第2話*赤い女と悪魔さん*
「本の整理なんか早く終わらせようよ」
「ギャハハハ!マジでウケる!このマンガ!未来のネコ型ロボット最高!!」
「ねぇ秋嘉、聞いてる?」
「しかも、猿の尻尾つき少年と戦ってるし!空飛ぶ雲と、空とぶタケトンボで勝負しちゃってるよオイ!!!」
「秋嘉……」
「カメハメハ―と空気砲〜で戦ってるしぃ〜ぎゃはははは」
「秋嘉!!!」
「え?何?なんかいった?」
やっと夏津倭の話しを聞く秋嘉。ってか、前より本棚汚い。
「…秋嘉。俺はな、早くこんな図書室整理なんて終らせて部活行きてぇんだよ。見ろアレ!!真っ赤な服着たねぇちゃんがこっち嬉しそうに見てんだよ!!!超怖いんだけど!!!こんなとこ居たくないんだけど!!!!」
「えー…、俺見えねぇし。それよか見ろこれ、猿人間が猿んなってるしっ。満月って狼男かよ!!!!」
秋嘉が本を引き抜く度、音を立てて崩れる大量の本。
バッサバッサと本が落ちる音が夏津倭の神経を逆撫でしまくる。
その中の一冊が夏津倭の頭に落ちてきて、瞬間。
ブチッと不吉な音がした。
そして秋嘉は夏津倭に襟を掴まれ絞め上げられる。
「お前マジいい加減にしろよ!!!マジメにやれやボケぇ!!!…ってぎゃあぁあぁあァあぁ嗚呼!!!!」
キレたと思った途端、夏津倭は青ざめて叫びだした。
「なに!?え、何かいんの!!?ちょっと!!夏津倭!?」
「赤い女があぁぁ!!!何か来た!!こっち来たぁ!!なんか笑ってるゥううぅぅ!!近い近い近い!!」
通訳するとさっきこっちを見ていた女がニタリと気味の悪い笑みを浮かべ夏津倭に物凄い速さで近寄って来たのだ。
俗に言う、ひとめぼれ?
何が怖いって舌舐めずりをしながら手をワキワキとあり得ない速さで動かしまくっていることだ。
幽霊というのもあるだろうが、生身の人間でもかなり怖い。
つか、かなりイッちゃってるっぽい。
「いや!ホント勘弁して下さい!!は?好きになりました、結婚して?無理無理無理!!俺彼女いるからっ!え!?その女を呪い殺す!?おいぃぃぃ!やめれ〜!!」
夏津倭は、赤い女を必死に説得しているのだが、秋嘉ビジョンでは、ただの漫才にしかみえない。
「あの〜幽霊さん?コイツ、彼女いねぇっすよ?」
「ぬおっ!秋嘉ぃ〜!」
ちなみに、赤い女さん怒り狂いだした。つか、盆踊りみたいな発狂のしかただ。
「しかも童貞♪」
真っ赤になる夏津倭の顔。秋嘉の背後には、悪魔のようなものが見える。うん。普通さ、守護霊さんとかが、いるけど、コイツの場合は悪魔さんだ。
あ、悪魔が会釈した。意外と礼儀正しい。
「ぎゃぁぁぁぁ!!チューは駄目!チューは駄目だからっ!!」
相変わらず面白いなぁ……そんな事を思いながら見物する秋嘉。
「は?なに?私とチューできないなら、この人にのり移って、大人の階段昇らせる!??おい!!たのむから止めて!すいませんでした!チューするから!チューするからってオイィィ!!なに秋嘉にのり移ろうとしてんだぁぁぁ!」