第十三話:『戦いの後…』
暗い…
何もないただの…
闇…
俺と言う存在しかない世界…
人はコレを夢と言うのだろうか?
夢…
なにもない…何も…
そう思った瞬間…
目の前に2つの扉が現れた。
二つとも扉には鎖がかなり厳重にされていた。
そして、俺の右手にはいつの間にか鍵が一つ…
俺は何故こんな所に…
何の為に…
まず…俺は…
『誰だ…』
チュン…チュチュン…
鳥のさえずりが聞こえる…
「朝…か?」
と目を開くと俺は何故か屋敷に戻っていた…
そして、部屋の隅には椅子の上で寝ている恵の姿があった…俺は体を起こすと腹部に激痛が走る。
「つぅ…」
と痛みを噛み締める。
ズキンズキンと周期的に痛み腹部を手で抑える。
ジワリと服に赤い染みが少し出来た。
俺は次に左肩を触った。
こちらの傷はそれほど痛まない…
「肩の傷はマシ…みたいだな」
今度は完全に起き上がり携帯に登録してある私服を呼び出した。
Pi…
と電子音がし、俺の服が一瞬で変わった。
そして、毛布を一枚取り恵に静かに掛けた。
「ん…んん…」
と可愛らしい声を漏らした。
俺はいつの間にか少し笑みを浮かべていた…
「お前…変わったな…」
と突然、声がし扉の方を見るとそこには汐紫がいた。
「どこが?」
と冷たく言うと
「俺が知ってるお前は笑うなんて事はなかった…お前変わったよ」
と再び同じ台詞を言った。
そして、汐紫は俺に近づき
「俺には今のお前の方がいいと思うぜ」
と肩をポンッと叩き少し笑いながら言った。