第三話:『吸血鬼』
その日、恵を寝かせ俺は外に出る。
大きい家に幸せな家庭…
昔の俺もそうだったのか…
いや、思い出すのはよせ…今は依頼人を守れ…
そう思いにふけていると気配がした。
「来たか…」
そう呟くと目の前に牙を生やした人間がいた。
「吸血鬼か…さらにやっかいな…」
そう言って腰にある刀を抜く。
相手は吸血鬼に血を吸われた人間。
つまり、後天性吸血鬼だ。
すでに人間ではない…
ただ救いがあるとすれば…
「死、だけだ。」
そして、俺は集中した。
「ざっと、10人か…」
それを合図に戦いを始めた。
移動しながら攻撃をする。
一体…二体…三体…
順調に倒し続ける。
「なんだ…この違和感…」
刺客にしては弱い…
その時、気が付いた。
「囮…か」
チッ!と舌打ちをして雑魚を片付ける。
恵の部屋へ行くと予想通り吸血鬼がいた。
「予定より早いですね。」
と俺を見てそう言うと恵をチラリと見て再び俺を見る。
「やはりあなたを倒さなければ手に入りませんね…」
そう言うと敵の爪がジャキンと伸びた。
俺も剣を構え両者戦い戦いの準備をした。
先に動いたのは敵…
俺との距離を一気に縮めた。
しかし、俺は焦らずに横に飛び避けた。
そして、敵が俺を見て驚いた。
「その銀髪…紅舞!」
そう俺の髪が綺麗な銀色になっていた。
俺はその時、クスリと笑い
「くく…もう、遅い…お前はここで死ね。」
と今まで違う雰囲気が漂い始めた。
敵は明らかに恐れ始めていた。
「死ぬ前に答えろ、黒幕は誰だ?」
と聞くとビクリと体が動いた。
そして、敵はうオォぉォと叫び変形する。
「こいつ…後天性吸血鬼だったのか…」
後天性の為に力が収まりきらず力が暴走を起こしているのだ。
ガッシャ〜ンと言う音と共に俺は敵と一緒に窓から落ちた…