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第25話:『深遠』

その夜…

結局俺たちは依頼を果たす為に現場に向かっていた…

現場は…この前の裏路地だった…

(偶然にしては出来すぎじゃないか…)

俺と静はゆっくり、ゆっくりと前へ進んだ。


この前の場所…

今、ここに立つだけでも思い出してしまう…

俺はそれを忘れようと頭をぶんぶんと左右に振った…

しばらく沈黙が続き、人の話し声が聞こえた。

ターゲットが近づいてきたのだ。


「汐紫、フィールドは張ったわ

いつでもいけるから」

と静がパソコンをいじりながらそういった。

「わかった…はじめるぞ!」

と声を出し、遂に任務が始まった…


―――――――――――――――

その頃、恵達は…


「…起きるよね…」

暗い部屋の中、ぽつりと恵がそういった。

その視線の先には…

紅舞…

整った顔はそのままで

こう見ているとまるでただ寝ているだけの様にも見える…

紅舞にはそれほどひどい傷もなかったので力を使うことも出来ず

何度か意識を戻すために力を使おうとしたが…

紅舞がその度に苦しがる…


そんな恵が出来る唯一のことはこうして看病すること…

とは言え、本人も寝ずにここまで来ているのだ…

体には相当な負担がかかっていた。


そして…恵は紅舞の顔をずっと見ていると睡魔が一気に襲い掛かってきた…

恵は抗う暇もなく…

ポテンと眠りに落ちた…


暗い暗い闇の中へ…




ナゼひていスル?


俺の汚い部分だから…


ナゼ忘れようとスル?


あの頃はいい思い出より悲しい思い出の方が多かった…


ナゼ聞こうとしない?


真実を知るのが怖かった…


ナラ…お前はナンノ為に…ドンナ風に…


『生まれたんだ?』


何処からか聞こえてくる片言の声…

俺のいやな部分を全部、掘り返してくる…


「お前は誰なんだ!

顔を…姿を見せろ!」


そう叫ぶと目の前に鏡が現れた。


『こうしないと分からないのか?

俺はお前の影だ。

つまりこの姿と同じ鏡みたいなものさ…

いくら鏡が正反対でも全然関係ないの物は写さない…

写す部分があるからこうして見れるんだよ…』


そう言われ俺は反論する事は出来なかった…

何故なら…こいつの言うとおりだからだ…

こいつは昔に封印をした自分の姿、そのものだった…


自分で考えずに相手の言われる事を…ただ、言われた通りにする…

その生き方はすごく楽だった…

でも…それが間違っている事に気づいた時…全てが遅かった…

俺は人もヒトでないモノも…殺しすぎた…

自分の手を見れば今でも血まみれな気がして仕方がない…

いや…手だけじゃない…体中の全てが汚れている気がした…

だから…逃げた…記憶を封印し今の自分を作った。


でも…もう逃げられない…

「俺は楽になれるのか?」

そう聞くと鏡に映った自分はニヤリと笑みを浮かべ

『そんな訳があるか…お前は生きるさ…生きて生きて…そして、最後に死ぬ…

よく、殺したり乗っ取ったりするが…あんなのは2流だ。

本当の恐怖ってのはこの世界に転がってる。

お前達がそれを見ようとしないだけなんだよ

まぁそのうち分かるさ…

なんでそんな事を言ったか…そして、お前の真実も…な…』


そう言って鏡は消えた…

「また…一人になっちまったんだな…」

暗闇の中…俺はまた一人になり…

三角座りをした…

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