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10 諦めきれない思い

「わたしに、出来ることをしなければ」

 アクス様は、きっと困っていらっしゃる。

 私も、何かしなければ。

 そう思うと、いてもたってもいられなかった。


 アクス様やクロス様では、あの()()()()()に行くことは、お立場上出来ない。

 散々やんちゃして来た私なら、きっと出来ることのはず。


 根拠もなく、そう思い込むことにした。


 それに、2回も黒い騎士様と会ってお話をしている。

 まったく会ってもいなければ、こんなこと考えもしなかったろうけど。


「よし、行きましょう」

 私は、準備を整え寝室を出ようとした。


「あ、あの。プレア様。お一人で、何処へ行かれるのですか?」

 心細い声で、話しかけてくる者がいた。

 モイラだ。


「モイラ。あなたは、今日はゆっくりしていなさい。私、用があって出かけて来るわ」

「どうして、今日に限って私を同行させて下さらないのですか?」

 いつも、小間使いの様にモイラをこき使って来た私が、急に一人で行動するのだ。

 流石に不安になるのだろう。


「心配いらないわ。これは、私がやらなくちゃいけないことなの。大丈夫よ」

 そう、モイラを関わらせたくない。

 王族の権力争い。

 王国と聖導会の関係。


 この事をモイラも知っていると漏れた時、運が悪ければモイラに危険が及ぶ。

 大好きなモイラを危険な目に会わせたくない。

 転移で逃げて済む様な相手ではないからだ。


 胸元で両手を握り、モイラは言った。


「わ、わたくしが、足手まといになっているからでしょうか?」

 その声は涙声だった。

「な、何を言っているの? そんな事ないわ。行くときは、無理やりでも連れて行っているじゃない?」

 うーん。

 今の台詞は、フォローになっていない気がする。


 私は、モイラを抱き寄せ、綺麗な髪をな撫でながら言う。


「あなたが、大切だから。今日の用事は、とても危険な話なの。最初に()()()()()へ行った時みたいになったら、大変なのよ。でも、私一人なら、簡単に転移出来る。まだ、他の人を自由に一緒に連れていくほど、上手じゃないよの。御免なさい」

 私は、謝った。

 あの時、黒い騎士様が助けてくれなければ、私とモイラは危ない目に会っていたかもしれない。

 今回は、黒い騎士様思い切った事を尋ねるつもり。

 あの方は、少し気が短いから、今度は助けて下さらないかも知れない。

 そうなったら、自力で何とかしなければならなくなる。

 その時、余裕を持って転移する自信は無かった。


「本当ですか?」

 モイラが尋ねる。

「ええ。本当よ」

「プレア様。くれぐれも、無茶をなさらないように、お願いします。お願いします」

 モイラは、私をギュッと抱きしめながら、そう言ってくれた。


「ええ、大丈夫。ありがとう」

「はい」

「留守、頼めるかしら。クロス様にバレない様にお願いね」

 私はモイラの顔を見てお願いした。

「はい。いつもの事ですので、お任せください」

 私達は、クスッっと笑った。


「じゃモイラ、行ってくるわね」

「はい。お気を付けて」

 

 そして、転移の力を使い、再々度()()()()()に向かった。

 

 

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