18 元お転婆の新米神官
「……。暇ね、モイラ」
「はい、プレア様。今日も、ご依頼して頂く方が、一人も来ませんでしたね」
ぬぐぐ。
そんな言い方をしなくても。
大神官執務室にて、私とモイラは、神官と聖導会従者女神官に任じられた。
学校の勉強をつづけながら、時間を調整して神官としての聖務も始めていた。
しかし、……。
依頼しに来てくれる人が、少ない。
まだ、就任したての新米神官というのもあるのだけれども。
学園時代のお転婆ぶりの噂があって、「あんな子に、大事な未来の神託なんで出来るのか?」と思われているらしい。
まあ、良いですけどぉ。
アクス様やクロス様の推してくれているので、親しい貴族の方々は来てくれるのだけれども。
王族派の貴族の方はもちろん、中間派の方々もやってこない。
あまり頻繁に必要な事柄でもないのもあるけれども。
平和な時代が続くと、神託を渇望するほどの危機になる事も無くなるので自然に減っていく。
こういったことが長年続き、国の運営に逐一神託を必要とする意味が薄くなり、避けられるようになっていたのだった。
時折、国の政治にも、行き過ぎや間違いなども指摘してきた。
それが、横柄な方々に取っては、邪魔でしかなかったようだ。
私は学園の方で、詰込みで色々教育されてしまっている。
に、逃げられないの。
お陰で、「転移の力」で抜け出す暇もなかった。
つらいわ。
けれども、アクス様やクロス様の御気持ちを考えると、一日でも早くと焦る気持ちもあった。
「プレア。アクス様からは、「終焉の大神官」と言われると聞かされておるようですが、それを決めるのはあなたなのですよ。そして、その重みが負担に感じるようでしたら、それは勘違いです。大神官一人でなんとかなると言うのなら、この国の人々の存在意義が疑われます。言い方は悪いですが、あなたは回ってきた書類に承認印を押すだけで良いのです。私みたいにね」
と、クロス様は励ましてくださった。
ん?
励ましてくださったのよね?
とにもかくにも。
新米神官としての修行は、約数か月続いた。
ようやく、神官としての信頼も付き、いよいよとなった時に、その悪い知らせはやって来た。