第十話:『影』
俺は確実に倒しているはずなのに敵は減る気配を見せない…
俺はジリジリと後ろに下がらさせられていた。
ガララ…
と瓦礫が落ちる音を聞き後ろを見るともう後ろはなかった…
俺は刀を構えて敵を待ち構えていると…
ドォン!
と爆発音に近い音がした。
俺がそこを見るとそこには汐紫と静がいた。
「よぉ!苦戦してるみてぇだな手伝ってやるぜ」
「お手伝いします。」
と言うと二人は別々の方向へ進み敵を一掃し始めた。
汐紫は拳にナックルをつけ静は小太刀を両手にもっていた。
俺は
「すまない」
と一言だけ言い残し屋上へ向かった。
屋上に出ると満月の月が屋上を照らしていた。
そして、その真ん中にいる一人の人影…
そいつはゆっくりとこちらを向き『遅かったな…』と言った。
俺はカチャリと刀を握り直した。
その男は『さぁ…始めようか…』と言われ戦いが始まった。
男はスゥと消えたかと思うと突然、目の前に現れた。
そして、異様に長く鋭い爪が顔面へ一直線に襲いかかってきた…
俺はそれを紙一重で避けたがかすったのか頬に少し切傷が出来た…
この時、俺はコイツは先天性吸血鬼だとわかった…
『ほぉあれを避けると言うことはそれなりの力の持ち主だね…』
とまるで小手調でもしたかのように語りだした。
俺は力を解放し相手を睨んだ。
『銀色の髪…なるほど君が紅舞か…丁度いい君の力、見せてもらう』
と言うと突然、敵の影が動きだした…
影は犬の様な形になり俺に襲いかかってきた。
俺はそれを避けて反撃しようとした時、犬は影に入り姿を消した。
そして、また違う影から姿を現し攻撃をしてはまた影に消えた。
俺は考える暇もなく、ただ今は防御に専念した…