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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

正の字

作者: 樫春 寛菜
掲載日:2026/03/20

これは、夢の中で起きた少し奇妙な出来事の話です。

いつも通りの夢のはずなのに、ひとつだけ違うものがありました。

もしよければ、その違和感に気づいてみてください。

私は日常的に夢を見る。

内容は様々で、日常の何気ない生活や、自分がアイドルになったり、芸能人が出てきたり、溺れる夢や爆発する夢、本当に様々な夢を見る。

面白かった夢に出会えると、一本の映画を見たときのような感動すら覚える。夢なのに......。そのくらい私にとって、夢を見ることは幸福感をもたらすのだ。

今日はお出かけの日、後部座席の揺れにウトウトして眠ってしまった。

目が覚めると、見たことのない場所。夢の中だ。

そこには3人の女性、友達の直子と舞と千枝美の姿があった。

3人は楽しそうに話をしている。周りを見ると、別荘のようだ。飲み物を飲みながらゆっくりと過ごす3人。千枝実が外の空気を吸いに出かけていった。私は、だんだん視界が暗くなり何も見えなくなった。どのくらい時間が経ったのだろうか。だんだん視界が明るくなって、直子と舞の眠っている姿が見える。目を覚ます2人。2人は千枝実がいないことに気づき、カーテンを開ける。外は、真っ白な銀世界になっていて、眠ってる間に雪が降ったようだ。直子と舞は心配で別荘中の窓から千枝実の姿を探す。

遠くにうっすらと人影が見えた。2人は急いで外へ出た。足元が雪で10センチメートル近く埋もれていて、歩くのも大変。近づくと、白い雪から赤い雪に変わった。目の前に現れたのは、胃や腸などの内臓がお腹から飛び出している残酷な姿の千枝実だった。

誰かー助けて、誰かーお願い」舞が泣き叫ぶ。

携帯を持ってなかったので、早く警察に連絡をしなければと、急いで別荘に戻る。

だんだん雪が激しくなってきて、天気が荒れ始めた。

直子が携帯で警察に連絡をする。

通話が舞にも聞こえるように、スピーカーモードに切り替えた。

「助けてください。〇〇の別荘で友人が死んでいます。すぐ助けに来てください」「千枝実が誰かに殺された」2人は涙声で叫んだ。

管察に今までの経緯を話すと「この天候ですぐに行けません。なので、くれぐれもその部屋からは出ないでください。私たち警察が行くまで、お友達と必ず一緒にいてください。1人にならないように、もしかしたら殺人の疑いもあります。犯人が近くにいるかもしれません。動物の仕業かもしれません。怖いと思いますが、できるだけ急いで行きますので、私たちが行くまで別荘の中で待っていてください」

と言われ、電話をきられてしまった。直子と舞は、震えが止まらない。沈黙のまま、

時が流れる。

直子も舞も色々考え始める。

「千枝実がいなくなってから、私たち眠ってしまったよね」と舞に声をかける。

「そうだね。2時間くらい。その間に何があったんだろう。なぜ、千枝実が•••・・・」涙が止まらない舞。死んでしまった千枝実の姿を思い出し、なぜ千枝実がこんなことに・・・・・・と、自分たちを責め始める。

そのうち直子と舞の中に相手を疑う気持ちが出てきた。そう思いたくないが、もし

かして目の前にいるこの人が・・・犯人•.では?

2人はまた、ウトウトと眠くなってくる。しかし、眠ってしまったら、千枝実のように殺されてしまうかもしれない。寝てたまるか・・・・・・私は殺されない。

直子も舞も、表情が変わってきて、険悪なムードになっていた。

時計を見ると、千枝実が遺体で発見されてから9時間も経っていた。

直子が「舞お腹空かない?食べないと私たちも倒れてしまうから、食事にしよう」と言うと、「うん」と舞が頷く。2人はキッチンの方に行く。その時、奥からガチャンと物音がした。

直子がキッチンの電気のスイッチをつけると、目の前に汚くて服がボロボロで、手に包丁を持った50~60歳くらいの男が立っていた。その男は、何かを話しながら近づいてくる。

2人は恐怖で大声をあげた。

「キャー!助けてー」

2人は思った。この男が犯人だと…・・。

2人は、目を合わせて頷き、近くにある薪で男に殴りかかった。すると、男は小さい声で何かを言いながら気絶した。直子と舞は、この男が悪いことをできないようにロープで縛り付けて、口元にはガ

ムテープを貼った。

警察が来るのを待つ直子と舞。

お互いの疑いが晴れて、ホッとした2人は眠りについた。

私の夢が真っ暗になった。どのくらい時間が経ったのか…・・・・・。うつすらと明かりが見える。

瞼をゆっくり開けると、目の前に銀バケツが見えた。

近くから声が聞こえ、周りを見渡すと、男がこっちを見てウーウーと言っている。でも男はガムテープで口を塞がれていて、何を言っているのかわからない。体はブルブル震えていて、男は何かに怯えているようだ。

はバケツの方に目を向けた。バケツからは血まみれの腕が出ていて、その手には胃や腸などヒトのものらしき内臓を握っている。

視線をだんだん上に上げていく。

見たことのある洋服、見たことのあるネックレス、首元まで上がった時、”ううううう、うううう、うーうう、うウラウ、ウウウー”と声が聞こえて、声のする方を見てみると、直子と舞がお腹をえぐられて体が痙攣し白目を向いて死んでい

°。

視線を元に戻し、首元から口元へゆっくり上げていく。

誰だ、犯人は......。そこにいたのは・・・・・・鏡に反射して映っている、笑みを浮かべた血だらけの私自身だった。

驚いた瞬間、視界が真っ暗になり、パッと目を覚ました。ああ、夢か・・・・・・。あれ?

周りを見渡すとまだ夢の中だ。

そう思ったのも束の間、ようやく遠くからパトカーのサイレンの音が聞こえてきた。

サイレンの音が近づき、警官が別荘の中に入ってくる。安心して泣き出しそうになった私が1人の警官に駆け寄ると、そのまま手錠をかけられた。パトカーに乗せられると、また眠くなった。

目が覚める。すごい夢だったなー。私が人を殺してるなんて、びっくりしたー。今回の夢も、大満足の夢だった。

あれっ?布団の上じゃない。

あれっ?警察?

あれっあれっあれっ。

「なんでまだ私ここにいるの?起こして、起こして、起こしてよー!」と警官に叫ぶ。でも夢から起きられない。現実の世界に戻れないまま、まだ夢が続く。

月日が経ち、裁判の日。

別荘に不法占拠していた男の証言によって判決は死刑。私は刑務所の布団の中で眠り、明日こそ自分の部屋の布団で起きると倍じ、毎朝起きるたびに、灰色の壁に正の字を書き続けた。

明日は死刑執行の日。最後の就寝だ。

「お願い、私を夢から解放してください」と祈るように手を合わせて眠る。そして夢を見る。あの時の事件だった。

会社の仲良し4人組の旅行。私は一番新米でこきつかわれている。

直子が運転する車の助手席で眠ってしまった。私は、3人の声で目が覚めた。日をつぶったまま聞くと、私の話をしている。

私は会社に入りたての時にイジメにあって、それを助けてくれたのは、直子と舞と千枝実だった。会社に行けるのもこの3人のおかげと、3人のためになんでも動いた。

恩人だから......。

でも、3人の話はそんな私をあざけり笑うものだった。

「会社つまらなくない?退屈しのぎにそろそろイジメ開始しちゃう?」

「いいねー。もーこの子、あの時イジメを助けてもらったと思い込んでるもんねー」

「私たちがイジメてたのも知らないで」

「千枝実さぁー、別荘に着いたら私たち眠ったふりをするから、その間にこの子外に連れ出してよ。実は庭に穴掘ってきたの舞と・・・・・・「そこに落として動画とっちゃおー。おもしろそう」舞が笑っている。

「やめよーよ。それはやりすぎだよ」と千枝実だけ止めてくれた。

私は怒りを抑え、眠ったふりをやめて起きた。

別荘に着き、3人に飲み物を渡す。私は眠りが浅いので睡眠薬を持っていた。それを直子と舞の飲み物に入れた。直子と舞は眠ってしまった。少しして千枝実が私を誘ってきた。

予定通りに進んでいる。千枝実は「やめよー」と言ってくれてたから、私は倍じた。

ところが、千枝実は私をそこの穴に誘導したのだ。激しく揉み合いになり穴に落ちてしまった。そして頭から血を流し千枝実が死んでしまった。

私は動物の仕業に見せかけるため、別荘の台所にあった包丁でお腹をえぐって内臓を引きずり出した。

それから急いで別荘に戻った。直子と舞が起きるのを待ち、私も今起きたように

装った。

そして、千枝実を探しに行き、千枝実の遺体を見つけ、混乱する2人の姿。私を疑っている。次は直子と舞の番だ・・・・..。飲み物を出しても私を警戒している。直子と舞が警察に連絡をしてしまった。時間がない…・・・・・。どうしよう…。

直子と舞はお腹が空いてキッチンへ行った。するとあの汚い男があらわれた。私が近くにある薪で男に殴りかかった。直子と舞はこの男が犯人だと思い込んだ。

ラッキー!動物の仕業ではなく、この男に犯人になってもらうことにした。

私は手袋をして、男が持っていた包丁を持ち、眠っている直子と舞を殺した。千枝実と同じ死に方に見せかけるために、腸や内臓をひきずり出し銀バケツに入れた。

遠くからパトカーのサイレンの音が聞こえてきた。結局私は捕まった。

本当は、その銀バケツを私と男の全身にかけて、揉み合いの中、私が男を刺して殺すっていうシナリオだったんだけどな・・・・・。もう少し時間があれば完璧だったのに・・・・・・、とぶつぶつ言いながら舌打ちをする。血だらけの腕に手錠をかけられて車に乗り、警官の隣で眠りにつく。

「315番起きなさい」

私は夢から目を覚ます。私が灰色の壁に書き続けた正の字だらけの部屋だった。

夢だったらよかったのに…・・・・・・。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

夢は自由で楽しいもののはずなのに、ときどき現実よりも鮮明で、不思議な感覚を残します。

この物語の中で感じた違和感が、少しでも心に残れば嬉しいです。

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