第23話:『殻と空』
えっと一応ですがタイトルは『からとそら』ではなく『からとから』っと読んで下さい(^_^;)
空っぽだ
何もない…
白もなく…黒くもない…
上も無ければ下もない…
『無』と言う言葉もなく…
ただ…
空っぽ…
嫉妬、恐怖、痛み…
喜び、楽しみ、笑い…
全部が『から』…
殻が無くなり、空になった…
―同時刻―
ハァハァ…
俺と静は恵の家でゆっくりしていると突然、恵が帰ってくるなり
『紅…んく…紅舞が…大変!!
私、廃ビルで逃げるのが精一杯で…』
と何を言っているのか分からないので落ち着かせ話を聞くと…
どうやら、力が使えずかなりの数のグールを相手に殺り合っているようだ…
それを聞き、俺達は急いで飛び出した。
そして、その廃ビルに着いた時…俺達はただ…驚いた…
大量のグール達の中心に無気力な状態でただ立っている紅舞がいた…
周りのグールは動かずに最初は様子を見ている様に感じたがそれは違った…
紅舞がにやり…と少し笑うと周りのグール達は積木が崩れる様にガラガラと肉片になった…
そして、それは残らず砂に変わっていく
しかし…その中にいた本体の吸血鬼…
恐らくはかなり上位の吸血鬼だろう…
しかし…明らかに何かを恐れている…
その視線の先には…
紅舞…
紅舞はゆらり…と揺れたかと思うと次の瞬間には吸血鬼の腹部を深々と刺していた…
吸血鬼も最初は気付かずゆっくりと視線を下へ下げた。
だか…紅舞はそんな暇を与えず刺したまま剣を上へ向ける。
自然と吸血鬼は上に持ち上がり重力によりズブズブと深く…深く刺さっていく…
『ぐぁ…ぁぁ…』
と既に意識が途切れ様としている…
しかし…紅舞には関係ない…
刀をグチュグチュと右に回したり左に回したりしている…
まるで子供が無邪気に遊ぶように…
純粋に楽しそうな顔をしながら…
血がボタボタと大量に落ちて行く…
服にはベットリと血がついていた…
吸血鬼の体がビクンビクンと数回…痙攣を起こし動かなくなった…
すると紅舞はつまらなさそうに上を見上げた…
夜空には満月が光っており…
その光の下に紅舞がたっていた…
口は笑っているのに、目から涙を流している…
刀から血が滴りオチており、ぴちゃん…ぴちゃん…と音がこだまする…
俺は知らず知らずの内に唾を飲んだ…
それはただ言える事は…
ただ…
ただ…
自分『も』オチそうで怖かった…
何故かは分からない…
でも…怖くて…
怖くて…逃げたいのに…逃げられなくて…目が…
離れない…
―同時刻―
『どうやらまだ不安定だけど上手くいってるみたいね…』
闇の中…彼女はそれだけを確認し満足そうに廃ビルを後にした…
黒と白の羽を残して…
血は相変わらず滴りオチル…ぴちゃん…ぴちゅん…
と音を立て…
ただ…ゆっくり…ゆっくりと…
確実に…オチて行き…
そして…
波紋を広げる…
止まる事なく…
広がり…続ける…