果し状
お元気ですか。
私はちっとも元気ではありません。
もしかしたら、あなたはその理由にお気づきかもしれません。
そのような中、このような書状をお送りするのは、あくまでも私の名誉のためとご理解ください。
本日、私との仲を御友人にからかわれた貴方が、「あんなやつと噂されるなんて最悪だ」とおっしゃっているのを耳にしました。
その場の勢いで、とっさに出た言葉であったかもしれません。
ですが、その場で続けざまに私の欠点を挙げ連ねた貴方には、それらの言葉に私がどんなに傷付いたか、きっとおわかりにならないと思います。
誤解してほしくはないのですが、私は貴方にこれっぽっちも好意など抱いておりませんでしたし、ほんの少しの興味もありません。
私が傷付いたのは、そのような私にとって無味蒙昧な大衆の一人でしかない貴方に、あんなやつ、とまるで自分より格下であるかのように扱われ、馬鹿にされたことです。
私は決して、多くの人に褒め称えられ、尊敬されるような人間ではありません。
けれど、貴方のような人に、見下され、馬鹿にされるようなことをした覚えもありません。
私は家に帰り、枕を涙で濡らしながら、どうしたらこの悔しさをはらせるだろうか、と思案しました。
その結果、貴方に勝負を申し込み、完膚なきほどに貴方を叩きめすことでしか、この惨めさはなくならないとの結論に至りました。
私は貴方に、私の名誉をかけて、勝負を挑みます。
私から申し込むものになりますので、勝負の方法については、貴方が決めていただいて構いません。
ただし、私はどのような勝負であれ、貴方に勝利するつもりです。
手段は問いません。
私の目的は、貴方を完膚なきほどに叩きめすことで、それ以外に興味はないのです。
長文長々と失礼いたしました。
日時等詳しいことが決まりましたら、またご連絡を取りたいと思います。
ご多忙な中とは思いますが、色よい返事をお待ちしております。
頑張れ、と応援している。