またいつか一緒に【第18話】
リレー小説(第二弾)設定・注意事項
★全40話
★一話2000文字以上
★登場人物数制限なし
★ファンタジー要素無し
★SF要素無し
★地の文は主人公視点
★重複執筆可
★ジャンルはその他
★執筆予約制廃止(予約を入れてくださる著者様を拒みはしませんが、ある程度の執筆予約が入ってからの執筆開始はしません。執筆予約を入れられた著者様に関しては、活動報告に掲示させていただきます)
★執筆著者様は、執筆前に聖魔光闇様にご連絡ください
★執筆投稿後、必ず御一報ください
★あらすじは、前話までの要約を明記
★後書きに執筆著者様募集広告を添付
1話:聖魔光闇先生 http://ncode.syosetu.com/n1590t/
2話:日下部良介先生 http://ncode.syosetu.com/n2296t/
3話:ふぇにもーる先生 http://ncode.syosetu.com/n3991t/
4話:koyak先生 http://ncode.syosetu.com/n4630t/
5話:創離先生 http://ncode.syosetu.com/n8318t/
6話:蟻塚つかっちゃん先生 http://ncode.syosetu.com/n9612t/
7話:聖魔光闇先生 http://ncode.syosetu.com/n1100u/
8話:伝次郎先生 http://ncode.syosetu.com/n2759u/
9話:koyak先生 http://ncode.syosetu.com/n4425u/
10話:このはな さくら先生 http://ncode.syosetu.com/n4766u/
11話:鳩麦先生 http://ncode.syosetu.com/n8057u/
12話:ポテトバサー先生 http://ncode.syosetu.com/n1332v/
13話:聖魔光闇先生 http://ncode.syosetu.com/n5466v/
14話:真野 優先生 http://ncode.syosetu.com/n8285v/
15話:koyak先生 http://ncode.syosetu.com/n9776v/
16話:伝次郎先生 http://ncode.syosetu.com/n1985w/
17話:キッチンタイマー先生 http://ncode.syosetu.com/n5121w/
よろしくお願い申し上げます。
「……死んだ? まさかっ。なんで――――」
◆◆◆ ◆◆◆
勝俊が刺された――――。
僕は家にいた家族に手伝ってもらい、家の前で黒崎さんを待った。
かすかに雨の匂いをふくむ、生暖かく湿った風が、僕の肌を舐めた。
遥は、大丈夫なのか?
到着し、走り出した車のシートにもたれながら、僕は悶々と考えていた。
どういう状況だったんだ? 犯人を見たのか?
……なんで、勝俊と、あんなこと……。
「なん、なんだよ……っ。なにしてたんだよっ!」
自由になる左手を、雨粒が散り始めた車の窓ガラスに思い切り叩きつけた。
一瞬、黒崎さんがこっちを見た気がするが、なにも言わなかった。
遥を衝動のままに、傷つけてしまいたい。でも、どこかで心配している自分もいる。
移動の時間ができたため、さっきよりは少し冷静になっていた。
それでも、わけの分からない感情が、疑いが、どうしようもなく湧き上がってきて呑まれてしまいそうだ。
どうしてなんだ。勝俊と二人して、僕を騙していたのか?
遥のことが、わからない。
お前は、僕を、心配してくれていたんじゃなかったのか。
それに――そうだ。
部屋でなにがあったのかも、まだ聞けてない。
恐らく双子の、咲菜と優菜のことも。
遥は、部屋でなにか見たのか……?
そこでふと、一連の事件のことに考えが逸れた。
石谷咲菜と石谷優菜。
双子の姉妹で、おっさんの――石谷健人の娘。……だと思われる。
それで、病院へ運ばれたのが、咲菜。
来栖の彼女だったのは、優菜。
僕が三日月と一緒に会ったのも、優菜。
そして三日月が付き合っていたのも優菜、ということになるのか?
いや。僕が来栖の彼女の写真を見たときになんとも思わなかったことを考慮すると、咲菜と優菜が交互に三日月と、付き合い初めは来栖にも会っていた、ということにもなるかも知れない。
――――なんのために?
まさか。
復讐?
おっさんの――父親の――?
それをするために、僕らに近づいたのか? 本当に?
とすると、友達同士の来栖と三日月の彼女が、双子だったというのはもはや偶然ではないだろう。
だったら三日月は、あの双子のことに、なにか気づいていなかったのか?
あの日――椎名が事故で亡くなったとき――、あいつは確か言った。
『守るって言ったのに!』
――――ファミレスでだって。
『彼女を守るためなら代わりに死んでもいいと思ってる』
あんな能面が、だ。
『恋人を守れない男は死ぬべきだ』と書いて首まで吊って。
ひょっとして咲菜と優菜は、身の危険を感じていた……?
もし、もしだ。
三日月が、椎名がなにかしら、危険なことをしようとしている、もしくはなにかに加担していると勘づいていたとしたら?
三日月がどこまで知っていたかは分からない。でも、好きな女が危険なことをしようとしていたとしたら、普通は止めさせようとするだろう。
もし、僕らが会った椎名が。
本当に、石谷健人の娘で、双子なら。
やっぱり別の可能性が、浮かんでこないか。
偽名を使っていたのが、父親・石谷健人の復讐をするためだったと。
雨をぬぐうワイパーの音が、静かな車内に響く。
だけど双子が、どうやって僕らを突き止めたのかは不明だ。
しかも、片割れに等しいだろう家族を、あんな危険な目に遭わせるか?
たとえば、事故に遭った椎名自体の替え玉がいたとしても。
姉もしくは妹をダシに、三日月に対して父親の復讐をするにしても、だ。
未成年の女二人にそんなことをするだけの力が、どこにあるっていうんだ。
誰か別に、いるんじゃないのか? 二人を動かしていた、人間が。
ほら。ひとり身近に、いるじゃないか。大人が。
そう、黒崎さんが。
この人は勝俊の別荘の爆発のとき、近くにいた。
遥の部屋を知っていそうだった。
病院でも姿が見えなくなったって勝俊も探してた。
僕を階段から突き落としたのが、仮に双子のどちらかだったとして、病院で二人が落ち合っていたという可能性は?
咲菜と優菜の双子を、そそのかしていたのが、黒崎さんだとしたら?
――――黒崎さんは、怪しい。……でも。
来栖の怪我を見たときの、あの表情は?
あの、血の気の引いた顔は?
それに、動機は?
仮に黒崎さんが一連の事件の犯人で、代行業者を装った黒幕だとして、少しでもそれと匂わせるような行動をするのは、おかしくないか?
だって復讐は、誰にも気づかれることなく、遂行されるべきものなのだから。
仮に、咲菜と優菜が、僕らグループ全員に、復讐を考えていたとして。
黒崎さんが、なんらかの関与をしていたとして。
それでも、不可解だ。だって。
そもそも、誰か一人にしろ、五人全員にしろ、復讐しようというならば、どんなかたちであれできたはずだ。あの、卒業旅行以前に。
それは、腑に落ちない。
なぜなら――――。
五人を一度に集める機会を、わざわざ作っていることになるから。
そう考えると、かなり無理な点が出てくる。
まず、あのとき小学生だった僕ら全員が、ずっと仲が良いまま過ごすなんて限らない。誰かが転校してしまうかも知れないし、ケンカして仲が悪くなってしまう可能性だってある。だから僕らをずっと、仲が良いままでいさせなければ、いけなかった。
そして次に、
五人全員を、揃えなければならなかった 。伊勢で 。
これから復讐が始まるということを意識させるために、伊勢に旅行に行かせ、みんなの目の前で誰かを事故に遭わせる。あとは、順番に残りの四人を追いつめていく……。
その、最初が僕だった。
そして、最後。もっとも肝心なのは、ここからだ。
事故に遭った人間が、ネットを通じて復讐する、ということを。
――――犯人は確信していなければならなかったはずだ。
双子が代行業者なら、そうでなければ動けない。そのうえで、三日月と来栖に近づかなければいけないから。
――――もし、最初に事故に遭ったのが、僕じゃなかったら?
クールで能面な、三日月だったら?
みんなのまとめ役の、来栖だったら?
真面目に車椅子バスケをやっている、優だったら?
今、この一連の事件を躍起になって解決しようとしている――――勝俊だったら?
みんな、同じように、復讐を考えただろうか?
誰か一人、手を差し伸べていたかも知れないのに?
いや、ちょっと待て。
僕が最初に病院に運ばれたとき、医師に『自殺未遂』だって言われたよな。
あれは、僕を――誰かを――復讐へ駆り立てるための、仕掛けだったのか?
誰も僕を助けなかったのも?
五人の中の誰かに――僕に――復讐を考えさせ、いわば同士討ちのようなかたちにさせるための?
僕は、僕らは。
なにかもっと大きな舞台の、ただの稼動装置に過ぎなかった――――?
……そんなことを。
そんなに不可解で、不確実で。
わざわざ、手の込んだことを。
途方もない時間をかけて。
待っていたというのか。
当時まだ子どもだった咲菜と優菜が――――?
――――ばかばかしい。
いくら黒崎さんが関与していたとしても、できるわけがないだろ。
それに、双子が代行業者だったんなら、身の危険を感じる必要なんか、ないじゃないか。
事故に遭ったり、血を流したりするか?
だいたい、人の意思をどうやって操作するっていうんだ。
万に一つ、あるかないかの可能性の連続に賭け続けるなんて。
全然、建設的じゃない。
五人をずっと、仲良くさせて。
高校も、同じところに通わせて。
何年後かに、伊勢に旅行に行かせるなんて。
……伊勢……。
いや、なにもそうと決まったわじゃない。
憶測でしかないんだ、これは。
でも――
――――誰が、伊勢に行こうと言ったんだっけ?
『またいつか一緒に――――……』
雨の音が、遠くなる。
あれは、いつ、誰が、言ったんだったか――――……?
「到着いたしました」
僕の思考は、黒崎さんの声によって切断された。
◆◆◆ ◆◆◆
「……死んだ? まさかっ。なんで――――」
「たった今、息を引き取ったとのことです」
「な、なんでなんだ? 自殺?」
「さあ……詳しいことは、まだ」
それもそうか。
でも、なにかわかると思ったのに。
雨音が、病院を覆っていた。
勝俊を刺した犯人は、勝俊を刺したあとすぐに、死んだそうだ――――。
これはリレー小説です。
リレー小説とは、複数の筆者による合同執筆(合作)を言います。
御参加頂ける方は 聖魔光闇様までメッセージにて、ご一報ください。
参加していただける方は、再度メッセージにて、正式に依頼させていただきます。
その後、投稿後にもう一度ご連絡いただきますよう、お願いいたします。
現在、19話以降の執筆担当者様を募集しております。
皆様のご参加、心よりお待ちしております。
まったく話が進んでおりません……。
申し訳ありません。