしまってな。申し訳ないが今日はその部屋にある本で俺が帰ってくるまで勉強でもしておいてくれ、自分のできる範囲で頼むからあとは頼んだ。プープープー。」
克馬め、俺の答えも聞かずに電話を切ってきた。やはりあの近衛克馬の話のペースについていけない、あの自分が全ての主導権を握っていると言わんばかりの態度やはり俺の苦手のタイプなのだろう。
「フゥゥゥーーーーー」
本棚に徐に近づいてゆき、教科書の全てを出して机に並べ数学の教科書から手にかけた。
あれから1週間がたった、だがいくら待っても克馬は帰ってこない。あの電話以来もう克馬とは音沙汰なしだ。
ここ最近ずっと勉強漬けになって、いいリフレッシュになってとても有意義な時間を過ごしていると思う。自分が今までどのくらい不憫な生活をしていたかがよくわかる。あの地獄の訓練の日々、それと違い勉強をしコツコツと知識がどん増えていくのがわかる俺は訓練よりこういう座学が向いているのかもしれない。だがもう最後の本に差し掛かろうとしているしかも一番興味がないせいで後回しにしていたものだ。その名も道徳の本である、多分この本に書いてあるようなことは克馬反面教師にして生きて行けばなんとかなりそうなせいでこの本になぜか興味があまりわいてこない。でも、奴が帰ってくるまですることがないからな一応やつが用意しておいてくれた本なのだ読んでおこう。本を目の前に持ってきて肘を机に突き、少々雑に開いてみる。
パサリ
本からなぜか封筒が落ちてきた、裏返すと蒼梧へと差出人不明の手紙が俺宛に出されていた。
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